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【アナデン】過ぎ去りし日々の名残 Story

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん



「おおアルドかちょうどいいところに来たな。」

「いいところって? なんか用事でもあるのか?」

「さっき掃除でもしようとお前さんのタンスを見たんじゃが……。

その中にうちのものじゃないものがあるような気がしてのう。

アルドも家を空けることが多いし借りたものなら返した方がいいんじゃないかの?」

「借り物? そんなのあったかな? 覚えてないけどちょっと見てみるよ。」


 ***


「爺ちゃんが言ってたのはこっちのタンスだな。

服はフィーネがたたんでくれていたが……他の棚はほったらかしだったな。どれどれ……。

ほんとうだ……オレのじゃないものが結構あったな……。

仕方ない全部返しに行こう。

まずはこの木刀からか……

たしか鍛冶屋の親父さんに借りたんだったか……。

詳しいことは覚えてないが鍛冶屋にいってみよう。」


 ***


「おうアルドじゃねえか。新しい武器でも必要になったか?」

「いや武器は間に合ってるよ。そうじゃなくてさコレを返しに来たんだ。」

「ふふん……また懐かしいものを持ってきたな。

今でも思い出すよ。フィーネを守る武器が欲しいって散々駄々をこねたのを。」

「わ、悪かったよ。あのときは子供なりに必死だったんだよ!

……でもさ、なんでくれたのがこのやたら重くて使い辛い木刀なんだ?」

「ふん……この重さなら子供には絶対に扱えないだろう?」

「なっ!?そういう理由だったのか!?」

「これなら武器があるからってお前も無茶したりできないだろ?ハハハハ!」

「それを知らずにこの重い木刀を振れるように特訓してたのか……。」

「今はこの木刀を振れるようになったか?」

「当然!おかげでどんな重い剣だって振れるようになったさ!」

「それなら実力は申し分ないな。ま、わしのおかげだな。ガハハハハ!」

「ったく……。そういうことにしておいてやるよ。

さてと次はこの変な形の石か。これはたしか……酒場……だったか?」


 ***


「うん? アルドくんか。どうしたんだ?」

「ああ……こいつのことで話があるんだけど……。」

「石? ああこれは……。」

「この石さ、たぶんこの酒場でもらったか借りた物だと思うんだけど。

なんでもらったのか誰からもらったのかさっぱり覚えてないんだ。

マスター持ち主が誰か知らないか?返しておきたくて……。」

「ぶははははっ!!くくくく!」

「ど、どうしたんだよ?」

「なんだアルドくんその石のことを覚えてないのか!」

「酒場に関係あることぐらいしか思い出せないんだけど……。」

「アルドくん子供の頃ここに入り浸ってた時期があっただろう?」

「そういえば……街の外の話が聞きたくてここの客に話を聞きにきてたっけ?」

「そうそう……それで話をせがまれた旅人の一人がその石を取り出したってわけだ。」

「それでオレにくれたのか? なんだってこんな石を……。」

「ぶふっ! その旅人はな祈り続ければ願いが叶う石だってそいつを取り出したんだよ。

それに子供のアルドくんが食いついてな。この石をあげる代わりにっていろいろ雑用をやらせてたんだ。」

「ええええ!?そんな子供曜しな嘘に引っかかるわけないよ!」

「くくっ……あいつが旅立つときにその石をアルドくんにあげたときは小躍りしてよろこんでたっけなあ。」

「……そ、そんなの嘘だって!」

「クックック……。なんだ信じられないか?ならこんな話もあるぞ?

あれは隊商の護衛の剣士だったか。アルドくんに剣を教えてくれってせがまれて……。

ぷぷ……剣の奥義だって変な踊りを教え込んでたなあ。」

「そ、そんなことあるわけ……あっ……。」

「ほかにもあるぞ? 行商の爺さんに故郷に伝わる健康法だってマズイ木の実を食わされて……。」

「うわわわっ! もういいから!! じゃあ、たしかに返したからな!!」


 ***


「はぁ……いろいろ思い出しちまったよ。子供の頃のオレって……はぁ……。

なんかモノを返すたびに昔のことを笑われてばっか。……さっさと全部返しちゃおう。


最後は古いペンダントか……ってこれ爺ちゃんのだ。

……そっかこれ……まだ返してなかったのか。ちゃんと返さないとな。」


 ***


「ん? もう戻ってきたのか? 借りたものは返してきたのかの。」

「ああ……みんなにからかわれたけど。……それでこれが最後。」

「ん?わしのもんもあったかのう?」

「これさ……爺ちゃんに返すよ。」

「おお……このペンダントは……。やはりアルドが持っておったか……。」

「そうだな。オレが爺ちゃんのを隠してたんだ。でもそのペンダントって結局なんだったの?

子供の頃それを眺める爺ちゃんがあまりにも哀しい顔するから思わず隠しちゃったんだけど。」

「これはの……わしの親友の遺品じゃよ。

魔獣に襲われてしまっての。遺されたのはこれだけじゃった。」

「それは……悪いことしたな。ごめん爺ちゃん。」

「謝ることはないぞ。あの頃のわしは確かに哀しみに囚われて死んでいたようなものじゃった。

じゃがペンダントを隠したアルドと喧嘩をしてるうちに哀しみなんぞ吹っ飛んだからの。」

「あのとき爺ちゃん……怖かったなあ。あんなに怒られたことなかったし。」

「じゃがアルドは絶対にペンダントなぞ知らんと言い張ってたのう。

昔から頑固じゃったわい。」

「だ、だからごめんって!」

「ほっほ……わしのために、やったんじゃろ? それなら今さら怒れんわい。

アルドは昔から頑固じゃったが……爺思いの優しい子じゃったのう。」

「別に……。

深い考えがあったわけじゃなくてただの八つ当たりだよ。

爺ちゃんがオレ達を見ないでペンダントばっか見て哀しい顔してたからさ……。

そのペンダントさえなければ爺ちゃんも哀しい顔をしなくなるんじゃないかって……。

子供らしい勘違いだよな。」

「そう照れんでもよいじゃろ。お前さんの気持ちは十分に伝わったわい。

今までこれを預かってくれてありがとう。」

「……よしてくれよ。じゃ、じゃあオレは行くから!」


 ***


「過日の名残……か。

まったく……あの子の優しさに何度救われたかのう……。」

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