【黒ウィズ】マセカ・ペルソナ
マセカ・ペルソナ |
ハロウィンのこの日、とある場所で魔道士たちの力を競い合うトーナメントが繰り広げられていた。
決勝まで進んだ仮面少女マセカは苦戦に顔を歪ませる。
「どうしたらいいの?
アタシの魔法が全然効かないなんて!」
マセカは天才というよりも努力の人だった。
片手で持てないほどの重い魔道書を何冊も読破し、研鑽を積んでいったのである。
そしてついに、あらゆる魔法使いたちを召喚する術を見つけ出した。
マスクを被るだけで、どんな魔法も使いこなせる術を。
しかも戦って葬り去った相手までも仮面化し、自らのコレクションにすることさえできるようになったのだ。
今大会でもマセカは、相手によって召喚するマスクを変え、ここまで順当に勝ち進んできたのである。
しかし決勝の相手は手強かった。
全く戦術が見えないのだ。
マスクを召喚しようにも、どれを呼び出したらいいのかさえ判らないのである。
もちろん、相手の戦い方は、事前に観戦し研究したつもりだ。
けれど、目の前にいる強敵は、対戦ごとに戦術を変えて勝ち上がってきたのである。
そしてこの決勝でもそれまでに見たことのない戦い方を繰り出してきた。
「このままじゃ、やられちゃう......」
その時、苦戦する彼女の耳にどこからか声が聴こえてきた。
「テヲカリヨウト オモウナ」
「オマエハ スデニ ジブンダケデ タタカエル」
「誰!?」
愕然とし動けないマセカに攻撃が迫った。
「自分で......戦える? ......この私が!?」
気付くと同時にマセカは仮面を脱ぎ捨てていた。
目前の攻撃を器用にかわした彼女は、反撃の魔法を放った。
「アナタも私のコレクションになりなさい!」
耳をつんざくような断末魔の叫び――その声がマセカのリボンを震わせた。
まるで彼女の勝利を祝うかのように......
――ついに、難攻不落と思われた強敵は砕け散った。
荒い呼吸に揺れる巻き髪が頬を撫で、マセカは我に返る。
「さっきの声......?」
その声に応じるように仮面が魔道書から溢れ出し、彼女の周りで浮遊する。
ありのままの才能を開花させた彼女は、幾千もの仮面たちと夜通し踊り明かした。