恋揺蕩う金魚姫リン
7/27~8/9
夢遊ぶ金魚姫リン
今日も良い天気~!あ、日傘を忘れないようにしなくちゃね。乙女の柔肌は日差しに弱いんだから!
リン~支度に時間かかりすぎちゃウ?急がへんと遅れル!
わかってるってば!リュウガンって本当せっかちね?
リンがのんびりしすぎなンや!ほら、はよ行きまっセ!
はいはい。日傘をさして・・・っと。さぁ、でかけましょう!
リンはほんまに散歩が好きやなァ。
散歩が好きっていうか、じっとしているのが苦手なだけ。本当はこの金魚池を飛び出して世界中を旅したいけど・・・。
まーたリンの妄想世界旅行の話かいナ。
妄想じゃないもん!私が旅したわけじゃないけど、私のおじいさまは実際に世界中を旅した流浪の旅人だったんだから!
はぁ・・・私もおじいさまみたいに、いつか世界を見て回りたいなぁ。
塩味のする大きな池・・・じゃなかった!『海』を見てみたいし、氷に包まれた白くて冷たい『雪』の国にも行ってみたい。
リンはおっちょこちょいやからなァ。ひとりで旅なんてできるかどウか・・・。
ひどーい!・・・だったら、特別にリュウガンも連れて行ってあげるわ。私の補佐としてね!
しゃーないやっちゃなァ。オレがおらんとなあんもできひんもンな。
そんなことないわよ!私が心優しいから特別に連れて行ってあげるって言ってるの!
ハハッ!ムキになるのがまだまだ子供やナ~。
もう、意地悪ばっかり言うなら置いていっちゃうからねー!
あっ、リン!ちょい待ちィ・・・!
ぶはっ・・・!ふぅ、今日も池の周りは変わりなし・・・かぁ、森の木々が風でザワめいて、音楽みたいで素敵・・・あれ?
ねぇ、リュウガン・・・あそこ見て。誰か倒れてない?
はぁ?こんな森の奥に誰も来るわけないやろ・・・あぁっ!?おル!?
やっぱり、倒れてるよね!?どどどどどうしよう!助けたほうがいいよね?
そりゃあ・・・いや、でも・・・何かの罠かもしれヘン。
罠って・・・一体誰がそんなことするのよ!早く助けないと、死んじゃうかもしれないでしょ!
あっ、リン!ちょい待ちー・・・ああ、行ってもうタ・・・。
すみません、生きてますか?・・・あっ、よかったちゃんと呼吸してる!
お~い!大丈夫かァ!?
うん、この人生きてるよ!あ、目が覚めたみたい。
ええと・・・こんにちは。私は金魚池に住んでいるリンって言います。池の中で騒いでるのは金魚のリュウガンです。
あなた、池の近くで倒れていたんですけど・・・え?お腹が空いて死にそう・・・?
なんや怪我でもしとるんかと思ったら、腹減ってただけかいナ!
あはは、まぁまぁ。怪我や病気じゃなくてよかったじゃない?
ええと・・・あなたのお名前って・・・?へぇ、○○○(プレイヤーの名前が入る)さんっていうのね。素敵な名前!
○○○(プレイヤーの名前が入る)さん、よかったらこの金魚池のほとりで回復するまで休んでいったらいいわ。
お腹が空いているんでしょ?まだ動けないだろうから、食事を持ってきてあげる。ね、リュウガンも手伝って!
しゃあないなぁ。じゃあ食事の材料は持って来たるから、○○○(プレイヤーの名前が入る)さんはそこで待っててナ!
ありがとう、リュウガン!ふふ、口ではあんなふうにぶっきらぼうだけど、リュウガンって実はとっても優しいのよ。
○○○(プレイヤーの名前が入る)さんはどうしてこんな森の奥へ来たの?しかもひとりきりで・・・。
へぇ、あなた騎士なのね!任務でこの森の近くに来たら、迷い込んでしまったの?慣れない土地で迷子になるのは大変よね。
食事の材料持ってきたデ・・・痛ッ!
リュウガン!?だ、大丈夫・・・!?
平気ヤ。あはは、ちょっとドジってしもたナ。オレは金魚だから地上へ上がるときは気をつけなあかんのニ。
怪我したところ、見せて。ああ、火傷みたいになってる・・・え?○○○(プレイヤーの名前が入る)さん、薬を持ってるの?
ああ・・・だいぶ楽になったワ。おおきに。代わりと言ってはなんやけど、美味しい食事作ったるワ!
リュウガンが作るご飯、すっごく美味しいの。期待してていいよ!
リンが得意げに言うのはちょっと違うンちゃうか?
あはは・・・まぁまぁ。ほら、あんまり無理しないで。材料とかは私が選んでおくからさ!
・・・はぁ、時間が経つのはあっという間だね。もう○○○(プレイヤーの名前が入る)さんが出発する日だなんて。でも、元気になってよかった!
あのさ、私を一緒に連れて行ってくれない?私・・・この池を飛び出して世界を見てまわるのが夢なの。
・・・そう、だよね。金魚池には私の大切な家族や友達・・・リュウガンがいる。
うん、私・・・焦っていたのかも。もし旅に出るなら、やっぱりリュウガンも一緒がいいって気づいちゃった。
リュウガンはまだ怪我が治りきっていないし、今回あなたと一緒に行くのは諦めるわ。
でも、いつの日か絶対に私は世界中を見てまわるから、もしまた会ったら・・・そのときは一緒に旅をしましょ!
恋揺蕩う金魚姫リン
はぁ・・・外の世界へ行ってみたいな。いつか絶対に世界中を旅してみせるんだから!
どうしてそんなに旅をしたいン?この池だって十分素敵やン。
だって・・・ここには、私の王子様がいないんだもの!
王子様ァ?なぁに寝言抜かしとるン?
寝言じゃないもんッ!王子様は絶対にどこかで私を待ってくれてるの!
あぁ・・・はいはい。愛だの恋だの、よくわからんわァ・・・。
あら?池のほとりの鐘が鳴ってる・・・誰かお客さまが来たみたい!
あっ、リン!慌てすぎやでェ・・・!
・・・あっ!この間池の近くで生き倒れていたところを助けてあげた○○○(プレイヤーの名前が入る)さん!?
どうしたの?また森の中へ迷い込んで来ちゃったの・・・?
フフ、今日は大丈夫なのね。え?今日はこの間のお礼を持ってきてくれたの?
わぁ・・・素敵な飴!へぇ、森の近くにある国で買ってきてくれたんだ。
随分洒落たもの買うてくるやン?ありがたくいただくわ。
リュウガン!もう・・・ちゃんとお土産のお礼言ってから食べてよね?
はいはい。わかってるって。おおきにな!じゃあ、いっただきま~す!
私もいただきます!・・・んぐんぐ、あぁっ、美味しい!初めて食べる味だけど、爽やかで甘くて最高~!
・・・すまん。リン、○○○(プレイヤーの名前が入る)さん・・・オレ、ちょっと具合悪なってきたから帰るわ。
え!?大丈夫なの・・・?
おう。大したことはないと思うンやけど・・・
あとでお見舞い行くから。じゃあね・・・!
リュウガン、平気かな・・・え?○○○(プレイヤーの名前が入る)さん、今日は金魚池のほとりでキャンプする予定なの?
・・・うん。じゃあお言葉に甘えて、リュウガンの様子を見てくるね。じゃあ、また明日・・・!
リュウガーン!大丈夫?お見舞いに来たよー!返事がない・・・まさか、中で倒れてるんじゃ・・・。
あれ?窓から覗いても・・・誰もいない・・・えっ!?誰かがリュウガン家の庭に倒れてる!?
すみません、大丈夫ですか!?・・・って、この人めちゃくちゃ美青年じゃない!?
あぁ、いけない。私ったら緊急時になんて不謹慎なことを・・・!
でも・・・素敵な人。この人は一体誰なのかしら・・・この辺りでは見たことのない顔だけど。
と、とにかく!どこか安全な場所で寝かせないと。リュウガンの家で一時的にお世話になってもいいかな?
リュガン~!いないの?・・・ったく、どこ行ったんだろう?病院に寄ってるのかな。
リン・・・?どないしたン?
え?・・・この声・・・は・・・まさか、あなたは・・・。
はぁ?何言っとるン?オレはリュウガンやろォ?頭でも打ったンか?
もう~~バカリュウガン!鏡を見なさいよ!ほらぁ・・・!
はぁっ!?な、な、な、なんじゃこりゃアァ~~~!?
鏡見る前に体の違和感とかなかったわけ?鈍いんだから・・・。
ンなこと言われても、こんな大変身しとるなんて普通夢にも思わンやン!
そりゃあね・・・それにしても、どうしてこんなことに・・・。
多分、○○○(プレイヤーの名前が入る)さんからもらった飴のせいやナ。あれ食うてから体おかしなったもン。
えぇ・・・じゃあ、もしかして毒入りだったとか!?
いや、多分オレの体質とあの飴が合わンかっただけヤ。その証拠に、リンにはなんの異変も起きてヘンやろ?
確かに・・・でも、地味にショック・・・人間の姿に変身しているとはいえ、幼馴染のリュウガンにトキめいちゃうなんて・・・。
ン・・・?今、なんか言ったかァ?
いいえ、いいえ!なぁ~んにも言ってませんよぉ!・・・きゃっ!?
おっ、効果が切れたみたいやナ。元に戻れてよかったわァ!
多分、あの飴にはキンギョソウが入ってたンや。キンギョソウは金魚が摂取すると副作用あるって、昔おかんから聞いたことあるワ。
やっぱり金魚の姿が性に合ってるわァ!すいすい~っと!ほら、人間の姿じゃこんなに早く泳げヘン!
・・・そうだねぇ。はぁ、元に戻ってホッとしたような・・・ちょっと残念なような。
あっ!○○○(プレイヤーの名前が入る)さんが心配してるから、大丈夫だったよって報告しないと!
せやな!じゃあ池の水面まで競争と行こうヤ!
フフッ、はいはい!・・・やっぱりリュウガンは金魚の姿が一番らしいね。・・・でも、たまにはあの姿も見たいかも、なんてね~。
辛掬う金魚姫リン
きゃあぁっ!?な、何・・・!?今、辺りが大きく揺れた・・・?
リン!大丈夫かァ!?怪我してヘンか!?
う、うん・・・大丈夫。だけど、今の大きな振動・・・なんだったの・・・?
もしかしたら、池のほとりで何かあったのかもしれン!一緒に様子見に行コ!
わかった、すぐ用意するね・・・!
・・・あぁっ、あれは・・・ドラゴン!?しかも子連れのお母さんドラゴンだわ!
さっきの大きな揺れは、ドラゴンたちが池の水を勢いよく飲んでいたから起きたみたいね。
ドラゴン親子、どうやら池のほとりに巣を作っとるみたいやナ・・・。
もしこのまま居着いちゃったら、子ドラゴンが大人になるまでに金魚池は飲み干されちゃうかも・・・。
まずいなァ・・・あっ?なァ、あそこにいるの・・・○○○(プレイヤーの名前が入る)さんちゃう?
え?・・・ほ、本当だ!ドラゴンたちを観察してる・・・のかな?あっ、私たちに気づいてくれたみたい!
久しぶり、○○○(プレイヤーの名前が入る)さん!今日はどうしたの?・・・ああ、あのドラゴン親子を調べていたのね?
なァ、このままじゃ金魚池が全部飲み干されてしまうかもしれヘン・・・何かいい案ないやろカ?
ごめんなさい。そんないすぐいい案が浮かぶわけないわよね・・・あっ!?
ど、どないしたンや!?急にそないな大声出して・・・ドラゴン親子に気づかれてしまうやン!
金魚池の伝説!リュウガンも聞いたことあるでしょ?
池の底に水を生み出す翡翠が埋まっていて、金魚池はその翡翠が生み出した水でできタっちゅう・・・ああ、そうか!
翡翠を上手く使えば、ドラゴンたちに池を飲み干される心配がなくなるかも!
せやな!じゃあ早速池の底へ行コか!
うん!○○○(プレイヤーの名前が入る)さん、私たちちょっと行ってくるね。それまでドラゴン親子のこと見守っていてくれる?・・・ありがとう。
よっしゃ!待っててナ・・・!
・・・急がなくちゃ。私たちの大切な故郷・・・大事な金魚池がなくなっちゃったら、大変!
普段あんなに外の世界へ行きたい言うてるのに、故郷のピンチには必死になるンやなァ?
当たり前でしょ!旅は帰る場所があってこその旅だもの。私にとっては金魚池は、世界中どこを探しても他にはない大切な故郷よ。
フフッ・・・なかなか良いこと言うやン?
池の底・・・着いたけど・・・長い間誰も訪れていなかったみたいね。ヘドロと藻だらけだわ・・・。
視界悪ぅてなんも見えヘンな・・・ここで翡翠を探すのはなかなか骨が折れそうヤ。
きゃあっ!?ま、また揺れが・・・ドラゴンがお水飲んでるのかな。
なんにしろ、急がなあかンってわけヤ!
そうだね・・・でも、本当に間に合うのかな。金魚池がなくなったら私たち、どこで暮せばいいんだろう。
リュウガンがまだほんの稚魚で、私が赤ちゃんだった・・・金魚池で泳ぎ回って楽しかったなぁ。水面に映る太陽を見てはしゃいだり・・・。
なンや急に思い出話なんてして・・・どないしたン?
金魚池がなくなったらと思ったら、色々思い出しちゃって。あ、肝試して池の底に行ったこともあったね・・・あっ、あれってもしかして・・・!?
リン?急に大きな声出してどないしたン!?
大事なことを思い出したの!もしかしたら池を救えるかも!
ちょっ、ちょっと待ちィ!
っ・・・はぁ、はぁ・・・確かあの棚の中にしまっていたはず・・・!
突然全速力で泳いで行くからどこへ向かったンかと思えば、リンの家やンか・・・どないしたンや?
リュウガン、これを見て・・・!
なっ!?そ、それは・・・。
小さな頃、肝試しで池の底へ行ったときに拾ったの。これが伝説の翡翠だったんだ・・・!
池底で藻にまみれていたこの綺麗な石、ひと目見たときから気に入って、つい掬い上げて持ち帰ってきちゃったんだよね。
今までこの石の存在、すっかり忘れていたけど・・・でもこれが本当に伝説の翡翠なら・・・。
お願い!金魚池を救って・・・!
あぁっ・・・翡翠が光だしタ・・・!?
まるで水中の太陽みたい・・・池の中心に浮かんでいく・・・!
水か溢れてきとル!ほんまに伝説の翡翠だったンや!
これで金魚池は安泰やナ!
うん!よかった・・・本当によかったよぉ・・・
泣くなヤ・・・オレのヒレ、涙拭くのに使うか?
フフッ、大丈夫っ!さぁ、○○○(プレイヤーの名前が入る)さんに報告に行こうか!ドラゴン親子の様子も気になるしね・・・!