ホイコーロー
キュイの資料
ホイコーローは豚肉をメインとした伝統的な四川料理。その名前にある「回鍋(鍋に戻る)」とは、すでに火の通った豚肉を再び鍋の中に戻して炒めることからきている。そう処理することで、豚肉の油が十分に炒められ、肉がもちもちとして口当たりがよくなり、かつ脂っこくない。ピーマン、ニンニクの芽などの具材と唐辛子、豆板醤などの調味料を合わせ、濃厚で辛口の仕上がりとなる。こうしてできるホイコーローのうまみに、人は病みつきだ。
ホイコーローの歴史は、多くの家庭料理同様にさかのぼるのが難しい。言い伝えでは清朝の時代に始まるとされ、四川の学者が発明したという。しかし、宋代、明代にすでに普及していたという記録もあり、「油爆猪肉」と呼ばれた庶民の料理が元になったと考えられる。いずれにしても食べる側にとって大事なのは、繊細で手の込んだ貴族の料理と違い、庶民的で代々受け継がれ、改良されてきたホイコーローに光る庶民の知恵である。それがあるからこそ、ホイコーローの魅力は衰えるところを知らないのである。