【アナデン】シオン Story
アナザーエデン・サブストーリー 「シオン編」 |
東国より密命を帯びてやって来たサムライ。 若くして普賢一刀流を修めた傑物。感情を表に出さないため冷徹な人間に思われるが、実は義理人情に厚い。無類の猫好きであり、彼の懐には猫にあげるための煮干しが常備されている。 |
story1 仇討ち
「いてて……!まったくひどい目にあったよ。」
「あんたどうしたんだ?」
「ん?ああ、実はさ。さっき変な子供に声をかけられてね。親の仇を討ちたいとか言うんだよ。」
「ほう……仇討ちか。」
「だけどそんなこと言っても相手は子供だからさ。
そういうのはユニガンの警備隊とかにまかせて危ないことはするなって諭したんだよ。」
「うん。まあ、そのほうがいいとは思うけど………」
「だろ?でもその子供は急に怒り出して殴りかかってきたんだ。とんでもないイタズラ坊主だよ。」
「イタズラ坊主で済むのなら良いが………」
「なんだシオン。気になるのか?」
「うむ。少しその少年の話を聞いてみたいと思う。」
「わかったよ。きっとまだ近くにいるだろうし探してみよう。」
「……なあ兄ちゃんたち!その格好からすると戦士だな。けっこう強いんじゃないか?」
「日々の鍛錬を怠ってはおらんが……なにゆえ強さを問う?」
「仇を討ちたいからだよ!オレの父ちゃんの!」
「あ!じゃあお前か。親の仇を討ちたいって子供は。」
「少年よ。事情を話してみろ。」
「オレの父ちゃんはさ。ここから少し離れた集落で自警団に入ってたんだ。でも魔獣の戦士に襲われて……
父ちゃんのおかげでみんなは助かったけど父ちゃんは……。」
「そうか……立派な父さんだったんだな。」
「うん……オレのあこがれで………オレの自慢の……父ちゃんだった!」
「それで父上を殺めた魔獣の行方はわかっているのか?」
「あいつは……あの魔獣はいまカレク湿原を根城にして人を襲ってるんだ!そんなの放っておけないだろ!?
父ちゃんのためにもあいつを倒さなくちゃいけないんだ!」
「父祖の無念を晴らすために仇を討つ……か。
……その覚悟に偽りがないのなら手助けをしてもいい。」
「えっ!本当か!?」
「そうだな。人を襲う魔獣がいるなら倒さないといけないし。」
「ありがとう兄ちゃんたち!
オレちょっと準備があるんだ!兄ちゃんたちも手伝ってくれよ。あっちにある家まで来てくれ!」
「それにしてもずいぶんあの子に肩入れしてたなシオン。」
「年若いながらも自らの使命を果たそうというのだ。年長者として手助けは当然だ。」
「使命……か。そういえばシオンも与えられた使命があるって言ってたな。」
「うむ。時期が来れば私はとある人物に刃を向けることになる。」
「それって……仇討ちみたいなもの?」
「いや……そうであればどれだけ良いか………これ以上話すことはできん。」
「わかった。もう聞かないよ。それじゃあさっきの子供の準備を手伝いにいこうか。」
***
「……あの家で準備をするんだ。いま中を片付けてくるから声をかけたら入ってきてくれよ!」
<家の中からドタバタと何かをやっている気配がする。>
「……おーいもういいよ!」
「あわただしいヤツだな。それにしても準備って何をする気だ?」
「……なるほど。」
「何かわかったのかシオン?」
「いやなんでもない。せっかくの招待だ。入るとしよう。」
***
「……なんだ?真っ暗じゃないか!?」
<……ポカポカッ!>
「痛ててっ!なんだいきなり!?」
「落ちつくのだアルド。」
「……って言われてもなにも見えないし……痛てッ!?」
「目だけに頼らないことだ。空気の動きわずかな音相手の気配。それらを察すれば………」
<……スカッ!>
「このように攻撃を避けるのはたやすい。」
「ゲッ!避けた!?どうやって!」
「なるほど気配か!じゃあオレも……」
<……ポカッ!>
「痛ててっ!やっぱすぐにはムリだ!」
「……もう十分だろう少年。これ以上の悪さをするならこちらにも考えがあるぞ?」
「あっくそ!放せよー!」
「捕まえたのか!?よしとにかく外に出よう!」
***
「……どうしてこんなイタズラを?仇討ちの話ってのもウソか?」
「ち、違うよっ!ウソじゃない!」
「我らの腕前を試したかったのであろう?」
「う……うん。そうなんだ。前に頼んだ助っ人は口ばっかりで魔獣を前にして逃げ出したから。」
「……そうか。」
「ふざけてないのはわかったけどだまし討ちは良くないだろ?」
「そ、それはごめんよ!でも兄ちゃんは頼りないけどハチマキの剣士さんはすげーよな!」
「うんまあ。シオンはすごいよな。」
「いやそれは違うぞアルド。
いいか少年。あの闇討ちでは正しい強さははかれん。
アルドの技はお互いの対峙を前提とした戦士のためのものだ。
明るい場所で正面から戦えばよほどの相手でもアルドが後れを取ることはあるまい。」
「そっかー。ハチマキ兄さんが言うんならそうなんだろうなー。」
「シオンだ。」
「うんシオンさん!
ふたりに仇討ちの助っ人を頼むよ!
仇の魔獣はカレク湿原にいるんだ。案内するからついてきて!」
***
「ほらあそこにいる!兄ちゃんたちなら絶対あいつを倒せるよね?父ちゃんの仇を討ってくれよ!」
「……いやそれはできない。
「え?ど、どういうことだよ|?
……そうか!やっぱり怖くなったんだな!
兄ちゃんたちは強い戦士だと思ってたのに!」
「どうしたシオン?仇討ちを手助けしてやるんだろ?」
「そう……『手助け』だ。あの魔獣はお前の仇……お前が倒すべき敵だ。それを他人に譲るのか?」
「えっ!?で、でも………」
「我らがあの魔獣を倒すのを横で見ていることがお前の仇討ちなのか?
それで父上の無念は晴れるのか?お前の父上は喜ぶのか?」
「……………。」
「最初に言ったはずだ。父祖の仇を討ちたいというお前の覚悟に偽りがなければ手助けをしてもいい……と。」
「オ……オレは…………」
***
「……なんだガキ。オレ様になんの用だ?」
「オ、オレの父ちゃんはお前に殺された!
オレは父ちゃんの仇を討ちに来たんだっ!」
「カタキ?お前みたいなガキが?クッハハハハハ!」
「笑うなっ!」
――
「ハハハハハっ!こいつはおかしい!とんだ仇討ちだ!」
「うわあっ!」
「このまま引き裂いてやる!喜べ!すぐに父親に会えるぞ!」
「く、くそぉ……!」
「………待て!お前の相手はオレたちだ!」
「義によって助太刀いたす!少年の父上の仇……我らの手で討ち果たさん!」
「人間どもめ!返り討ちにしてやる!」
***
「……終わったぞ少年。」
「うん……ありがとう!
父ちゃん……見ててくれたか?この兄ちゃんたちが父ちゃんの仇を討ってくれたよ……!」
「いちばんがんばったのはお前だ。たった一人でよくあの魔獣に戦いを挑んだな。」
「そうだ。お前の覚悟……確かに見届けた。勇敢な息子を持ったと父上も誇らしく思うだろう。」
「オレ……強くなりたい……父ちゃんやシオンさんやほんとに強かった頼りない兄ちゃんみたいに……!」
「アルドだ。」
「うん。覚えたよアルドさん!
オレ強くなる!必ず!ひとりで魔獣を倒せるように!」
「そうだな。お前なら強くなれる。」
「オレが大きくなって……強くなったら……
シオンさんやアルドさんといっしょに戦いたい!」
「ああ、楽しみにしてるよ。」
「その約束……私もしかと覚えておこう。その日までさらばだ、少年。」
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