【黒ウィズ】超魔道外伝ビジェック襲来 Story
2016/03/09
story
数百年も前の話だ。
人々を恐怖の底に叩きつけた魔道士がいた。
今や古代魔法と呼ばれる力で、大地を揺るがし、
海を割り、人の世を炎の渦に包み込んだ凶悪な魔道士。
名を、アバド・ビジェックと言う。
魔道を追求し、魔道を極めようとする彼の信念は、やがて歪み、闇に見初められてしまう。
彼は破壊や暴虐のかぎりを尽くした。
ビジェックに心酔する悪の魔道士たちは、怨念、あるいは亡霊となり、
“帰らずの領域”に縛りつけられ、悪逆に染まり向かい来る人々を呪い続けていた。
そこで当時、名のある大魔道士たちが集い、ビジェックを封印するため立ち上がる。
ロロット家、シャルム家の当主なども、中にはいたという。
大魔道士たちの奮戦により、ビジェックは封印されることとなった。
そこから現代になり、とある稀代の大魔道士が、
魔道障壁というさらに進化した封印の魔法を編み出した。
それはどんな魔法も吸収し、より強固になるという画期的なものであった。
そして何より、魔道障壁が街に張り巡らされることにより、
魔物に襲われることや、魔道士たちの戦いで建物が崩壊することがなくなった。
――のだが。
魔道障壁をこれでもかと破壊し、街をめちゃくちゃにした当人は、
その罰として、修繕を言いつけられていた。
今ごろ、リルムやソフィ、レナあたりは、お祭りを楽しんでいることだろう。
エリスは、何故かアリエッタとともに怒られ、修復を手伝わされていた。
街の人々は、アリエッタの破壊行為に大いに盛り上がりを見せ、
グリモワールグランプリは、かつてない集客を誇ったというが、それはそれだ。
街の修繕は何とか済んだが、魔道障壁はその仕組みの詳細を知っているのが、
アリエッタだけという特殊な事案のため、かなり時間を要している。
それを封印し続けるために、魔道障壁は必要なんだから。
魔道障壁自体は目に見えないものだが、それが機能することによって、
古の魔道士は永遠に封印されることになるという。
でも世界を崩壊させる恐れのある悪の魔道士が蘇るなんて……考えたくもないわ。
決してアリエッタだけが悪いわけではない。
でも間違いなく、やってしまった。うっかり封印を解いてしまった。
何言ってるかわからない。
禍々しすぎる魔力と、強烈な威圧感……。
神を毀す者――ビジェックと呼ばれた魔道の集合体である。
あれが街へ向かってしまったら、被害は計り知わない。