【黒ウィズ】エンラ・プセ
エンラ・プセ
<エンラに関するオルハレポート>
今回『異界の歪み』から出現するのは、いわれなき罪人であるエンラ・プセという年端もいかない少女です。しかも手枷、足枷をされ、鎖で繋がれています。
彼女の父親は魔族の中でも特に残忍な王として知られていました。嵐を自由に操る魔法を使い、人間からひどく恐れられていたといいます。
そんな父親でしたが、ある時、美しい人間の女性に恋をしました。彼は思いを伝えられずに迷いました。それは断られるのを恐れたからではなく、相手が『人間の女性』だったからです。
思い悩んだ彼は、彼女と一緒になるために王の座を投げ捨てました。その思いが通じ愛し合うようになった二人は、困難を乗り越えて結ばれたのです。
しかし魔物と人間の結婚に周囲は黙っていませんでした。ついに二人は無慈悲な人間たちに捕えられてしまい、磔にされたのです……
その事実を幼い彼女はどう受け止めたでしょう? おそらく理解ができずに、ただ人間を恨んだことでしょう……
彼女の狂暴性が、こうして芽生えていったということは、想像に難くありません。
それから地下牢に幽閉されていた間も、彼女はずっと人間に対し恨みを抱き続け、復讐の機会を窺っていたといいます。
そして今回、裁判にかけられ――公平な裁判であったかは疑わしいですが――刑が執行されようとしていたのです。
その途中で、偶然にも(彼女にとっては幸運なことですが)、『異界の歪み』に巻き込まれた……
いろいろと同情すべき過去を背負っていますが、感傷に浸っている場合ではありません。屈強な兵士が数名、一瞬にして倒されてしまったのですから!
今は手錠と足枷があるので、力を抑え込んでいられます。しかしそれがいつまで持ちこたえられるのか……
黒猫の魔法使い殿、『異界の歪み』は、もうすぐ開くでしょう。一刻の猶予もありません! どうかすぐにおいでください。そしてあなたの偉大なお力を私たちにお貸しください。
それでは、少しでも早いご到着を心よりお待ちしております。