【白猫】リスリー・思い出
つぎはぎぬいぐるみ騎士 リスリー・スクイレル cv.小松史法 全身つぎはぎのぬいぐるみ。 子どもたちの味方を自任している。 | ||
2015/06/26 |
メインストーリー
思い出1
<ある、雨上りの日……。>
あれ?水たまりになんか落ちてる?ハンカチ……かしら。
<キャトラが布きれ(?)に近づくとソレはいきなりうごめき始めた。>
ぶぐぶぐぶぐ……
ぎにゃー!?なにこれー!?
ぶぐぐ、ぷるぷるぷる……!
< 水しぶきをまき散らしつつ、布きれの固まり……
いや、ぬいぐるみが、立ち上がった!>
『なにこれ』とは失敬な。ワタシはリスリー!<ぬいぐるみ騎士>でアール!
ぬいぐるみがしゃべった!?てゆーか、泥飛んできた!
ふっ、細かいことを気にしないでクレタマエ。
だいたい、キミもしゃべるニャンコなのでアール。
なによ、せっかくどろんこの中から見つけてあげたのに。偉そうねぇ。
なんだか、ボロボロみたいですけど……どうしたんですか?
ワタシは<ぬいぐるみ騎士>!吹っ飛ばされても投げつけられても大丈夫……なのでアールが。
ふーん、材質的に水とかに弱そうよね。
ふっ。英雄には欠点がつきものなのでアール。
なるほど、雨に降られて、水を吸って泥まみれになっちゃったんですね。
そのとーりでアール。こればっかりは、いたしかたないのでアール。
もし、よろしければ、汚れを落としましょうか?
いいの?そんな、わけわかんないの拾っちゃって。
おお、お嬢さん、なんとも心優しい!
それに比べてこのニャンコは性悪っぽいのでアール!
アンタに言われたくないわよ!
まあまあ、ふたりとも。せっかく出会ったわけですし、仲良くしましょうよ。
お嬢さんがそう言うなら、ワタシもニャンコには礼をもって接するのでアール。
まったく。ゲンキンなんだから。
ふふ。じゃあ、リスリーさん。お洗濯しましょうか。
え?きれいにするって、マサカ……?
さあ、泥を洗い流しましょうね。
わー!ふたたびずぶ濡れなのでアール……!
ぶぐぶぐぶぐ……
思い出2
ふう、やれやれ、ひどい目にあったのでアール。
どうしたんですか、リスリーさん……!?その腕は!?
<リスリーの右腕がもげて、中からぬいぐるみの綿がはみだしている。
ちょっと、アンタそれ大丈夫なの!?大ケガしてるじゃない!
ふむ、この程度、ドウということはない。日常茶飯事なのでアール。
<リスリーは、平然として、自分の右腕をもう片方の手で持っている。
もしかして、ぬいぐるみだから、いたくない、とか?
左様でアール。もう一度、ツギハギすれば元に戻るのでアール。
へえー。なんだか便利な体ねえ。
でも、そんなになってしまうなんてもしかして、激しい戦闘をしたんですか?
そういえば、アンタ、<ぬいぐるみ騎士>だったっけ?
そのとおり!魔物から子どもたちを守って八面六臂の大活躍だったでアール。
それで、魔物にかじられてこんなことに?
いや、ウデがもげたのは、私がコドモたちの人気者すぎて、取り合いになったからでアール。
『これ、面白いからひっぱってみよー』とか、コドモたちは無邪気なのでアール。
それ、イタズラっていうんじゃないの?
コドモたちと遊ぶのも<ぬいぐるみ騎士>のつとめ!このくらいかまわないのでアール。
でも、腕がとれちゃってますけど……
ワタシの体は自分で修復可能なのでアール。全然平気でアール。
だが、人間は壊れたら元に戻れないのでアール。ゆえに、守らねば、でアール。
へえ、じゃあ、アタシのことも守ってくれる?
ニャンコは……かんだり、なめたりしてドロドロにされるから苦手なのでアール。
失礼ね!アタシはそんなことしないわよ!
世の中にはニャンコ専用のぬいぐるみもあるのでアール。彼らに遊んでもらうのでアール。
しないっていってるでしょーが!
思い出3
<今日はいい天気だ。物干では、洗濯物がはためいている。>
ふう。やれやれ。乾くまで辛抱なのでアール。
<……リスリーも一緒にはためいている。>
リスリー、アンタまさか、また泥の中につっこんだの?
ニャ、ニャンコ!?しばらく近寄らないでほしいのでアール。
なによ、失礼ね。アタシ、なにもしてないでしょ?
ネコ科の生き物なんて、ろくでもないのでアール。
なんの動物かわからないアンタにいわれたくないわ!
まあまあ、ふたりとも。リスリーさん、なにがあったんですか?
実は、さっきグレイルジャガーに気に入られてしまい……
なめられたりガジガジされたりと、とても大変だったのでアール。
ああ、それで、またドロドロになったんですね。
だからって、アタシまで遠ざけなくたって!
だって、この高さは、ちょうどニャンコの狙いやすい場所でアール。
そういわれれば……って、そこまで見境なくないわよ!
でも、キャトラ、しっぽふりふりしてるわよ?
はっ!つい、血が騒いじゃって!
やれやれ、コドモたちだけでなく、ケモノたちにもモテモテとは……
美形ぬいぐるみもツライのでアール。
むしろ、子どもたちには別の理由でモテてるんだと思うわ。
ああ、はやく乾いてほしいものなのでアール。
思い出4
ねえ、リスリー、前から気になってたんだけど……
どうしたのでアール?ニャンコ、まさか、またワタシを狙って……!?
違うわ!じゃなくて!なんでアンタってそんなにボロボロなの?
ふっ、コドモたちにモテまくり、ケモノにもモテまくり……その結果でアール。
ほんとに!?
冗談でアール。
もう、こっちはまじめに聞いてるのにー。
ニャンコよ、以前、ワタシが『なんの動物かわからない』と言っていたでアールな?
あ、うん、言ったけど……
ワタシの体は、仲間たちから少しずつわけてもらったものなのでアール。
えっ?
まだ<ただのぬいぐるみ>だったワタシは、火事によって燃え尽きかけていた……
火事ですって?
当然、動けないワタシの体は、ほとんど燃えてしまったでアール。しかし……
奇跡が起きたのでアール!
かわいがってくれた主を助けたい気持ちが、ワタシに力を与えたのでアール。
動けるようになったワタシだったがあいにく、体がほとんど燃えて手足もなくなっていた……
しかし、なんとかして、主を追いかけなければ!
あせるワタシに、仲間のぬいぐるみたちの声が聞こえてきたのでアール。
『僕の手を使って!』『私は足をあげる!』『あの子を守ってあげて!』と。
ワタシは、その声に応じ、焼け残った仲間たちの体をすこしずつツギハギして……
<ぬいぐるみ騎士>となりよみがえったのでアール!
なるほど、それで、今の姿に……
大変だったんですね……
いや、それより、心配なのはワタシの主でアール。
幸いにも、命は助かったが、きっと、今頃どこかで心細い思いをしてるはずでアール。
その子の手がかりは、なにかないの?
わからないのでアール……しかし!
この<ぬいぐるみ騎士>が、必ず見つけ出してあげるのでアール!
そういうことなら、私たちも協力しますね。
思い出5
<雨の降り続ける日。
リスリーは憂鬱そうな顔(?)で、窓から空を見上げる。>
ハア……こうジメジメすると気分がすぐれないでアール。
アンタ、湿気に弱いもんねー。
気持ちが沈むと、昔のことを思い出してしまうのでアール……
…………
……
火事の中、少年の泣き声が響いている……
(ああ、ワタシに力があれば……!
ワタシに力があれば、この子を助けられるのでアール!)
ぬいぐるみたちは、幼い少年に覆い被さっていた。
たとえ動けなくても、身を挺して少年を助けるかのように……
(かわいいだけでは、この子を救えないのでアール!
ただ、かわいがられる対象では、大切な人を守れないのでアール!
ワタシが燃え尽きたとて、この子が助かるのなら……!)
リスリーの願いはかなえられた。
少年はぬいぐるみたちにかばわれ、ひとり生き残った……
その後、焼け跡から、泣きながら歩き去った主を見て、ワタシは願ったのでアール。
たったひとりになってしまった、彼を、守れるようにナリタイと!
リスリー……
ふう、雨の日は気持ちまで湿気ってしまってよくないのでアール。
心なしか、アタマが重いのでアール……
大丈夫ですか?
こんなときには……
アタマのワタの交換でアール!
なんでじゃー!
湿気ったワタは交換するにかぎるでアール。
<リスリーは、頭から白い綿を引っ張りだしはじめる。>
あたらしいわたをつめれば、きもちはりふれっしゅであーる。
頭ぺったんこなのに、よくしゃべれるわね……
リスリーさん、もしかして、無理してるのかも……
そ、そうかなあ……?
まったく、すこしも!むりなどしてないであーる!
ほら、やっぱり。
ほんとに……?
なにをいう、わたしは、なにもー!
ああ、もう、ムリしなくていいから!
思い出6 (友情覚醒)
おお、暖かい。まるで、あの子に抱きしめられているような……
そうか、わかったのでアール。
ワタシは、<ぬいぐるみ騎士>!すべてのコドモたちの味方でアール!
リスリーさん……
あの日、ワタシは気づいていたのでアール。
強くなければ愛するモノを守れないと。
どこかにいるはずのあの子のもとにたどり着き……
そして、あの子を今度こそ守ってみせるのでアール!
やれやれ、ようやくアンタらしくなってきたわね。
ワタシは誓うのでアール。このボタンの目にかけて!
昔、ワタシの目が取れたとき、あの子が自分の服からこのボタンをつけてくれたのでアール。
へえ、じゃあ、リスリーさんの目はその子とおそろいのボタンでできてるんですね。
アタシとアイリスのリボンと同じね♪
ウム、きっと彼を探し出せるようにワタシのこのボタンの目はあるのでアール。
ワタシの体の一部となった仲間たちにも、これからも力を借りるのでアール。
そして、伝えるのでアール。ワタシたちがどれだけあの子を大好きなのかを!