【白猫】革命は洋梨の香り Story
2015/02/25
目次
登場人物
ザック・レヴィン cv.中島ヨシキ 貧民街で生まれた少年。冒険家に身をやつし革命の好機を伺う。 | |
フラン・ポワリエ 花の都の島から来た帰国子女くのいち。ニンジャの誇りを胸に修行の日々。 | |
海賊 | |
キサラギ | |
レイヴン |
story1 海賊にボンジュール
<主人公は水平線の向こうを見つめていた。
難破船を装った船で、岩礁に囲まれた島に近づいていく。>
……あそこが海賊のアジトがある島ですね。
新職 クロスセイバー |
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いかにもって感じだな。見てやがれ、一瞬で片づけてやる!
<彼の名はザック。革命の志士である。民を苦しめる王家を革命により打倒する大志をいだくものだ。
少年の財布には、1Gの金も入っていない。だがそれがなんであろう。
少年の財布には<夢>がつまっているのだから。>
新職 クロスセイバー |
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腕が鳴るでござる。ニンジャの奥義、見せてやるでござる。
<少女の名はフラン。花の都の島よりやってきた帰国子女くのいちである。>
とりあえず洋ナシを食べて士気を高めるでござる。
<手にした洋ナシをどこから出しているのか彼女にもわからない。>
海賊の方々、ザック殿のお国の船を襲っているのでござるな。
そうだ。それも俺たち革命軍に協力してくれる島の船だけをな。
俺らとしちゃ見過ごせん。とりあえずまとめてぶっ潰す。
そのために、私たちの手を借りるってわけね。
ザック、とりあえず貸しにしといてあげるわ。
セッシャもトイチで貸すでござるよ。
むぐぐ……わかったよ。ここは借りといてやるぜ。
なんだってこう……いつも借りばかり増えるんだか。
やや!島にちかづいてきたでござる。まずはどうするでござる?
革命軍の助っ人と落ち合う。スゴ腕だぜ?
…………
……
いよっ、レイヴンの旦那。久しぶりだな。
レイヴン |
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俺に、過去はない。
相変わらずだねぇ、アンタは。
奴らの船を焼く。お前たちは海賊の首領を捕えろ。
あいよ。頼むぜ旦那。
口数の少ない人でござるね?
出入口はあそこだけか。よし、まずは見張りを倒して……
いや、ここはニンジャらしいご挨拶からでござるよ?
どんな挨拶なんだ。
きっと挨拶って意味のスゴイあれね。
なるほどそういう『挨拶』か。
ボンジュールでござる!セッシャ、ニンジャのフランと申す!
フツーの挨拶だわ!
バカかお前!わざわざ敵に居場所を知らせてどうする!
お出迎えのみなさんが来たでござる。メルシー!ご苦労様でござる。
あーもう、強行突破しかねえじゃねえか!
ケセラセラでござる。セッシャは強行突破は慣れているでござる。
というかいつもだいたい強行突破でござる。ニンジャの道はいばら道でござる。
その理由に気づいた方がいいぜ。
この子、一生気づかないと思うわ。
story2 洋ナシが意味するもの
オーララ!また出迎えの皆様がやってきたでござる。
くそ、次から次へときりがねえな。
ご安心めされいザック殿。先ほどそちらの通路に仕掛けておいたでござる。
罠を仕掛けたんですか?
洋ナシを仕掛けたでござる。
その洋ナシになにか仕込んでいるのか?
美味しさを仕込んでいるでござる。
洋ナシを食べたら罠が発動?
洋ナシのとりこになるでござる。
ザック殿も洋ナシのおいしさを知ってほしいでござる。ボナペティでござるよ。
……ああ、ありがとよ。でも洋ナシか……なんか縁起悪いなあ。
縁起悪い?どういうことでござる?
裏の世界じゃ、洋ナシってのは『お前はもう終わりだ』って意味だぜ。
そんなに怖い意味があったんですね。
俺も最近聞いたんだがな。
むむむー。そんな意味があったとは知らなかったでござる。
海賊団の皆様にも事前に洋ナシをお届けしたのでござるが、誤解されてしまったでござるか?
そうかもしれませんね。
今度からは一筆添えるべきでござるね。
つまり敵はこっちが来ることを知っていた……と。
……なんか、真面目に革命しているのがバカらしくなってきたぜ。
story3 海賊の狙い
<一行は、波止場にたどり着いた。桟橋には多くの海賊船が停泊している>
船がいっぱいあるわねこの建物は倉庫かしら。
そのようでござるね。見渡す限り一面に、樽があるでござる。
むうう。なんだか少し酔っぱらってきたでござる。
大丈夫ですか、フランさん?
こりゃあワイン樽だな……
ワインをこんなにたくさんため込んでるなんて。海賊ってお酒が好きなのね?
んなわけねーだろ。こいつは連中の略奪品だ。
これが全部!?
こいつは輸出品のワインだ。海賊どもがいる海域では、輸出も輸入もできない。
つまり、カニカマを輸出することも、輸入することもできないってこと?
島にあるカニカマを全部たべちゃったら、どうするのよ!
交易をしている人たちが、困っちゃいますね。
それだけじゃない。交易でモノがはいってこなければ、みんなが損をする。
やっぱりこいつら、ただの海賊じゃねえな……
キサラギ |
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そのとおり、こやつらの目的は略奪だけではあるまい。
キサラギじゃない。変なとこで会うわね?
……アンタ、ここで何をしてやがる?
おぬしらを待っておったのじゃ。ついてまいれ。
…………
……
向こうに見えるあの遺跡が、敵の本拠地じゃ。
メルシーでござる。キサラギ殿。
……どうしてアンタら鬼が、人間の手助けをする?
この奥にいるものを逃されては、われら鬼も困るのじゃ。
すいーつに使う砂糖が輸入できぬからのう。
お蔭で鬼族のお偉方もおかんむりじゃ。
鬼って甘党なのね……
行くでござるよザック殿。海賊の方々が逃げてしまうでござる。
そうだな、立ち話のヒマはねえ。
story4 悪の巣窟に潜入せよ!
だいぶ古い遺跡でござるね?じつに風情があるでござる。ワビサビでござる。
……こんなところを本拠地にしてるなんて、いかにも悪者だわ。
おい、油断すんなよ。遺跡を観光にきたんじゃねえぞ。
そうだったでござる。ちょっと偵察してくるでござる。
そういえばアンタニンジャだったわね。
先ほどからニンジャらしさを全開にしていたはずでござるが?
フランさんらしさはよく出いましたよ。
だったら問題ないでござるね!ちょっと行ってくるでござる。
……って、行かせてよかったのか?
ただいまでござる。
あら、おかえり。早かったわね?
何かわかったか?
向こうにたくさん人がいたでござる。
なるほど、敵がいたのね?
何か話していたので、ちょっと盗み聞きしたでござる。
何だって?
『この洋ナシを送ってきたやつはだれだ!』という話をしていたでござる。
嫌な予感がしてきた。
なので、『洋ナシは嫌いでござるか?』と聞いたでござる。
聞いたのね。
そうしたら、何か戦う流れになったでござる。
あー、どうりで周囲から敵が殺到しているわけね。
……考えてみりゃ、止めるべきだったよな。フツーは。
それから連中、気になることをいっていたでござる。
なんだよいったい。
海賊の方々、セッシャに向け『王家に歯向かう愚か者め』といっていたでござる。
王家だと!?……なるほどな。カラクリが見えてきたな。
ニンジャ!とりあえずここを切り抜けるぞ!
story5 王家と革命
………クソッ、貴様らあの程度の敵に何をてこずっている?
この私を危険にさらすつもりか!?役立たずどもめ!
威勢がいいじゃねえか。海賊さんよう!
アンタにゃあ、いろいろ聞きたいことがあるんだよ。大人しくしてもらおうか。
……なるほど、貴様らは革命軍だな。王国の転覆をねらうドブネズミが!
この私に、こんなものを送ってきおって!
<海賊のボスは、洋ナシを投げ捨てた!>
あぶないっ!
<フランは洋ナシを受け止めた!>
オーララ!間一髪でござる。
はやくこいつらを片づけろ!
なんか海賊のボスってわりに、情けない口調だわ?
ちょっとイメージがちがうでござるね?
ああ、コイツはもっとたちの悪い悪党だ。
悪党だと!?革命というきれいごとで民を惑わす貴様らこそ悪党ではないか!
面白いことを言うじゃねえか、<海賊>さんよ。
王家のかけた重税で、どれだけの人が飢え、苦しんだか知ってるのか!
王家は民のために税をかけているのだ!
はぁ?民のためだと?
重税の苦しみは、我が国のために不可欠な痛み。
それをわからず、いたずらに民を煽る貴様らこそ、悪ではないか!
王家は民を愛しているのだ!
てめえらが愛しているのは、金庫の中の金だ!
王座が望みか、ドブネズミども!
そんなもの、望んじゃいねえ!俺たちが欲しいのは、明日だ!
最終話 一件落着?
これで終わりだな、海賊さんよ。
……貴様ら、王族に手をあげるか!
王族でござるか?海賊ではなく?
ってことは……この海賊って。
ああ、海賊の実態は、王家の私掠船団ってわけだ。
……どうして自分の国を苦しめるようなことを……
王家の恩を忘れ、王家に背くものは、許すわけにはいかん!
アンタの身柄は革命軍であずからせてもらう。
タダですむと思うなよ。革命軍……!
こっちもタダじゃすまさねえよ。十分元はとらせてもらうぜ?
これにて一件落着でござるね。おや……しまったでござる!
どうしたの、フラン!?
戦う前にポエムをいうのを忘れたでござる!
仕方ない、いまからポエムでござる!
ボンジュール!海原騒がす不埓な悪党ども、汝らの命は波間の藻屑でござる!
忘れたままでよかったんじゃないの?
……終わったか。
そのようじゃの。で、カラス殿、あの男を消さんでよいのかの?
……あの男は悪だ。だが、裁くのは俺ではない。
さようか、……ふふ、これでわがズッ友に、よい土産話ができたわ。
きっと、『なにそれダっサ~い』とか言うじゃろうがの。
…………
……
<物陰より……男は一部始終を見守っていた。
男は帝国の放った間者――冷血にして非情なる<裏の住人>。
男は赤髪の少年を、じっと見つめる……まるで感情のこもらぬ目で。
ところでニンジャ、洋ナシが裏社会で恐れられてるのって……まさか……
プルクエ?何の話でござろうか?
いいや、なんでもねえ……