アイリスのメモリー
プロフィール
アイリス | |||
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身長 | 150cm | 体重 | 44kg |
血液型 | A型 | 誕生日 | 9月30日 |
ラメント | Twilight (日 / EN) | ||
Song by | Hakubi | ||
CV | 水瀬いのり | ||
フラン公領出身。 領主の傍に仕え、 執務の補佐や身の回りの世話などを行う。 昔からの側近で、魔女と知りながら傍に置くことで匿われていた。 真面目で融通が利かない所があるが、領主への忠誠心は人一倍。 |
メモリ一
1話
いいことなんて、何一つなかった。
物心ついた頃、母は男を作って出ていった。
父は働きもせずに博打に熱中し、私が稼いだ僅かな金はほとんど賭場へ消えていった。
今日も乱暴にドアが開く。
父の借金を取り立てにやってきた男たちだ。
金目のものなど、もう残っていなかった。
だから、彼らは私を連れて行こうとした。
薄汚い子供でも、買う奴はいくらだっている。
そう言った男の、品定めするような視線が身体を遣う。
私が魔女になったのは、その時だった。
2話
魔女は、感情が暴走したときに生まれる。
どうやらそれは本当だったらしい。
腕を振りほどき、力任せに突き飛ばす。
壁にたたきつけられた男は、 あっけなく気を失った。
血が沸騰するように熱い——
これが、力なのか。
父を逃がして、 男たちを容易く追い出したとき、 私は初めて自分が誇らしく思えた。
きっと、これからは上手くいくはず。
こんな暮らしから抜け出せるはず。
だけど、甘い期待はすぐに裏切られた。
逃げた父が連れてきたのは、教会の騎士たちだった。
教会の印が入った小さな革袋を嬉しそうに持つ 父の姿を、今でもはっきり覚えている。
おそらく中身はいくらかの金貨……
それが私の価値だった。
3話
傷つきながら必死に逃げ出したが、行く当てなどありはしない。
ただひたすらに走って、走って、走って——
気づけば、見たこともない道を歩いていた。
痛みと空腹で朦朧とする私を、 嘲笑うように降り始める冷たい雨。
あれほど漲っていた力は嘘みたいに消え失せ、身体は鉛のように重い。
ついに力尽きて倒れる瞬間、 心のなかで問うていた。
私は……何のために生まれたのだろう。
意識を失う前。 最後に聞いたのは、 近づいてくる馬蹄の音だった。
4話
目を覚ました時に感じたのは、温もりと一一
嗅いだこともないような、いい香り。
それがよく洗濯されたシーツと柔らかなベッドの感触だと気づくまで、ずいぶん時間がかかってしまった。
私は、雨の中で倒れていたところを領主様に拾われたのだ。
領主様は私が魔女であると分かっても教会に突き出すようなことはしなかった。
それどころか、身の上を知って従者に召し抱えて下さった。
……今でも覚えている。
あのときの領主様の……温かい、 笑顔を。
5話
肉親に裏切られた私は、 領主様の優しさをすぐには信じられなかった。
安心させておいて、後で酷い目に遭わせるのではないか。
それとも、なにか私の思いつかないようなことを企んでいるのではないか。
お仕えしながらも、 そんなふうに疑ってしまっていた。
だが、そのままひと月が過ぎ、 三月、半年一一
仕事を覚えていくにつれて 忙しくなってはいったが、一向に領主様は変わらなかった。
どこか頼りなくて、 底抜けに優しくて。
だから私は、いつの間にか思っていたんだ。
——生まれて初めて、心から信じられる人に出会えたのかもしれない、って。
6話
それから、あっという間に数年が経った。
ある日——本当になんでもない日のことだ。
領主様は、いつもの笑みを浮かべておっしゃった。
いつもありがとう、アイリスがいてくれてよかったーーと。
何度か聞いたはずの言葉。
なのに、なぜかそのとき私は、唐突に確信した。
私は、ここにいていいんだって。
どうしようもないほどにお人好しなこの方に、ずっとずっとお仕えしていいんだって。
一一領主様。
これから先どのような困難があっても、 私は領主様の傍にあり続けます。
それが……きっとそれこそが、 私の生まれた意味だから。
第1話
第2話
第3話
第4話
第5話
第6話
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