重陽閣
概要
レア度 | 画像 | マス |
---|---|---|
効果
6010
入手方法
イベント
物語
重陽の節句になると、黄色い菊が一面に咲いて、町中が香りに包まれた。孫富貴は片手で自分の父親を支え、もう片方の手で前の黄金色の高台を指して言った。「ほら、もうすぐだよ!」よろよろと背筋を伸ばした孫お爺さんの目に、高台の周りで千輪の菊が風に舞う光景が映った。「実にいい……」太陽の光が少し眩しく、孫お爺さんは目を細めると、濁った目が「重陽閣」と書かれた扁額に止まった。「この横額は知府様がつけたんだ。元々はこの横額も、菊すらもなかったんだぞ。重陽節の前、知府様がわざわざこの高台を建ててくださってな。山登りがつらい年寄りも、菊見ができるようにしてくださったんだ。」「なんと素敵なお方か!」孫お爺さんは、目の前の景色を眺め、満足そうに笑った。すると、少し離れたところで突然声がした。「孫さん!孫さんだな?」声の方向を見ると、その姿には見覚えがあった。孫お爺さんは瘦せた手で目をこすり、もっとよく見えるようにと目を見開いた。「も、もしや李さんかい?」「そう、わしだ、李だ!」老人は杖をつき、そばで支えていた若者から離れ、こちらへと少しずつ歩いてきて、孫お爺さんの手をしっかりと握った。「あのとき戦場で別れて以来、二十何年ぶりだな。お前の足は……大丈夫か?」「もう大丈夫だ、あの時矢に当たったが、今は治ってる。ただ、足は昔のようにはいかないな。」「いや!お前が生きているとわかっただけで嬉しいぞ!」「お前も、髭が白くなるほど老けたな!」二人の老人は大笑いして、菊を観賞した。互いを支え合う姿はまるで、あの頃に時が戻ったかのようだった。