闇の番人アーデルハイト
5/31~6/13
時の番人アデレード
嗚呼、今日もこの世界は変わらない。変わらない。
なにかないかな、刺激的な楽しいデキゴト。
あるわけないよね、あるわけない。
期待するだけ無駄だって。
だってここは不思議の国さ。
不思議の国の不思議には、たいぶ前に慣れちゃった。
もうなんにも不思議に思えない。
嗚呼、ツマラナイ、ツマラナイけど、ここは自由。
自由だから、離れられない。離れたくても、離れられない。
アタシは主人公になれなかった・・・
・・・ナニ、アンタ・・・
どっから来たの、いつの間に来たの、見ない顔だね。
フヒ、なんだかちょっと、楽しいことが起こりそう・・・?
いやいや、期待しちゃぁダメダメ・・・期待はいつでも裏切りとセット・・・
・・・別に、なにも言ってないよ、ひとりごと・・・
アンタはダァレ?どうして突然ここに来た?
アタシの名前?知りたいの・・・?
教えてあげないって言うと思った?
別にいいよ。教えてあげる。名前なんてタダだから。名前なんて、タダのラベル・・・
アタシは時の番人アデレード。ヒヒ、聞き覚え、アル?
ヒヒ・・・アルはずないよね。
こう言えばわかりやすい?アタシはアリス。不思議の国のアリス。
想像とは違ったって?あっそ、悪かったね。
こんなところに迷い込むなんて、アンタも運がないね。
それも、このアタシのいる狭間に迷い込むなんて。
まぁ、闇の狭間より、ほんの少しだけマシかな?
アタシは時の番人。ここは時の狭間。
不思議の国には狭間がたくさん・・・フヒヒ、狭間に迷い込んだら、どうなると思う?
わかんないって?じゃぁ、教えてあげようか?
なんてね。それはヒミツ。これはヒミツ。不思議の国のヒミツだよ。
アンタ、ここに来たくて来たわけじゃなさそうだね。
白いウサギを追いかけた?時計を持った、白ウサギ。
そいつはアタシのしもべ。時を操るアタシのしもべ。
不思議なモノ、知らないモノ、気楽な気持ちで追いかけたりしちゃぁ、ダメダヨ。ダメダメ。
もっと慎重にならなくちゃね、フヒヒ・・・
・・・じゃないとこうして、狭間に迷い込むことになる。
いいよ、今日は特別、今すぐ出ていくって言うなら、アタシが出口まで案内してやる。
今ね、ちょっとご機嫌なんだ、ヒヒヒ・・・
顔が笑ってないって?うるさいよ。
ほら、さっさと来て、アタシの気が変わらないうちに。
ナニ?もたもたしないでよ。
・・・出ていく気がないなら、無理やり追い出してやるけど?どうする?
ここは狭間って言ったでしょ?あんまり長くいると狂っちゃうよ?フヒヒ・・・
アタシは出ていかないのかって?
アンタ、アタシのこと、気にするの?
変なやつ・・・今でアンタみたいなやつ、いなかったよ。
アタシはね、アンタと違って、ココに迷い込んだんじゃない。
ココが好きだから、ココにいる。
だからアタシは出ていかない。
それにもう、とっくにアタシは狂ってる。
アタシの時間は狂ってる・・・
ヒヒ・・・今更もう、戻れない・・・
ねぇ、ここに来る途中、双子の猫に出会わなかった?
ラビとミラ。知らない?そう、良かったね。
アイツらに出会ったら大変さ。フヒ・・・
・・・まぁ、アンタがアリスになりたいっていうなら、別だけどね。
アタシはアリスになりきれなかった・・・
アタシは出来損ないのアリス・・・時の番人・・・アデレード・・・
でもいいんだ。あたしはココが好き。自由なココが好き。
女王も帽子屋も、誰もアタシに口出ししない。
アタシに興味なんてないから、誰もアタシに口出ししない。
誰もアタシに指図なんてさせないよ。
ナニ、アンタもココ、気に入っちゃった?
・・・だったらもうちょっとだけ、ココにいてもいいよ・・・なんてね。
アンタみたいなやつ、ホント、はじめて。
アンタなら、アタシに口出ししても、イイヨ・・・
ちょっとだけなら、許してあげる。
ああ、ダメだ。狭間がひらく・・・
残念だったね。アンタがいつまでもグズグズしているから。
見つかっちゃたね。来ちゃったね。
ラビとミラの登場だ。
あとはアンタの運次第。せいぜい頑張りなよ。
嗚呼、アンタのこと、ちょっとだけ気に入ってたのに。
残念残念、ラビとミラが出てきちゃったからには、もう道は決まった。
アンタはアリスになれるかな?
それとも新しい狭間の番人?
なんでもイイけど、またいつか、会いに来るって約束してよ。
そしたらアタシ、待ってるよ。
待ってる待ってる、いつまでも。
だってここは時の狭間。
時間だけは、あふれるほどさ・・・
じゃあね、バイバイ。またいつか。
・・・こうしてまた、誰もいなくなっちゃった。
嗚呼、今日もこの世界は変わらない。変わらない。
なにかないかな、刺激的な楽しいデキゴト。
あるわけないよね、あるわけない。
期待するだけ無駄だって。
だってここは不思議の国さ。
闇の番人アーデルハイト
嗚呼、今日もこの世界は変わらない。変わらない。
なにかないかな、刺激的な楽しいデキゴト。
きっとあるよね、きっとある。
ワクワクするね!今日も明日もワクワクするね!
だってここは不思議の国さ。
不思議の国の不思議には、いつまでたっても飽きたりしない!
今日もいろんな不思議でいっぱい!
嗚呼、ワクワクするね、ワクワクする!たって、ここはいつでも自由!
楽しくて自由で、離れられない!離れたくない、離れられない!
アタシは主人公になれなかった!
おかげでいつまでたっても無責任なママ!!
ずぅっとひとりで、自由気ママ!
主人公なんてまっぴらゴメン!
・・・おやや??
オイ、そこのオマエ、どこからココに入ってきたの?
せっかく自由を楽しんでいたのに!
ココはアタシの場所さ。ダレにも邪魔はさせないよ!
あー、でもネコは別。アタシはネコが大好きなのさ!
アハハ!ネコはイイヨ、素晴らしい!
ズルくてコワくて、楽しいイタズラが大好きなのさ!
アタシと、とっても気が合うの!
でもね、人間は面倒クサイ。
オマエも人間ダロ?面倒クサイ!
ハ?アタシは一体ダレなのかって?
ホラ、面倒クサイ。名前なんて、どーでもイイ。
人間はどーでもイイことばかり気にするね。
馬鹿みたい!名前なんてなんでもイイのに!
どうしても知りたい?仕方ないなぁ・・・
アタシの名前はアーデルハイト!
闇の番人アーデルハイト!
主人公の出来損ない!
そう言われてもワカラナイ!こう言えばワカルカナ?
オマエも知ってる、不思議の国のアリス!
アーデルハイトはアリスなの!
出来損ないのアリスなの!!
嗚呼、最高!出来損ないってワクワクしちゃうね!
そしてココは闇の狭間さ。
こんなところに迷い込んで、オマエ本当に運が悪いね!アハハ!
サァ、質問の時間は終わりだよ。
その口ふさいで、黙ってて。
今からアタシはお茶の時間。ネコと楽しいお茶の時間!
今日はミラとラビが来るよ。アチラとコチラの狭間から!
邪魔をしたら許さないよ!
そっちの隅っこに隠れてて!
・・・ねぇ、視線がうるさい。
・・・目も閉じていてくれない?
ラビとミラが来ても、目を合わせちゃダメだから。
声を聞くのも、ダメだから。
ドウゾもっと端っこで・・・隠れて静かに耳も閉じて!
ラビとミラはアタシのトモダチ!
トモダチ・・・?トモダチ??トモダチってなんだっけ??
・・・ちょっと、ナニ、その目・・・
閉じてって言ったじゃない!
人間はホント、面倒クサイ!
・・・仕方ないから特別ダヨ。
オマエにもお茶をいれてあげる。
その代り、ソレ飲んだらどっかに行ってね。
ラビとミラが来る前に。
オマエがアリスになりたいって言うなら、ココにいてもいいけどさ。
そうじゃないなら、どっか行って。
アタシがお茶を飲んでる間、ラビとミラがお茶を飲んでる間。
オマエはさっさと逃げるとイイヨ。
久しぶりの人間さ。面倒クサイけど、逃してアゲル。
アタシは気まぐれ。オマエ、ちょっとだけ運がイイネ!
寂しがり屋の可愛いアリス、そんなの幻想、空想、妄想、夢想!
予想外ダッタ?残念でした!
さぁ、そろそろ本当に!時間切れだよ、サヨウナラ!
もう二度と会いたくナイヨ!
サヨウナラ!サヨウナラ!
寂しくなんて、全然ナイヨ!
闇の狭間はキゲンがイッパイ!
アタシはいつでも、ひとりきり!やってくるのはネコだけさ!
嗚呼、今日もこの世界は変わらない。変わらない。
なにかないかな、刺激的な楽しいデキゴト。
きっとあるよね、きっとある。
ワクワクするね!今日も明日もワクワクするね!
だってここは不思議の国ダ・・・!