【黒ウィズ】ゼェール・ギャドラン
ゼェール・ギャドラン
「怨念の亡君」と称されるゼェール・ギャドランですが、死界と呼ばれる異界において、彼はひとつの小国を治めていたとされています。
死と闇が支配する死界で、小国であろうとその頂点に立つというのは並大抵のことではありません。強い魔力を持った彼は、術士であると同時に、戦士としても優秀でした。
振るう大鎌は魔力を帯びた特製のもので、その連撃を受けきれる者はだれも居なかったとされています。
しかしながら、彼の国は一夜にして文字通り食い尽くされました。ゼェールがたったひと晩、国を離れた時のことだったそうです。
彼は嘆き悲しみました。
見つかるはずのない国民たちを探し歩き、死界の中でさえ幽鬼と呼ばれ恐れられた彼は、いつしか自らを内から燃やし尽くす怒りの炎によって、現在の姿になってしまった……これが彼、「怨念の亡君」、ゼェール・ギャドランの歴史です。
さて、その彼が、なぜこの世界へと手を伸ばしたのか……。
これはわたしの推測になりますが、彼はもう一度、王国を作ろうとしてるのではないでしょうか。
クエス=アリアスの人々を死界へと引き込み、「国民」を増やし、そして……。
滅んだ世界を元に戻したい。それはわたしにも痛いほど理解できる願望。
でも、彼のやろうとしているのは、ただいたずらに悲しみを増やす行為です。
死界に続く『異界の歪み』は、おそらくもうすぐ開くでしょう。
以前より規模は小さいようですが、わたしが頼れるのは、あなた以外に居ないのです。
黒猫の魔法使い殿。
どうか、彼を止めて頂けないでしょうか。
良い返事をお待ちしております。