ジュダ・テニスの思い出
思い出1
のどかなテニス日和ねえ。
…………
わっ、ジュダ! どこから現れたの!?
テニス、か。
え? ああうん、テニスよ。
帝国でも、たしなむ者は多い。奴も楽しんでいた。
アンタの国の……皇帝さん?
そうだ。
ジュダさんは、帝国のひとなん
ですよね。
帝国とは、世界でも有数の巨大国家である。
帝国軍、第十三軍団所属、大佐……帝国の棺と呼ばれている。
肩書きなどに、意味はないがな。
ジュダはやったことあるの?
何をだ?
だからテニスよ。
俺が……?
どうやら未経験ね! ちょっとやってみない?
楽しいですよ?
(楽しみ、か……
いつか、奴と遊ぶ日もあるかもしれないな……)
教えてくれ。
思い出2 (LV20)
…………
(力に任せては、競技にならぬ……
要するは、己を抑え、制御することか……)
ジュダさんすごい。いきなりでこんなにできるなんて。
反応がいいんだわね!
俺の本性は、狼。神獣の因子から造られた獣だ。
おおかみ。そうよね。ボールを追っかけるのはお手のものってことかしら。
追うのはいい。だが――
ラインに縛られるのは好かん。まるで檻だ。
そりゃ、そういうスポーツだから。
スポーツは好きだ。ボールもな。
檻の中での振る舞いも、慣れている。
おおげさねー。
あのね。アンタの中にとんでもない力があるらしいのは知ってるわ。
けど、ルールかあるおかげでテニスは誰とでもできるんだから。
誰とでも、か。
そうそう。そういうのはいいかんじに抑えていきましょ♪
ああ。
思い出3 (LV40)
ジュダは、連邦某国の城に潜入していた――
「……覚えているぞ。この匂い――
我が帝国の敵よ。尻尾を出してもらうぞ。
(大会を利用するつもりか。昔ながらの戯れだな)
ジュダの追っていた武器商人が、敵国の要人と取引をする。
その現場に、テニスの国際大会を利用しようとしているのだ。
「ならば、俺も戯るか。」
***
大会に出場する。
急ね!? ウデ試しでもしたくなったの?
近々、国際的な親善大会が行われる。
帝国、連邦所属国はじめ、各国から選手か集う大会だ。
vへえ、そんなのがあるんだ。
ジュダさんもそれに招待されたんですか?
招待などされていない。
え?
俺は帝国の棺。どうとでもなる。
ま、まあ、深くは聞かないでおくわ……
で、それに出ると何かいいことがあったりするの?
皇帝がひまそうなのでな。カップでも持って行って、驚かせてやるつもりだ。
じゃ、もっとしっかりテニスできるようにならないとね!
問題などない。
なら、それを見せてもらうわ。練習よ!
***
ウォーン!
そーゆーところよ心配なのは!
思い出4 (LV60)
ほんと、いろんな国から選手が集まってるのね!
どこの人も一緒に盛り上がれるから、テニスっていいわね♪
それに、ジュダさんも。
準決勝まで勝ち進むなんて!
これが、おおかみの力ってやつかしら!
もうすっかりテニスプレーヤーだわね♪
すごい! これで決勝進出だわ!
決まった! 決勝の相手はあの選手ね。
連邦の有力選手と聞く。
帝国よりの挑戦者は、ことごとくあの相手に敗れた。
ちょっとちょっと、ジュダ。
晴れやかな決勝戦なんだから、国のこと持ちこんでケンアクになったりしないのよ!?
戯れだ。
わかってんなら、いいけど……
ジュダさん! かんばってください♪
ここでは本気は出さん。
ここではって何!?
思い出5 (LV80)
フン!
30-15!
ぬっ……!
30-30!
うーん。このゲームもじりじりした展開になってきたわね。
あの相手の選手、ジュダさんみたいなすごい力はないけど、すごく上手いんだわ。
粗くなったところを、見逃さずしっかり突いてくる……!
今のジュダには、いちばんイヤな相手かもね……!
俺を踊らせるか。
手を尽くすがいい。俺を追い詰めて見せろ。
この俺を……!
あら? ジュダの様子がなんだか……?
仮に俺が破れるならば、それは帝国の敗北に等しい。
帝国の敵に与えられるは、慈悲である。皇帝は汝に棺を賜るであろう。
思い出6 (覚醒進化) (LV100)
ジュダさん、様子が変だわ。一体……?
まさか、いろいろ抑えきれなくなってきちゃったんじゃ……?
いい戦いだ。
……大地ごと。呑み込んでやろう。
…………!!
「けど、ルールがあるおかげでテニスは誰とでもできるんだから。」
「誰とでも、か。」
「そうそう。そういうのはいいかんじに抑えていきましょ♪
もっとしっかりテニスできるようにならないとね!」
…………
その瞬間、ジュダの心に蘇ったのは何だったか。
初めてテニスに触れた時のこと、そして……
……唯一の友と戯れた、かつての記憶……
……誰とでも楽しめる、か。この俺とも……
そういうもの、だったな……
この勝利、皇帝に捧ける!
やったわね!
ちゃんとテニスをやりきったのかエライわ!
途中、ちょっとハラハラしちゃいました……!
俺は棺を送るものだ。
とはいえ、たまには戯れる。仕事はこれからだ。
その他
相関図