リルム・テニスの思い出
思い出1
おい、そこの人間。
我を手に取れ。さすれば貴様に力を授けよう。
杖が喋ってる!
ふん、白猫の。そういう貴様も喋るではないか。
まあいい。実は今……
――あった! 私の杖!
探したよー、杖の人。勝手にどっか行くとか良くないなー。
我のせいにするな、小娘よ。お前が我を落としたのだろうが。
えっと、その杖はあなたの?
そうだよ。もしかして拾ってくれた?
拾ったというか、出会ったというか。
ありがとう! 気づいたらどっか行っちゃってさー。
我のせい? だから、お前が落として――
ねえねえ、ここって、何するところ?
ここはテニスコートよ。
テニスのことは……知らないカンジかしら?
このラケットで、ボールを打ち合うスポーツなの。
なにそれ! なんか面白そう! 私もやりたい!
あ。でも、ラケット? は持ってないなー。うーん。
ま、いっか。杖の人で。
我で打つのか!?
ラケットなら予備を賃してあげるね。あなたのお名前は?
リルムだよ! こっちは杖の人。
名前を言わんか。我は<魔杖エターナル・ロア>だ。
よろしくね!
思い出2 (LV20)
よ! ほっ! こんなカンジ?
上手いわ!リルムちゃん!
……ふむふむ。じゃあ、リルムは魔道士なのね。
そうだ。魔道百人組手なる、魔道修行の旅をしている。
そして我は<魔杖エターナル・ロア>。
数多の大魔道士を、邪悪な力により傀儡にしてきた……
ねえねえ! リルムって、どんな魔法が使えるの?
……我には興味なしか。
いろいろー。リルム式ロロット砲とか、ラジカル融合魔法とか。
ラジカル……?
ふん、小娘は我を投げてばかりで、ロクに魔法を使わん……
ん? ロアを投げるの?
名づけて<グレートザッパー>!
じぶんで言うのもなんだけど、なかなかな威力。
ヘー! なんかすごそう! ねえ、見せて見せて!
持て。そんな思いつきで、我は投げられるつもりはないぞ。
こんなかんじ!
グレェェートザッパーーー!!
話を聞かんかああぁぁ!?
おお! 確かになんかスゴい!
小娘! お前はいつもそうだ。人の話も聞かないで、自分勝手に……
杖の人、<人>じゃないじゃん。
あ、そうだった。いや、だとしてもだな――
ふふふ、変わった関係だけど、なんだか楽しい二人ね♪
思い出3 (LV40)
うぉー! 強いなー! だけど負けないぞ!
……というように、小娘は我の話を聞かん。自分勝手で、好き放題ばかりして……
……あー、なるほどね。わかる。うん、わかるわよー
(キャトラが……ロアさんの愚痴相手に!)
……たまに、何故あやつの杖をしているのか分からなくなる。
そうは言うけど、リルム、けっこういい子じゃない。
前向きで、目の前のことに一生懸命で、アタシは嫌いじゃないわよ?
でもアホだぞ。
そこはノーコメントにしとくけど。
我とて、小娘の全てを否定しているわけではない。
だが、あの行動だけはどうにかならんものか。そう、あの――
グレートサッパー!
ぬわああ投げられる!?
え!?
あれは!
へ?
は、入っちゃった……
おおー、思わずやっちゃったけど……
悪くないぞ! なんか、ひっさつわざ誕生の予感?
ラケットのグレートザッパーだから……
よし! <ラケットザッパー>と名付けよう。
そのままか!
思い出4 (LV60)
「てりゃー! おりゃー!」
「小娘、テニスばかりしてるな。
魔道修行もそっちのけで……まあ、これはいつものことか。
最近は我を持とうともせん。」
「楽しー!」
「なんか、投げられないなら投けられないで、しっくりこな……
いかんいかん! 我は何を考えている……!?」
「それー! ラケットザッパー!」
「おい、小娘!」
「なに、杖の人?」
「テニスもいいが、いくら練習したところで魔道の真髄は掴めん。
そろそろ魔道百人組手の旅に戻ってはどうだ?」
(小娘がテニスにかまけてばかりだから、余計なことを考えるのだ。
他のことに興味が移れば……!)
「投げるなら、せめて我にしろ。いや、できれば我も投げん方が良いが……。」
「?」(杖の人も、テニスで投げられたいのかな。
でもテニスはラケットでやるものだし、うーん……)
「……やっぱり、杖の人よりラケットの方がいいかな!」
「!! な……」
「あ。もうこんな時間! 明日は主人公と練習の日だ!」
「我よりも……ラケットを選ぶというのか……?」
これは……よくないわね。
思い出5 (LV80)
ねえリルムちゃん、ちょっといい?
ん? なに?
アンタね、あれはよくないと思うのよ……
***
……そもそも、魔杖である我を投げること自体がおかしかったのだ。
投げられないのだから、喜ぶべきた。落ち込む必要など……
もう良い。我に構わず、お前は練習するがいい。
<かける言葉が見つからず、
主人公は練習をすることにした。>
それに元々、小娘は我を必要としてなど……
む!
いかん!
「危ない!!」
え?
助けなきゃ! いくよ、杖の人!
グレェェートザッパァァー!!
思い出6 (覚醒進化) (LV100)
だいじょうぶ? 主人公。
おー、無事でなにより。
……小娘よ。なぜだ。なぜ、我を投げた?
お前にはすでに、ラケットが……
ううん。やっぱこういうのは、杖の人じゃないと。
ラケットじゃダメかなーって。
小娘……
間に合ってよかったー。
…………
……まあ、いい加減この扱いにも、慣れてきたところではある。
仕方がない。もうしばらく、付き合ってやるとするか……
いや、そもそも。ラケット投けちゃだめだから。
む、キャトラよ。それはどういう……
テニスはね、紳士淑女のスポーツなのよ?
ああいう危険なプレーは、ルール違反なんだから!
何?
さっき、リルムちゃんにそのことを伝えたんです。
まあ、ルール違反ならしょうがない!
持て! じゃあ何か? 小娘は我を選んだのではなく……
これからはルールを守って楽しくプレーする!
投げるのは杖の人で我慢する!
いや、投げるな!!
超ラジカルで超マジカル
その他
相関図