ブイヤベース
キュイの資料
ブイヤベースはフランスの有名料理。マルセイユで生まれたスープだ。
マルセイユは人口がパリに次ぐフランスで二番目に大きな都市であり、フランス最大の港町である。漁師たちが漁に出て帰ってくると、捕ってきた魚介をより分ける。そして売り物になるのをよけてから残った骨の多い、食感もそこそこの小魚と、名もないエビやカニを鍋に入れて一緒に煮込む。それにガーリックトーストとチリマヨネーズを合わせれば、初期のブイヤベースが完成する。のちに、マルセイユは19世紀に重要な商港となり、地元料理の多くが上流社会にも浸透し始めた。ブイヤベースのように美味しくて簡単な庶民の料理は一変、今のように贅沢で複雑な、世界に名の知れた海鮮煮込み料理となったのだ。
ブイヤベースに使う食材については様々な意見がある。正統派によると、少なくとも4種類の地中海産の魚類が必要で、たとえばカサゴ、ハモ、ホウボウ、サバなどである。さらにこれらの魚を新鮮なトマト、ジャガイモ、フェンネルと一緒に煮込む。そうしてやっと本場のブイヤベースが出来上がる。1980年、マルセイユのシェフがいくつかの基準を取り決め、それを「ブイヤベース憲章」とした。この「憲章」では、ブイヤベースの食材には必ずマルセイユ近海で捕れた魚を使うとされており、かつホウボウ、アンコウ、マトウダイ、オコゼなどの少なくとも4種類以上を使うようにとある。「憲章」ではさらにタイ、ヒラメ、エビ、タコ、イカは入れないものと規定されている。
食材から想像できるように、海鮮をごった煮にした料理であり、酸味や辛味、スパイスの風味だけでなく、濃厚な海鮮の香りを楽しむことができる。世界中の海鮮好きからすれば、ブイヤベースは地中海のすばらしさを凝縮した、一生に一度は食べたい高級料理の一つである。