【黒ウィズ】天上岬 Story
2014/11/25
プロローグ
今日は君とウィズにとって久しぶりの休日。
あてもなくトリッカの街を散歩しようということになった。
「広場からちょっと外れると、結構知らない場所もあるもんだにゃ。」
朝の冷たい風が心地いい。
ふと、どこからか運ばれてきたのか、甘い香りが漂ってきた。
「なんにゃ? この香り……。
……こっちから漂ってくるみたいだにゃ!」
匂いの元を辿っていくウィズの後を、君は追いかける。
すると……。
「にゃにゃ? ……こんなことろに温室なんてあったかにゃ?」
路地裏にひっそりと建つ、ガラス張りの建築物。
どうやら、香りの発信源はここのようだ。
「ちょっと入ってみるにゃ……。」
ウィズは吸い寄せられるように、フラフラと温室の中へと足を進める。
そして、君も。
怪しいとは思いつつも、香りの魅力に、抗うことができない……!
「どうやら、匂いはあの花からしてるみたいにゃぁ……。」
ウィズの言葉に視線を上げると、どこか妖しい雰囲気を漂わせている、大きな花があった。
「とってもいい香りにゃ~……ほら、キミも嗅いでみるといいにゃ?」
君は言われるがまま、その花に鼻先を近づけた。
甘く、深い香り。どこまでも優しく、君を包み込んでくれるような……。
「むにゃ……。」
そう、まるでベットの上で、毛布に包まれている時みたいに……。
君の意識は、ゆっくり、ゆっくりと、甘い香りの奥へ、沈んでいく……。
next
天上岬 | |
---|---|
天上岬 ~とこしえの姫君~ | 2015/11/25 |
天上岬の調香師 ~しあわせのラストノート~ | 2016/01/15 |