悪戯天狐の柘榴
3/31~4/12
第二回スペボスホワイトデー4位 チョコ3394個
悪戯天狐の柘榴
あら~そこにいるのは、人間さん?
あはっこの気配とこの匂い。人間さんに間違いないわ。ぞくぞくしちゃう・・・
せっかく逢えたんですから、私といっしょにじゃれあってくれないかしら?
キミはどう悪戯してほしいのかしら・・・でも、私が悪戯すると・・・あなた・・・火傷しちゃうかも。気を付けて・・・
うふふっ、まずは自己紹介しないと・・・私は柘榴。人間に悪戯するのが大好きな、天狐よ。初めまして、人間さん。
天狐って何ですって?キミ、そんなことも知らないの?もうっ しょうがない人間さんですことっ。仕方ないから、柘榴が優しく教えてあげる・・・
天狐には、千年以上生きた善い狐がなれるのよ。人間の世界では聞き慣れないのかしら?狐のヒエラルキー的に、すご~く上にいるのよっもうっ
善い狐なのに悪戯が好きなのですって・・・?悪戯と悪いことは別物なのよ、もうっ お子様ね・・・
人間の世界で有名な九尾の狐こと玉藻ちゃんはランク的には私の下の下なの。驚いたかしら?ふふ・・・
玉藻ちゃんも、悪い事に目覚めないで善い子にしてたら今頃は・・・今頃はね・・・。
そうなってしまったものは仕方ないわ・・・。でも、玉藻ちゃんの気持ちもわからなくないのっ!だって、ずっと生きているととっても退屈なんですもの・・・
そうだわっ!天狐になると、千里眼をつかえるの。その気になれば、キミの心の中も、思考も・・・未来も過去もぜ~んぶ見えちゃうのよ?
あはっ人間さんはこの力を良く欲しがるわよねっ。人間は、私と違って生が短いものね・・・。知りたいこと、たくさんあるでしょうね・・・
千里眼、欲しい?ふふっ あ~げないっ
あはっ人間さんにちょっと意地悪するのは、楽しくって好きなの。
・・・でも、何千年も生きていくのに、何もかも知ることができるというのは、とてもつまらないことなの・・・。
人間にはきっとこの気持ちは死ぬまでわからないでしょうね・・・ふふっ
私っ、人間さんたちのことがとっても好きなの。だって、みんなキラキラしてるんですもの。きっとそれは、人間には必ず終わりがあるからなんでしょうね・・・
終わりもなく、すべて見え、知っている毎日ほど・・・退屈なものはないの。だから、きっと・・・人間より私の心は輝いていないと思ってるわ・・・
でもね、人間さん?私、見た目はとってもキラキラしている自信があるの。いろんなお狐様の中でも特に別嬪なのよっ!ふふっ
・・・他のお狐様と見比べたことがないからわからないですって?もうっ 一番最初に見たのがこの柘榴様だったことを幸せに思いなさいっ!
~~~っ!他の狐のみんなより、スタイルも毛並みも顔立ちだって・・・ほらっ、こんなに整っているのに・・・!キミ 分からず屋さんねっ!
柘榴、とっても今気分が悪いわ・・・。分からず屋のキミにはちょっとお仕置きが必要ね・・・桜とともに散ってしまいなさい!”櫻玉神楽”
・・・あら、人間さんの中でもだいぶ、すばしっこいのね。でも、・・・どんなに謝っても許しませんからっ!まぐれで避けきれるのもここまでですわっ!”五芒星の紅印”
はぁはぁ・・・なによ・・・生死を彷徨っているこんな時に・・・何を聞いているのかしら・・・。好きな食べ物・・・?こんな状況でよくそんなことが言えるものね・・・
そうね・・・キミのその度胸に免じて教えてあげるわ・・・。ちょっと恥ずかしいから大きい声では言えないのだけど・・・そのお稲荷さん。・・・甘めのお稲荷さんが好き・・・
お詫びに・・・おいしい甘めのお稲荷さんをたんまり食べされせてくれるですって・・・?・・・そ、そんなことで私は揺れたりしないわ・・・
・・・ええ、揺れたりしないのだから・・・食べ物で・・・っられるなんて、天狐の名が廃るわ・・・でも・・・お稲荷さん・・・甘めのお稲荷さん・・・~~~っ
・・・ああんっ、我慢できないっ!今回だけ特別に許してあげるわ そのかわり、たんまり柘榴においしいお稲荷さんを食べさせて頂戴。
あっ、今すぐじゃないの?そう・・・仕方ないわね・・・キミのために、ずっと待ってあげる。だから、今度・・・私にちゃーんと食べさせて頂戴ね?
今の、約束よ?破ったら・・・キミが死んでも追いかけますからねっ・・・!
さっきの術の桜が綺麗だったですって?当然よ。「柘榴の術は、強く美しい」って評判なのだから・・・。みんな私の術に酔いしれてしまうのよ。ふふっ
私の一番好きな国には、四季があるの。春は桜が綺麗で、夏は百合が美しく、秋は紅葉、冬は雪景色・・・。変化があるからこそ民には大変なこともあるみたいだけど・・・
私は、そんな強くて美しいその国が大好きなの。だから、そこから感じた美しさを、術を通して他の狐にも見せてあげたくて・・・。
だから、「柘榴の術は、強く美しい」は私にとっての褒め言葉なの。ふふっ
・・・えっ・・・柘榴も強く美しい・・・ですって?~~っもうっ・・・な、何を言ってるの・・・!
・・・さっきまで分からず屋さんだったくせに・・・っ
や、やっと私の魅力に気づいてくれたようね・・・!さ、最初からそういう風にしていれば良かったのよ・・・ごほんっ
・・・あの国で出会った人たちは今も元気だろうか・・・。あの国から離れて・・・もうどれくらい経ったのだろう・・・
30年・・・私にとっては小さな年月でも、キミたち人間にとっても大きな年月よね・・・
きっと・・・きっと元気に暮らしているわ・・・。また一緒に逢おうって約束したもの!・・・約束したもの・・・
人間さんたちのことが・・・とっても好きだけど・・・またねって言ってもまた、もう一度逢えないことが多くて・・・それがわかった時はすごく悲しいわ・・・
私はいつだって、出逢った人との再会を願っているわ・・・
・・・キミは・・・また私と逢ってくれるのかしら・・・?人間さん・・・
あら・・・。・・・そろそろ行かないといけない時間のようね・・・。この辺り一帯の光が強くなりすぎているわ・・・
私みたいに強いチカラのある狐は、一箇所には留まらないほうが良いの。善いことがおきれば、必ず悪いことも起きる・・・光があるから影は射すでしょう?ふふっ
そんな悲しそうなお顔をしないでくださる?お別れのときのお顔がそんなのだと、離れがたくなっちゃうじゃない!それに・・・想い出すお顔が泣き顔なのは、辛いのよ?
ふふっ、そう、ちゃんと笑っていて?キミが果てしない時を過ごして、もっと大人になって美味しそうになったら・・・そのときはもっと遊んであげる・・・
ふふっ キミみたいな、素敵な人間さんに逢えて、私は幸せね・・・
また、どこかで逢えることを心から・・・そう・・・心から楽しみにしているわ その時は、私とお稲荷さんも一緒に食べてくれるんでしょう?くすっ・・・約束よ。・・・またね
人間さん、また逢っちゃたわね そんなに私と一緒にいたいの~?甘えんぼさんなのかしら でも、キミになら優しくしてあげてもいいかな~ ふふっ
人間さんもいつか、私を置いて・・・この生を終えてしまうのよね・・・。そしたら、また、私のお気に入りの子がこなくなってしまうわね・・・死ねないのも・・・悲しいわ・・・
でも、キミに逢えたから・・・楽しいことも幸せも感じられてるってことも知ってるの もし、キミがこの世界から消えてしまっても私は、キミを忘れないわ・・・
キミがこの世界に戻ってくる、転生の日がきたら・・・また必ずキミをみつけてみせるの・・・。だから、さみしくないわ。今までもずっとそうだったもの・・・。
今のキミとも・・・また逢えるかもしれない・・・。その日まで、またね・・・んもう、ここは目を閉じるところよっ!意地悪ねっ。
堕ちたお狐様 柘榴
ああ、悪に堕ちてしまうのは・・気持ちのいいことね・・・
玉藻ちゃんも・・・こんな気持ちだったのかしら・・・。堕ちることが・・・心地よい・・・あははっ
出世だとか・・・地位も名誉もぜ~んぶ捨てて、柘榴は「普通」の女の子になるわ・・・
人間を困らせたり、人間が悲しむようなことをする、一般的な「普通」の女狐になるの・・・
この手でいろんな殿方を操るの・・・何人が”オヤスミ”するかしら・・・ふふっ
悪戯程度ですまないようなことをするなんて・・・初めてで・・・胸が高鳴るわ・・・
天狐から、野狐になってから、千里眼が使えなくなってしまった・・・でも・・・
あの力がなければ、後も先も何も知らないことだらけ!見えてしまった先のことも後のことも・・・もう何も見えないですむのね・・・
・・・死すことなく、永遠に続く時の中で・・・退屈なのは・・・もう嫌なの・・・
もっともっと心の底を震わせてくれるような・・・そんなことを・・・ずっと待ってたの・・・
玉藻のように・・・いつ殺されてしまってもいいように・・・私はこれから輝くわ・・・あはっ・・・♡
あなたも・・・私と一緒に・・・素敵な時間を・・・過ごしましょう・・・?
甘美で刺激たっぷりの時間に・・・私が連れて行って差し上げますわ・・・♡
そう・・・悲しみや孤独を感じない・・・そんな時間へ・・・