Es.Twins
3/29~4/10
Es.Twins
おねぇちゃん、待って・・・待ってってば・・・!
私、そんなに早く走れないよっ!
あれ!?見失っちゃった・・・
あ、あの・・・!すみません・・・この辺りで私にそっくりな女の子、見かけませんでしたか・・・?
私の双子の姉なんですけど・・・え?あっちの方へ走って行った??
もう・・・おねぇちゃんったら・・・また夜の学校に忍び込むつもりかなぁ・・・
あ、呼び止めちゃってすみません・・・!教えてくれてありがとうございます!
え?アナタも一緒におねぇちゃん、探してくれるの・・・?
どこにいるのか、実はもう見当はついているんだけれど・・・夜だしちょっとだけ怖いから・・・一緒に来てくれますか?
申し遅れました。私の名前はEs.Twins。エスって呼んでね。
おねぇちゃんが夜にこっそり家を抜け出すの、今日がはじめてじゃないの。
特に今日みたいに月も星も綺麗な夜は・・・じっとしていられないみたいで。
ふふ、猫みたいでしょう?おねぇちゃんは私とは正反対。顔はそっくりなのに・・・
明るくて、前向きで・・・みんなから好かれていて・・・
それに比べて私は全然・・・本当は誰かとお喋りするのも苦手なんだけれど・・・
不思議、アナタとは初対面なのに・・・あんまり緊張しないみたい。
ご、ごめんなさい・・・!私、今、失礼なこと言ったかな!?
気にしすぎ・・・?そう、かな・・・?言葉の力って強すぎるから・・・
自分の言葉で、いつか誰かを傷つけるんじゃないかって。私、いつも不安なの。
なんて。こんなことばかり考えていちゃ駄目だよね。わかっているんだけれど・・・
あ、ここです。たぶんおねぇちゃん、ここにいます。
ここ、私達の通っている学校なの。本当は夜、立ち入り禁止なんだけれど。
こっちに来て!正門の横に茂みがあって・・・その奥に秘密の入り口があるの。
これ、秘密ね?内緒にしておいて?
え?どうかした・・・?猫の鳴き声が聞こえる?
ああ、それはきっとオチョビ達。
オチョビって私達は読んでいるの。この学校に住み着いている猫のゴースト。
ふふ、大丈夫。怖がらないで。
イタズラが大好きな子達だけれど、とっても可愛くて良い子達。
私もおねぇちゃんも、オチョビ達と仲良しなんだ。
こっち!ここが私達の教室。
きっとおねぇちゃんここに・・・あれ?いない・・・
もう、どこにいるのかなぁ・・・おねぇちゃんのこういうところ、本当に自由すぎて困っちゃう。
あ、ねぇ、そこのオチョビ。私のおねぇちゃん見なかった?
見てないかなぁ・・・ありがとうね、オチョビ。
あ、改めて紹介するね。この子達がさっき話したオチョビ。猫のゴーストだよ。
お洋服のポケットには気をつけて!ポケットの中に入っているもの、こっそり隠すのが大好きなの、この子達。
でも悪い子達じゃないのよ。
アナタもきっと仲良くなれると思うな。
ねぇ、アナタは夜の学校、好き?私は大好き。
夜の学校で本を読むの、とっても好きなの。ジンとしていて、落ち着いて。
教室の窓、大きいから。星がとってもよく見えるし。
それにね・・・私、実はお話を書くのが好きなの・・・
おねぇちゃんにしか言った事ないから、これも秘密にしてね?
言葉は時々、人を傷つけるけど・・・でも、ちゃんと選べばね、人を喜ばせることだって出来る・・・
私はお喋りするのは苦手だけれど、お話を書くのは得意なんだ。
考える時間があれば、言葉をちゃんと選べるもの。
夜の学校はお話を書くのに最高の場所。
オチョビ達も手伝ってくれるのよ?
ロッカーにね、お気に入りの万年筆を入れてあるの。これでお話を書くのよ。
優しくて、明るいお話が好き。そういう素敵な物語を書きたいな。
オチョビがね、たまに羽ペンを持ってきてくれるんだけど・・・羽ペンは書き辛いから・・・
どんなお話を書いているのかって?・・・これはおねぇちゃんにも内緒だから、アナタにも秘密。
ため。秘密。
・・・笑わないって約束できる・・・?
れ・・・恋愛小説・・・を、書いているの・・・
そ、そんな、私は恋愛なんて!とても出来ないけれどっ!
・・・人見知りだしっ・・・暗いし・・・
おねぇちゃんは男の子にも人気なの。
クラスの男の子と楽しそうに話しているところ、何度も見たことがあるわ。
本当はね、ちょっとだけうらやましい。
す、好きな人・・・!?い、いないよっ!いない!!そんな、私に好きな人なんて・・・
え?ら、ラブレター!?
・・・確かにラブレターなら・・・伝える言葉を選べるけれど・・・
でもでも、誰かに想いを伝えるなんて・・・!恥ずかしくって・・・
じ、実はね・・・今までも何度か書いたことあるの・・・ラブレター・・・
一度も渡せたこと、ないんだけれど・・・
ラブレターって貰ったら、やっぱり嬉しいものかな?
もう少し頑張って、書いてみようかな・・・
別にね、好きです!なんて書いていないの
こんな私にも、いつも優しくしてくれる人がいて・・・
そう、アナタみたいな人。
その人に、いつもありがとうって伝えたいだけなの。
本当にそれだけだよ!?
でも私のこういう気持ち・・・それさえ、迷惑になるかもしれない・・・
手紙って言葉を選べるけれど、重みがあるじゃない?
面倒だとか、鬱陶しいとか、そういう風に思われたらどうしようって・・・
それでもいつも、あの人の優しい顔を見ているとね。言葉が溢れて胸がいっぱいになっちゃうの。
だから、少しでも外に出さないと、私の胸がパンクしちゃう。
そのために手紙を書いているのよ。渡せない手紙。
私がおねぇちゃんみたいに明るい性格だったなら・・・きっと今頃・・・あの人に、ありがとうって伝えられているのにな。
なんて、ごめんなさい。変な話しちゃった。
あ、おねぇちゃん!!なんでそんなところに隠れているの!?探したんだよ!?一体どこにいたの・・・
屋上って・・・屋上も立ち入り禁止だよぉ?
でも気持ちはわかる。今日はとっても星が綺麗だものね。
え、この人?私と一緒におねぇちゃんを探してくれた人だよ。
おねぇちゃんってばすごい速さで走って行っちゃうんだもん。
私、体育は苦手なんだよぉ。知ってるでしょう?
もう一人で走っていったりしないでね?行くときは私も連れて行って。
無事におねぇちゃん見つかった。アナタのお蔭で楽しかったな。・・・その、あ、ありがとう。
ああ、こんなにも簡単な言葉。ありがとうって。
でも気持ちをきちんと伝えるのってやっぱり難しい!
私、とってもアナタに感謝しているの。ありがとうって言葉以上に。
たくさんお話できたこと、嬉しかったんだもの。
この気持ち、少しでもアナタに、ちゃんと・・・伝わっているといいな。
Em.Twins
こんなに星も月も綺麗な夜!じっとしてなんかいられないっしょー!!
ありゃ?エス?さっきまで付いてきたとおもってたんだけどにゃー?
あの子、足遅いからなぁん!置いてきちゃったのかも~!?
まぁいっか。どうせあの子、私が今から夜の学校に行くってわかってるっしょ!
だって私達は双子!!以心伝心意思疎通!
仲良しツインズなんだからにゃ!
おや?キミはだぁれ??さっきから私に付いてくるね?
なぁんだ!キミも夜の学校に忍び込もうって思ってるの!?
奇遇奇遇!じゃあ一緒に行っちゃうっしょ!
私の名前はEm.Twins。みんからはエムって呼ばれてるよん!よろしくどーぞ!
私には双子の妹がいてね!エスっていうの。
私とそっくり!いつでも一緒!
まぁ、たまに?今日みたいにちょーっと置いてきちゃうこともあるんだけどにゃ!あはは!
ん?仲悪いのかって?ないない!そんなわけないない!すっごく仲良しだよん!
ただね、ちょーっとばかしあの子と私ってば、性格が正反対?!双子なのに正反対!
だからね、たまにね。今日みたいに置いてけぼりにしちゃうこともあったりなかったり・・・あったりなかったり?
でも大丈夫。ちゃんと行き先はわかってるはーず!
いつもの場所だって、あの子だってわかってるっしょ!
さぁて、着いた!私達姉妹の通っている学校!
この学校、夜になると秘密があるのだ!
実はね、実はね!?この学校、夜になるとゴースト達の学校に変身するんだにゃー!!
凄いっしょ!?初耳っしょ!?
怖がらなくても大丈夫。ゴーストって言っても、怖いやつらなんていないんだから!
それに、夜の学校は私の縄張り!
ゴースト達を仕切っているのも実はこの私だったりして~ん!
冗談冗談!ここのゴースト達と私達姉妹、仲良しなだけだよん!
あ、声が聞こえてきた!キミにも聞こえた?猫の鳴き声。
アレはゴーストの声だよん!猫のゴースト!
私と妹はオチョビって呼んでる!可愛っしょー??
私とおんなじでイタズラ好きな奴らだけどね!悪さはしないから大丈夫っ!
さぁ行こう!夜の学校!私がキミを案内してあげる!
ねぇねぇ、キミはどうして夜の学校に来ようと思ったの?
探検?冒険!?そういうの私、だぁいすき!
え?本を読みに来た?へぇ~。どっちかと言えばそういうのは妹の趣味だにゃぁ~
私だって本を読むのは大好きだよ?夜の学校で本を読むってドキドキしちゃう!
ま、私が読むのは冒険記ばっかりだけどにゃ~!
妹はね、恋愛小説ば~っかり。
ここだけの話、あの子、自分でお話も書いてるの!すごいっしょ!?
あの子、口下手なんだけど、でもお話をつくるのはとっても上手!
そういう意味では私はダメダメ。口ばっか!お話作りとか絶対無理っしょ~!
でも良いんだ!私とあの子は二人でひとつ!私はお喋り!あの子はお話!それで十分!
あ、そういえば!あの子ね、最近好きな人が出来たみたいでねぇ~!
・・・お姉ちゃんは気になって仕方ないんっしょ~!!
どんな人なのか、全然教えてくんないの!姉妹なのに!!酷いにゃ~~!!
夜の学校に二人で来るとね、いっつもラブレター書いてるんだよ!一途だよねぇ~!
結局、一度も渡せてないみたいだけど・・・
お姉ちゃん、中身が気になって仕方ありませんっ!!
もうさ、私が渡してやりたいくらい!本当にもどかしいったらないの!!
一度あの子に言ったことあるんだ!私が渡してきてアゲルから相手を教えなさ~い!って!
でも絶対だめ!絶対いや!って怒られちゃった!
デリカシー?っていうのがないんだって!
難しいことはよくわかんないけどさ。でも、可愛い妹だもん。上手くいけばいいなぁって思ってるわけよ!
ホントホント、本気で思ってるって!
でも、もし、その相手が妹を泣かせたり悲しませたりするようなやつだったら・・・
その時は私、容赦しないけどねん☆
オチョビ体に頼んで、思いっきりその相手を驚かせてやるんだから!!
なんてね!私の妹が好きになった人なんだから、良い人に決まってるけどねん。
キミも妹の恋が上手くいくように祈っててねん!
あーー!!ねぇ、見て見て!学校の窓って大きいから、星も月も良く見えるにゃ~~!!
今夜は本当に夜空が綺麗!こっそり家を抜け出してきて良かったにゃぁ~!!
ね、ね!!屋上まで行ってみるっしょ!!
危なくないって!大丈夫!屋上に寝転がって一緒に星を眺めようにゃ~!!
オチョビ達も一緒においで~!!みんなで天体観測っしょ!
双眼鏡、持ってくれば良かったかにゃ~~!
今度来るときは絶対持ってくるっしょ!
ほらほら早く!キミもこっち来て!!寝転がってみてよ~う!
すっごいよ!すっごい!満点の星空!!
こうやって寝転がって星を見てるとさ、宇宙旅行に行きたくなっちゃうにゃ~!!
今度妹に頼んで、そういうお話書いてもらおうかにゃん!
もちろん主役はこの私!・・・あ、でも恋愛小説にされちゃうかにゃ~・・・
それやちょっとなぁ~ん。
え?恋愛?私は興味ないのかって??
な、ないない!!全然ないって!!本当だってばっ!!
あ、赤くなってる!?なってないって!テキトーなこと言わないで欲しいっしょ!
きょ、今日は暑いからさ、ほら、そのせい、そのせい・・・
・・・い、妹に絶対言わないでよね・・・こういう話、私はしないことにしてるんだからっ!
私はいつでも明るく元気でいたいっしょ!
恋愛なんて、そういう大人っぽいこと?そういうのは、まだまだ早いって・・・
だからいいの!私は!妹の応援しているだけで十分しょ!!
にゃぁ~~!!これ以上そういう話禁止!!いくらキミが良いヤツでも怒っちゃうぞっ!!
いつか妹が幸せになったら、そしたらその後!自分のこと考えるから、それでいいんだにゃ!
だって私はおねえちゃんだから!!お姉ちゃんはいつだって妹の幸せを考える生き物なんだにゃ!!
キミも私の妹に会ったらきっとわかるって。あの子見てると、なんだか守りたくなっちゃうんしょ。
不思議不思議。この世の不思議。
キミと妹、もしかしたら気が合うかもしれないにゃ。なんだかちょっと雰囲気が似てるっしょ。
仲良くなるのはいいけどにゃ。さっき私がいったこと、忘れないでねん?
妹のこと、泣かせたり悲しませたりしたら、私が容赦しないってこと!
ふふふ、なんてねん。おや?そろそろエスも学校についたころかにゃ?
あの子ってば運動神経悪くって。そんなとこもさ、可愛いんだけど。
さぁて、んじゃ、ちょっと隠れんぼでもしようかねぇ!
あの子に見つからないように、学校全部をつかった隠れんぼ!
楽しそうだと思わない!?わくわくのドキドキ!!
驚かせたら、たぶんすんごい怒られちゃうけどね。
怒った顔も可愛いぞ~!なんてね!双子だから私とおんなじ顔してんだけど☆
キミも一緒にやる?隠れんぼ。
どっちが長く隠れていられるか!競争だにゃっ!!