シャンパン
キュイの資料
「幸せなとき、悲しいときにはシャンパンを飲む。たまに独りのときも飲む。仲間がいれば飲んで当然。お腹が空いていないときは少し舐めるだけ。空いていたら大いに飲む。それ以外は触れません。喉が渇いていない限り」――マダム・リリー・ボランジェ。
シャンパーニュと表記できるのはフランス・シャンパーニュ地方で、指定の葡萄品種を使い、指定の生産方法に従って醸造されたスパークリングワインのみである。これを生み出した人が誰なのかは伝わっていないが、1668年、伝説の「シャンパンの父」ドン・ペリニヨン修道士は、醸造中の酒が気泡を含んでいることに終始悩んでいたとの記述があり、泡の出る酒は欠陥品と思われていたようである。彼は気泡を出さない生産法を15年間も研究していた。結局は失敗に終わったが、その過程で各品種の葡萄の高品質のものを選んで混醸することで、思いがけずシャンパンの誕生に多大な貢献をした。
17~18世紀初頭、ある修道院のワイン貯蔵室管理者が初めて「再発酵液」を使用し、それによって起きる瓶内二次発酵を利用して、シャンパンの原型を生み出した。
1729年、シャンパーニュ・アルデンヌ地方に、シャンパン生産者としては初の登記会社「Ruinart」が登場し、ここからシャンパンが欧州の大貴族たちを征服し始めた。
以来、国王の戴冠や船の進水式、さらには誕生日や結婚式、祝典などには欠かせない存在となった。豊かな泡を持つ黄金色のシャンパンは人々にとって、勝利や望み成就の象徴となっている。