魔導師テンテン
9/30~10/13
テンテンの従兄弟→華郷亭会主フーシェン
魔草師テンテン
こら!誰じゃ!わしの薬園に勝手に入っておるのは!!
ここ最近、勝手に薬草を摘んでいく不届き者がいると思って見張っていたが・・・もしや、お主が犯人か?!
この天才魔草師テンテン様に喧嘩を売るとはいい度胸じゃ・・・
とっ捕まえて説教してやるっ!覚悟せい!!
なに?魔草師には全然見えない?
「まだ小さな子供じゃないか・・」こ、こど、子供、だとっ!?
くぅ~~っ!!黙れ黙れ黙れい!!
こう見えても、お主より数倍長く生きておるわ!年上じゃ、年上!!
まぁ、実際いくつなのかは・・・ヒミツじゃがな☆
ゴホン。話がそれたな。仕切りなおしじゃ。
目上の者を見下ろしたその態度!加えて盗人ときた・・・この魔草師テンテン!容赦はせんぞっ!!
え?わしの背が低いから?見下ろすのは仕方がない・・・じゃなーいっ!
伸びたくても、背はこれ以上伸びんのじゃー!!
うぅー・・・人のコンプレックスをグサグサと・・・
お主といい、弟子たちといい・・・!最初はわしより小さかったくせに、皆のびのびと育ちおって!
弟子を引き連れて遠出した街では「あら、可愛らしい。妹さんですか?」などと尋ねられ・・・
「いえ、こちらが師で私たちが弟子です」などと、年下にフォローされ・・・!
悔しく思ってヤケ酒をしに行けば!「子供にはまだ早い」と酒場から追い出され・・・
外でいじけておると、店主からそっとホットミルクを差し出されて、あの屈辱・・・!!
弟子を何人も抱える天才魔草師じゃぞ?!もう立派なレディーなんじゃぞ?!
見た目だけで判断しおって~~!
だが、そのまま泣き寝入りするわしではなーい!ふふふ・・・ついに、見つけたんじゃよ
長年の悩みを解消する、この秘薬をな!!
じゃが、なぜか秘薬の元となる薬草が日に日に減っておる!
今まさに!お主の足元にあるその薬草じゃ!!そこじゃ、そこ!!
素人が容易く扱える代物ではないというのに・・・いったい何の為に盗っておる?
扱い方を間違えば毒にもなるものじゃ。街で売りさばいているというなら意地でも止めるぞ!
見た目で判断をすると泣きを見るぞ?本気を出したわしは強いからのう。クックック・・・
そもそもこの薬園一帯はわしの所有地・・・草木や虫、花や精霊、ヒュウと吹く風さえもわしの味方じゃ。
手始めに、お主のその体、ビリビリッと痺れさせて、とっ捕まえてやつわ!!
・・・ぐ、ぐぬぅ・・・お主なかなかやりおるのぉ・・・
ならばこんなのはどうじゃ!ドカーンと一発くらえい!それー!!
よ・・・よけた、だと!むぅ・・・弟子達に見習わせたい、その身のこなし・・・
人間!お主いったい何者じゃ・・・?!
ん・・・?なに?話を聞け??誤解をしている、じゃと?
ただここの綺麗な草花を眺めていただけ?・・・それは、本当か?
な~んじゃ・・・そうならそうと早う言わぬか!魔法の無駄撃ちじゃったわい!
しかし、お主なかなかの腕を持っておるのぉ!思わず見惚れたぞ!!
どうじゃ?わしの元で魔法を学ばぬか?
先程わしがドカーンと撃ったあれじゃ。なかなか珍しい魔法だったじゃろう?
弟子たちにはおもに、基本的な回復魔法を教えておるが・・・
勘違いで攻撃をしてしまった詫びじゃ。お主が望むなら、弟子たちより少し高度な魔法を教えてやらんでもないぞ?
例えば、先ほど話したこの秘薬をつくるための魔法、とかな。どうじゃ?
この薬はなんと!己の外見を望むままに変化させれれる魔法薬なのじゃ!!
これでワシも素敵なレディーになれるのじゃー!ハーッハッハ!!!
お主にも、なってみたい理想の姿のひとつくらいあるじゃろう?ん?よく考えてみよ!
理想が現実となる・・・夢が叶うぞ?ふふふ。
まぁ、使うのにはそれなりの注意が必要じゃがな。
この秘薬を使うとな、己の魔力がどんどんと消費してしまうのじゃ。
その分、体にかかる負担も大きい。
魔力が底を尽きてしまえば、秘薬の効果は解けてしまう。元の姿に戻ってしまうのじゃ。
わしほどの魔草師なら一晩中変化していられるが、お主のような人間は、せいぜい3時間というところじゃな~
まるでシンデレラのような、儚き夢の魔法じゃ・・・
じゃが、わしはいつの日か、この薬を改善させてみせる!
そして、理想の姿を維持できるようにしてみせるのじゃ!せくしーなレディになってやるー!!
な、なんじゃその目は!こら!弟子たちと同じような目線をこちらに向けるでない!!
・・・ん?なんじゃ、あのわらわらとした塊りは??
・・・ほう、随分小柄じゃが・・・あれは魔物の群れではないか・・・
嫌な予感がするのう・・・
もしやあの魔物が薬草を少しずつ運んでおったのか?
・・・この方角は、魔女の森か・・・
ははは!読めたわ。まったく、厄介な輩に目を付けられたのう・・・
ふむ・・・腕の立つお主を見込んで、一つ頼まれてはくれないか?
もし協力してくれるなら、この秘薬、分けてやっても良いぞ?
ふふ、乗ってくれるか。久方ぶりに楽しくなってきたのう。
いい加減あの魔女にはお灸をすえなければと思っていたのじゃ。
では、行くとするかの!!目指すは魔女の森じゃ!ハハハ!!
魔導師テンテン
おい、そこのお主。こんなところで何をしておる!!
お主だ、お主!!他に誰がおる。
ここじゃよ、木の上じゃ!見上げてみろ、ここじゃ!
とう!!くるくるくるっ・・・シュタッ!着地成功!!
ふふん!完璧な三回転半じゃったろう?
なに!?見ていなかった!?
むぅ・・・人間の動体視力では追いきれなかったということか・・・
お主、人間であろう?ふふ、ニオイでわかるわ。私の嗅覚は鋭敏だからのう。
ところで、お主。ここが危険な森とわかって入ってきたのか?ここの森は魔獣の巣窟だぞ?
お主のその風貌・・・旅人か?無知というのは、時に人生を狂わせる・・・
今後も旅を続けるのなら、行く先々の地がどのようなところか、きちんと情報を仕入れることだな!
この森で最初に出会ったのが魔獣ではなく、私で良かったよ。
お主は運の力は強いようだな。
さぁ、早急に森から立ち去るが良い。
先ほども申したが、ここは危険じゃ。もうすぐ日も落ちる。
・・・なんだと?私のような子供の方がよっぽど危険ではないか、と??
ハハハ!!見かけに騙されおって、これだから人間は浅はかだと言われるのだぞ?
私はこの辺りでは、ちょっと・・・いや、かなり有名な魔導師じゃ。
名をテンテンという。魔導師テンテンじゃ。
この森を出た先の丘の上でハーブ店を営んでおる。
お主の思っているような、ただのハーブ屋ではないぞ?
魔法薬を扱う店じゃ。
私の作る薬を求めて、彼の地、其の地から魔法使い達がこぞってやってくる。
世界中の魔法使いに大人気の店よ!!
そして、その店長兼、魔法薬師が私じゃ!!
それにな、お主は見かけで私を子供だと思ったようじゃが・・・実際には、お主の何倍も長く生きておる。
この姿は仮の姿よ。本来の私はもっと素晴らしくせくしーな姿なのじゃ♪
だが、本来の姿でいるのには、それなりに魔力を消費することになる。
魔力の無駄遣いをするのは、勿体無いからの。
それに、強大な魔力は、魔物を引き寄せる。面倒事はなるべく避けたいからの。
そういうわけで、普段はこのように小さな狐の姿でいるのじゃ。省エネってやつじゃな!
まぁ、本気を出さなくてはいけない場面になれば・・・惜しみなく、本来の姿で対処するかな・・・ふふふ・・・
急に暗くなった。嫌な予感がするわ・・
おい、お主。私の傍を離れるでないぞ?私の背後にぴったりと付いておれ。
近い・・・魔獣のニオイじゃ。
そこの草むら、あちらの木の陰、向こうの洞穴。
ぞろぞろと集まってきおったわ。
やれやれ、あやつ等にも困ったものじゃ。大人しくしておればこちらとて危害を加えないというものを・・・
あやつ等は好戦的でのう。森にいるモノを片っ端から襲うのじゃ。
・・・特に人間を狙ってな。
私はずっと気配を消しておったからのう。
おそらく、お主のニオイを嗅ぎ取って集まってきたのだろう。
おうおう、それなりの数じゃな。これは、ちと、本気を出さなくてはいけないかな。
む・・・?なんじゃ、お主、ただの人間かと思えば・・・多少の魔力は持っておるのか?
ほほう、面白い!では、お主もそれなりに戦えるのじゃな?ハハハ!
久しぶりに胸躍る展開じゃ。
さて、では私も、少し本気を出そうかのう。
ハッ!!己が身に封じし魔の力よ・・・目覚め、この身に宿りたまえ!!!
・・・ふふん!驚いたか!!まぁ、今回は数が多いとはいえ、たかが魔獣相手だからのう。
これでも本来の姿とは程遠いが・・・3割程度の魔力開放で余裕じゃろう。
む?あんまり変わっていない、じゃと!?!?
失礼な!!!少しせくしーになったじゃろうが!!
見よ!この胸元!この美脚!!
むぅ・・・まぁ、さっきも言ったが、これは3割程度の開放で会って・・・本来の姿はもっとこう・・・
・・・ああ、戯れている場合ではなかったのう。すまんすまん。
さぁ、来るぞ、魔獣どもが!心して相手せよ!
あやつ等に力加減などない。できないのじゃ。我等のような知性がないからのう。
まぁ、つまり、こちらも手加減無用、というやつじゃな。
思いっきり暴れて良いぞ?どうせこの森には、私くらいしか入らない。
誰にも迷惑はかからんからな。
存分に戦え!楽しい夜になりそうじゃわい!
ああ、そうだ。事が済んだら、お主、私の店で働かないか?
今、人員不足でのう・・・教育生ばかりで、まともに使えるやつが少ないのじゃ。
お主なら、即戦力になり得そうじゃからのう。
給料など、優遇するぞう?
ふふ、まぁ、戦いながら、考えておいてくれ!!