イズロム・ガドラ
イズロム・ガドラ CV: |
2014/07/31 |
あらゆる魔法にはいくつかの特徴がある。
クセ、って言い換えたほうがいいかもしれない。
それは使い手のクセだったり、魔力の特徴だったりと様々だ。
そして妖精である僕は、それを見破ることができた。
「イズロム!」
「おう!」
僕の主人――イズロム・ガドラは、僕の背中に指を当て、僕と『視界をリンク』させる。
僕の目を通して見ると、「特徴」や「クセ」が浮き彫りになるんだ。
次の瞬間、魔法円がいくつも空中に展開される。
簒奪(さんだつ)の魔法円。
相手の魔法を無理矢理奪い、自分のものにして相手に返す――。
それが彼だけが使える、唯一にして最強の盾、そして矛だった。
「ふぅ、乗っ取り完了! ずいぶんとダサい魔法だなぁこりゃ」
「それでも攻撃力はスゴイよこれ。いい魔法だし、少し借りよう」
主導権がイズロムへ移り、敵の魔法使いは慌てふためいた。
当たり前だよ、騎士で言えばいきなり剣を盗まれるようなもの。
ずるい戦い方だ、って言う奴もいるけど、僕はそうは思わない。
だって、いつだって勝った奴が正しいんだから。
「フムフム……なるほど? こうしてやれば……」
バキバキと音を立てながら、氷がその大きさを倍加させ、形を変えて龍になった。
彼の真骨頂はここにある。奪った魔法を組み替えて、自分のオリジナルにしてしまうんだ。
「これでダサくなくなったかな? なあアンタ、そう思わないか?」
……ああもう、敵さん怒っちゃったよ。
毎回毎回相手を挑発しないでほしいな、と僕は思う。
「イズロムはいじわるだなぁ……まあ、そこがいいんだけど」
お互いに笑いながら、僕らは杖を振り上げた。動きに合わせて、龍が空を舞い踊る。
不敵な横顔を見つめて、僕は思った。
これからもずっと、彼についていこう。
ずっとずっと、一緒に!