【アナデン】リィカ Story
エルジオンの巨大企業KMS社製の作業用アンドロイド。人間に近い人工知能を有しておりものを愛でることができる。内部のプラックボックス部の汗渉により方向音痴などエラーの出ることが……。 |
建設資材を探して
エアポートの補修のための資材を確保しときたい。誰か見つけて来て欲しいのだが。
建設資材を探して
?????
「うん? ますでショウカって……おまえ、ひょっとしてリィカか!?」
「ハイ! ごぶさたしておりマス。その節はドウモ。」
「なんだ知り合いなのか?」
「ハイ。以前カントクさんの現場でお世話になりマシタ。」
「いやあ懐かしいなあリィカ! 元気にしてたか? しかし変わらんなあおまえは。」
「そちらコソお元気そうでなによりデス!」
「おうよ! こっちも生涯現役。人生まだまだこれからだ。ワハハハ!」
「その意気デス、カントクさん。」
「そうだ! リィカ久しぶりですまねえが一つ頼まれちゃくれねえか?」
「ハイ、ワタシでよければお任せ下サイ!」
「そう言ってもらえると助かるぜ!
おまえさん達にはエアポートの補修に必要な資材を持って来てもらいたいんだ。最近なにかと物騒だし品不足気味でな。
ルート99なら使えそうな資材がいくらでも転がってるだろうから今のうちにと考えてな。」
「それならワタシが案内しマス。
昔、あそこの現場で仕事したこともありマスし土地勘もあるのでバッチリデス!」
「え? お前が案内……? 土地勘て……。」
「なにか問題デモ!?」
「え!? い、いやいや……まあお前なら大丈夫だよな……。うん。それじゃあ頼むとしようかな。」
「ハイ! お任せくだサイ。ではルート99に出発シマス!」
***
「たしかこのあたりに使えそうな資材があるはず……ってアレ?」
「ん? どうかしたのか?」
「地形とデータが合致シマセン……。資材も見当たりマセンネ。どうやらここではないようデス。」
「おいおい……どうなってるんだ? 大丈夫かリィカ?」
「大丈夫デス! 問題ありマセン。サア、次のポイントに向カイマショウ。」
「ほんとに大丈夫かな……?」
***
「おかしいデス……ここも違いマス。地形データが一致シマセン。位置情報に誤差が……?」
「またか。ほんとに大丈夫なのか? リィカの使ってるデータが古いってことはないのか?」
「ウーン……それはないハズ。デスガ……わかりマセン。何が起こってイルノカ……?」
「まあいいや。気にするなよリィカ。この辺りを探して使えそうな資材を持って帰ればいいさ。
わわっなんだよ急に!?」
「センサーに動態反応アリ! 敵デス!」
***
「ラッキーデス! これらは資材として転用可能デス。
では早速これをカントクさんに届けマショウ。」
「ああ、わかった。それじゃエルジオンに戻ろうか。」
***
「おう戻ったか。どれ、取ってきた物を見せてくれ!
うんこいつは十分資材として使えるな。よくやってくれた。ありがとうよ!
実を言うとちょいとばっかし心配してたんだ。リィカが道に迷うんじゃねえかってな。」
「確かになんだか地形データがどうのこうのとか言ってたみたいだけど。」
「ああ、やっぱり……。リィカお前まだあの頃のまんまなんだな。」
「あの頃のまま……?」
「リィカには方向音痴になるクセがあるんだよ。 GPS搭載のアンドロイドだってのに。」
「方向音痴? じーぴーえすぅ? なんだそれ?」
「GPSも知らんのか。簡単に言やいつも自分の頭の中に世界地図があるようなもんだ。」
「へえ、そりゃ便利だ。そんなのがあったらもう道に迷う心配はなさそうだ。」
「そいつがリィカの場合時折イカレちまうんだ。どうも特殊なシステムが干渉してエラーを引き起こしてるらしい。
しかも手の込んだことに事後リィカ自身の記憶からエラーが起きたってことを抹消してやがるフシがある。
本人に自分の不具合に気づかせないための処置なんだろうが。」
「エラーが発生した際にその部分のデータが自動的に消去されてしまうらしいのデス。スミマセン……。」
「おまえが謝ることはねえよリィカ。別におまえが悪いわけじゃねえんだ。」
「原因が分かってるならそいつを治せばいいじゃないか?」
「それがそう簡単な話じゃねえんだ。リィカの仕様はかなり特殊でな。特別にカスタマイズされてるんだ。
心臓部は一般の技術屋クラスじゃあとても手が出せないレベルでもうほとんどブラックボックスだ。
結局それが原因で現場から外せと上から指示が出ちまってなあ……。すまなかったなあリィカ。」
「仕方ありマセン。お役に立てないアンドロイドに居場所はありマセンから。」
「そんなことないぞリィカ。お前はよくやってくれた。わし達の大切な仲間だったよ。」
「カントクさん……」
「さて! 年寄りは昔話が長くっていけねえや。頼まれついでにリィカもうひとつ引き受けちゃくれねえか。
その資材をエアポートの現場まで運んでおいてもらいたいんだがどうだ? やってくれるか?」
「もちろん喜んでお受けシマスデス!」
「ありがたい。よろしく頼むぜ! 係のヤツに連絡して待ってるように言っとくからそいつに渡してくれ。
わしもすぐ後から行くから現場で会おう。すまねえがちょいとばっかし用事を思い出しちまってな。」
「了解デス! ではエアポートに資材を届けに向かいマス!」
***
「やあ! あなた達がおやっさんの言ってた冒険者の人達っすね。そしてあなたがリィカさん。
いやあおやっさんからいっつも聞かされてるっすよ。あなたのすっげえエピソードの数々!」
「そうデスカ……カントクさんがワタシの話を……?」
「ええそりゃあもう酒が入るといつも決まってリィカさんの話をするんですよ。
リィカさんがレオナ橋をたったひとりで支えきった話とかガモン・タワーを一撃で粉砕して……。」
「おいこらテル。こんなとこで油を売ってるんじゃねえ。」
「うヘッカントク!」
「すまねえ。待たせたな。」
「いえ。では資材をお渡しシマス。ドウゾ。」
「いえいえ! どうもありがとうございましたっす。それじゃあ自分の方はこれで。お先っす。」
「あらためて礼を言う。ありがとうよおまえさん達。
それとなリィカ。こいつをおまえに渡そうと思ってな。ちょいと倉庫まで取りに行って来たんだ。」
「コレは……!」
「ああ。おまえが昔使っていた整備用の部品だ。
もともとおまえ専用の部品だからな遠慮はいらんぞ。持って行け。」
「カントクさん……。ありがとうございマス!
「これから先エルジオンもいろいろと厳しいことになりそうな塩梅だな……。
こんな時におまえがわしの現場にいてくれたらなあとつくづく思うよ。いや本当にな。
だがどうやら今のおまえにはおまえの居場所……やるべきことがちゃんとあるみてえだしな。」
「……ハイ!」
「よし。それじゃあなリィカ。元気で頑張れよ。」
「ハイ。ワタシ……精一杯頑張りマス!!」