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【アナデン】ミーユ Story

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん
大陸を治める七代目ミグランス王のひとり娘。
可愛らしい外見とは裏腹に父王の才覚をしっかり受け継いでいる。とくに剣の才能は王宮警備隊の騎士たちと比べても遜色がない。幼少のころから城内で過ごしてきたため世俗の常識に欠けている。


人々のための剣

魔物退治を頼むためバルオキーの村人が王都に来ているらしい。ただ騎士の人手が足りず少し時間がかかるようだ。




story1 人々のための剣




「……お~いアルド!

やっぱりアルドじゃないか!」

「……あれ珍しいな。いつバルオキーから王都に出てきたんだ?」

「バルオキーというとアルドの故郷の村……でしたね?」

「ああそうだよ。この人もバルオキーに住んでるんだ。

それでどうしたんだ?用事でもあるのか?」

「ああそうなんだよ。バルオキー村からの依頼として王都の警備隊に話をしてきたんだが……

あんまりいい返事がもらえなかった。魔物の討伐だったんだが……。」

「どうしてでしょう!?民衆の依頼をむげに断るなんて!」

「ほらいま騎士も人手不足だろ?緊急性のない依頼は後回しになるらしいんだ。」

「そうか……じゃあオレが村に帰ってみるよ。しばらく村を空けてたし。」

「それならわたくしも手伝います!王宮警護隊の力不足ならわたくしも責任を感じますから。」

「ん?なんでミーユが責任を感じるんだ?関係ないんじゃ……」

「あっ!ああそうでした!わたくし旅の剣士ですものね……!

えっと……責任じゃなくて……。

そ、そう!アルドの故郷!バルオキーを見たかったんです!案内してくださいませんか?」

「わかった。じゃあ同行してくれよ。戦力は多いほうがいいから。」

「それじゃ頼むぞアルド!オレは他にも用事があるから先にバルオキーに行っててくれ。」


***


「ここがアルドの故郷なのですね!」

「ああそうだよ。のどかでいい村だけど案内するほどの見どころはないなあ。」

「そんなことはありません。実際に人々が暮らしている場所を見るのはとても楽しいです。」

「そんなこと言ってもミーユだってどっかの街で生まれ育ったんだろ?」

「そうですけど……わたくしの家はちょっと特殊で……あまり生活感が無くて……」

「ああ、お金持ちのお屋敷だったのかな?

そういえばミーユの服も剣士にしてはなんだか派手でドレスっぽいし……。」

「えっ!?そうですか?いちばん地味で動きやすそうな服を選んだつもりでしたが……。」

「その服で……!?じゃあ派手な服ってどんなの?」

「えっと……ひとりでは着られなくて着替えるだけで半日ぐらいかかる感じでしょうか?」

「そんなに!?だったらこんな普通の村でも珍しいかもしれないな。」


「こんにちは!お姉さん!」

「こんにちは。」


「……気軽に声をかけてくれて優しいですね。とても楽しそうです。」

「いまお祭りの期間だからかな?村のみんなはいつもより浮かれてるのかもな。

「ああ、建国300年祭ですね。わたくしには堅苦しいばかりの式典なんですが……

王都ユニガン以外でもこんな風に祝っていただけるなんてとてもうれしいです。

「ユニガン以外って……ミーユは旅の剣士なんだしいろんな村に行ったことあるだろ?

「えっと……その……主に王都ユニガンで……お城の周りとか……

あとユニガンの大通りとか……足を伸ばして裏通りとか……」

「それってみんな王都ユニガンじゃないの?」

「ええ……主にユニガンを旅していた……という感じです……。」

「あははっ!そんな旅の剣士はいないだろ?」

「わ、笑うことはないではありませんか!」

「だってミーユがあんまり面白いこと言うから……!」

「もうっ!知りません!」

「ごめんごめん!それで村の案内はどうする?もういいのかな?」

「いえ!それは……!実はわたくしこんな風にいろんな話をしながら歩くのも初めてで……うれしいんです!

だからもう少しだけ!お願いします!」

「よし!じゃあ酒場にいって美味しいものでもごちそうしてもらうか!」


 ***


「こんにちはアルドくん今日はキレイなお嬢さんと一緒にどうしたんだい?

「こんにちはマスター今ミーユにこの村を案内していてね。

……そうだマスター!ミーユにご自慢の料理を食べさせてあげてよ!

「もちろんさ!お嬢さんのために腕によりをかけて作るよ。

「それはとても楽しみです。

「……一応言っておくけどおかしな食材は使わないでくれよ。

「わかってるよそれじゃ少し待っててくれ。


 ***


「……ああ、おいしかったあ。

「そうだろ?マスターの料理はけっこういけるんだ。

ときどきとんでもない食材を使おうとするんだけどそれ以外は美味いからね。

「ふふ、マスターさんて面白い方ですね。

わたくしバルオキーが大好きになりました!

「ありがとう!案内したかいがあるよ。


 ***


「……おっここにいたのか。それじゃあ魔物の討伐について説明をしよう。

……最近ヌアル平原に見慣れない魔物がやってきたんだよ。こいつらがまた手強くてな。

「そうか……そんな魔物にこの近くに棲みつかれたりしたらちょっと困るな。

「そうそう。だから今のうちになんとか追い出したいのさ。

「わかった。ヌアル平原に行ってみるよ!


 ***


「……こいつはこの辺りでは見かけたことがないな。

「それでは討伐する魔物ですね!

民衆の安寧のため……参りましょう!


 ***


「これぐらい脅してやればいいだろう。」

「えっ!?早くとどめを刺さないと逃げられてしま……」

「いいか?これにこりたらもうこのあたりを荒らすんじゃないぞ?」

『ギギィーーー!』


「……あっ!逃げてしまいました!

ただちに追いかけましょう。あの魔物をすぐに掃討しなければ……」

「いやこれでいいんだ。今回はこれで終わりにしよう。」

「……本当にいいのですか?わたくしには……納得できませんが。」

「ほらミーユ!バルオキーに帰って報告しよう。」


  ***


「おお、アルド!どうだった?」

「とりあえず追い払ったよ。あれでこのあたりが危険だと理解したはずだけど……。」

「そうか……それならしばらく様子見だ。よくやってくれたな。助かったよアルド。」

「礼なんていらないさ。オレの仕事だし。最近留守がちだけどオレはバルオキーの警護隊だぜ?」

「そういえばそうだったな。お役目ご苦労さん!また何かあったらたのむぞ!」



「……本当にあれで良かったのですか?」

「ああ、野生の生き物は魔物でも自分から危険に近づくようなマネはしない。

だからああして脅かしてやればたいていの場合はそれで治まるんだ。」

「そうなのかもしれませんが全滅させてしまえば危険性は完全に無くなるのに……。」

「すべての魔物を全滅させることなんてできやしないだろう?

だから境界線を作って人間たちと魔物たちの住みわけをするほうが現実的だよ。」

「……なるほど。小競り合いはしても全面戦争は避けるべきだと。国境の防衛戦に通じる考え方なのですね?」

「えっ?国境線……?ずいぶん大きな話だな。」

「日々の暮らしの知恵にも国を治める手がかりがあるとは思ってもいませんでした……。

とても勉強になりました!

わたくしはもっと多くのものを見てみたいと思います。」

「ああ、そうだな。オレも協力するよ。けっこういろんな場所に行ってるから。」

「はい!お願いします!」



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