【白猫】アナザー(リベンジ)・思い出
ダークウォーカー アナザー・ガロウズ 多くの魂を狩り続ける死神。 常に新たな戦場を求めている。 |
2015/10/29
思い出1
キャトラ
またこんな所で、ひとりなのねぇ。
アイリス
こんにちは。アナザーさん。
アナザー
…………おまえたちか。
……どこかの島に到着した様だが?
キャトラ
あ、気付いてたんだ?
アナザー
あぁ。それで、
次の戦場は、どんな場所だ?
アイリス
いえ、新しい島につきましたけど、
戦場というわけでは……
キャトラ
到着したら戦場って……アンタ、
どんだけ物騒な思考してんのよ。
アナザー
俺がここにいるのは、
多くの戦場で魂を狩るためだ……
アナザー
そうでない場所で、
声をかける方が間違っている。
キャトラ
……たとえ死神でも、
それはちょっと極端すぎよ。
アナザー
ふん……それで、俺になんの用だ?
キャトラ
みんなで町へ行こうと思って。
アンタも一緒にどう?
アナザー
興味ないな。
アイリス
もしかして……
体調でも悪かったですか?
アナザー
いいや。魂と肉体の<同調>は
安定している。
本当に興味がないだけだ。
キャトラ
新しい島や町なのよ?
少しはワクワクするでしょ?
アナザー
せんな。
今は人の器に収まっているが、
俺は人ではなく、死神だ。
キャトラ
アタシ……その死神っていうの、
よくわかんないんだけど。
アナザー
……俺自身もそうだ。
アイリス
あの……そうだったんですか?
アナザー
己を正しく理解する者など、
俺は出会った事がない。
アナザー
だから俺も他人の……
ある男の言葉を借りているだけだ。
アナザー
実体を持たず、人に取り憑き、
魂を狩って力を増す……
お前は死神だろうという言葉をな。
キャトラ
……やっぱりよくわかんないわ。
でも今は人と一緒でしょ?
なら同じ事してもいいんじゃない?
アナザー
……ふん。人と同じ、か……
……わかった。いいだろう。
キャトラ
え、ホント!?
アンタはもっと渋ると思ったのに!
アナザー
ふん。興が乗っただけだ。
猫に諭されたのは少々解せんがな。
キャトラ
ひとこと余計よ!
でもまぁ、いいわ。
それじゃ、しゅっぱーつ!
???
リドー! リドー!
……もう、リドったら、どこへ
行っちゃったのかしら……
思い出2
???
わん! わんわん!!
わんわんわんわん!
アナザー
くっ! なんだ、この犬は!
や、やめろ、近づくんじゃない!
???
ハッハッハッ。
わん!
キャトラ
町に入った途端に……なにコレ……
アイリス
アナザーさん、このわんちゃんに
ものすごく懐かれてるみたいね。
キャトラ
『ちょっと落ち着け』って
言いたくなるほど、
大喜びしてるわね……
???
わんわん!!
くーん!
アナザー
こいつ……チッ!
おい! 黙ってみてないで、
こいつをどうにかしてくれ!
キャトラ
そう言われても……凄く懐いてるし
アンタの飼い犬ってことは……?
アナザー
あるわけ無いだろうが!
キャトラ
なんかアンタ、必死ね。
……あ! もしかして犬が怖いの?
アナザー
に、苦手なだけだ!
……チッ! 面倒な……
飼い主とは違うとわからんのか!
???
…………
???
わんわんわん!
わうーん!
アナザー
くそっ! やはり所詮は獣か!
舐めるな! じゃれるな!
アイリス
全然落ち着きませんね。
嬉しすぎて、我慢できないみたい。
キャトラ
どうみても遊んでほしそうだし……
少しだけ遊んであげたら?
アイリス
撫でてあげるだけでも、
満足するかもしれませんよ?
アナザー
……チッ。ほら……
???
わん! わん!!
あぉーん!!
キャトラ
ぎにゃー!?
コイツ、おしっこ漏らしたわよ!!
アイリス
……嬉しすぎて、
漏らしちゃったんですね。
???
わんわんわん!!
アナザー
クソッ!
漏らしながら、すり寄ってくるな!
キャトラ
げげっ! アナザー、アンタ……
アナザー
なんだその顔は……
俺はかけられてないぞ!
キャトラ
あ、うん、そうよね。
わかってるわ。じゃ、しばらく
別行動にしましょ。はい、解散。
アナザー
ま、待て、置いて行くつもりか!
キサマら……あとで覚えておけよ!
思い出3
???
あの……すみません。
アイリス
え? あ、はい。
私たちに、なにか御用ですか?
???
この近くで犬を見ませんでしたか?
散歩の途中で、突然走り出して……
キャトラ
犬……なら、あの子かな?
???
見かけたんですか?!
キャトラ
たぶんね。それで……えっと。
ニイネ
あ、まだ名乗っていませんでしたね。
私はニイネといいます。
キャトラ
よろしくね。アタシはキャトラ。
ふたりはアイリスと
主人公ね。
アイリス
よろしくお願いします。
ニイネさん。
ニイネ
こちらこそ。
それで、あの、リドなんですが……
キャトラ
それが探してる子の名前ね。
合ってるかわからないけど、
案内してあげるわ。
ニイネ
ありがとうございます。
よろしくお願いしますね。
アナザー
……さっさと帰れ。
俺はお前の飼い主ではない。
リド
く~ん。
キャトラ
ほら、あの子よ。……って、
まだアナザーにくっついてたのね。
ニイネ
ええ、あの子がリドです。
よかっ…………え……?
アイリス
見つかってよかったですね。
……あの、どうかしましたか?
ニイネ
……う、そ……エフィル……?
エフィルなの……?
アナザー
……エフィルだと?
……ッ! これ、は……!
ニイネ
あぁ……エフィル。生きて……
生きていてくれた……エフィル……
……グスッ……
アナザー
……クッ! やめ、ろ……
動揺するな、お前が乱れれば、
<同調>が……ぐぅっ!
キャトラ
ちょ、ちょっと、アナザー?!
なに、どうしたのよ!?
ニイネ
ど、どうしたの、エフィル!?
エフィル!
アナザー
はぁはぁ……ッ!
この女……この女を遠ざけろッ!
アナザー
は、早く俺から、くっ……
ヤツが動揺して<同調>が乱れ……
ぐっ……俺を、ひとりにしてくれ!
キャトラ
な、なんかわかんないけど……
アイリス、主人公!
アイリス
うん。
あのニイネさん、ごめんなさい。
ニイネ
ま、待ってください!
エフィルに、私はエフィルに!
アナザー
……はぁ……はぁ……ニイネ。
リド……やはり、この島は
エフィルの……くっ……
思い出4
キャトラ
アナザー、体はもう大丈夫?
アナザー
おまえたちか……ああ。
魂と肉体の<同調>も、
今は安定している。
キャトラ
それならいいけど……
ねぇ、あのニイネって子と、
なにかあったの?
アナザー
何もない。……俺とはな。
関係があるのは、エフィルの方だ。
アイリス
あの……エフィルさんという方は、
もしかして……
アナザー
あぁ。エフィルは……
この体の持ち主の名だ。
アナザー
そして、あの女……ニイネは、
エフィルの婚約者だ。
キャトラ
婚約者!?
じゃあ、ニイネが泣き出したの……
アナザー
エフィルを見たからだな。
生きていてくれたと言っていたし、
誰かに死んだと聞かされたんだろ。
アイリス
そうだったんですね。
あ、でも……
アナザー
そうだ。
エフィルはニイネの元へ帰れない。
俺が力を取り戻さない限りは、な。
キャトラ
力が足りないのはわかるけど、
でも……なんかモヤモヤする!
なんかバーンって解決できないの?
アナザー
できたら、とうの昔にやっている。
なんとかするには……
キャトラ
……死神のアンタが魂を狩って、
力を戻さないとダメ?
アナザー
あぁ。ほかに方法はない。
エフィルも俺も、おまえたちも……
今はなにも出来ん。
アナザー
それに近づけば、被害を受けるのは
俺とエフィルの方だ。
キャトラ
なんでよ。ふたりの話を聞いたら、
ニイネだって少しは安心するし、
害なんて……
アナザー
ニイネと接触すると、俺の内の
エフィルが激しく動揺する。
アナザー
動揺で魂と肉体の同調を乱せば、
苦しむのは俺たちだ。
それは害だろう。
物音にふりかえると、
そこには顔を青くした
ニイネが立ち尽くしていた。
ニイネ
……そ、そんな……エフィル……
アナザー
……聞かれていたのか――ぐぅっ!
ニイネ
あ、あぁ……ご、ごめんなさい。
ごめんなさい、エフィル……
アイリス
あ! ニイネさん、待って!
キャトラ
……あぁ……いっちゃった……
そうだ。アナザー、アンタ平気?
アナザー
なんとか……な……
だが次はどうなるか
わからんな……
思い出5
ニイネ
みなさん……ごめんなさい。私……
アイリス
ショック……だったんですよね。
ニイネ
でも私……話がしたいんです。
エフィルと……あの方と、
ちゃんとした話が……
キャトラ
気持ちはわかるけど……
アナザーの方が会う気になるかね。
ニイネ
あの方はアナザーというんですね。
エフィルの中にいる……死神……
アイリス
あの、誤解をしないでくださいね。
死神と言っても、悪い方では……
ニイネ
わかっています。
あの方は優しい方なんですよね……
彼を気遣う温もりを感じました。
ニイネ
だから伝えたいんです。私の思い、
私の気持ちを……
今までと……これからの思いも。
キャトラ
なんとか協力してあげたいわね……
アイリス
そうね。
ニイネさんの気持ちだけでも、
届けられるといいのに……
アナザー
……チッ……手短に済ませろ。
聞いていて理解していると思うが、
長くはつき合えん。
キャトラ
アナザー!?
ニイネ
……あの、私の声は彼に……
エフィルに届きますか?
アナザー
届く。だが返事はできん。
思いも伝えられん。
すべてお前からの一方通行だ。
ニイネ
……そうですか。
だけど、エフィルに届くなら……
アナザー
……告げるなら早くしろ。
最後まで聞いてやれるか、
保証できんぞ。
ニイネ
はい。……エフィル。聞こえてる?
あなたが旅立って、随分経ったわ。
ニイネ
帰ってきたら結婚しよう。
そう言ったのに、あなたったら、
ちっとも帰ってこないんだもの。
ニイネ
だけど……私、待ってたわよ。
こうしてあなたが帰ってくるまで。
アナザー
……ッ……! ギッ!
ニイネ
どんな形かなんて関係ない。
あなたは帰ってきてくれたもの。
ニイネ
だからね、私……また待つね。
本当のあなたが帰る時まで、
またずっと待ってる。だから……
アナザー
ぐぅっ……!!
ギッ……クソ……不味い!
落ち着け……同調が……ッ!
ニイネ
え、エフィル?! エフィル!
アナザー
あぐッ! グァアアァァアー!!
思い出6
アナザー
ぐぅっ! くっ……っうぅ……
はぁっ……っ……はぁっ……
アナザー
……ルーンの光……か……
危うく、魂と肉体が解離しかけた。
礼をいう主人公。
キャトラ
び、ビックリしたぁ……
あ、アナザー……大丈夫?
アナザー
なんとかな……
ただ、こうもエフィルが不安定では
この先が思いやられる。
キャトラ
ちょ、ちょっと、なにするつもり?
アナザー
ほんの数秒程度だろうが、
蓄えた魂の力を使って、
エフィルに肉体を返す。
アナザー
……エフィル。
そんなに伝えたい事があるなら、
今かわってやる!
アナザーが目を閉じると、
青白く揺らめく光が
アナザーの全身を包み込んだ。
ニイネ
……エフィル……なの?
エフィル
そうだよ、ニイネ。
……久しぶりだね。
ニイネ
……エフィル……エフィル!
エフィル
うん。僕だよ。
あぁ……また言葉を交わせるなんて
夢のようだよ。
ニイネ
なにが夢よ。
突然いなくなって、
私がどれだけ心配したと思うの!
エフィル
ごめんよ。本当に……ごめん。
それから……ありがとう。
待っていてくれて。
ニイネ
感謝しなさいよ……それから私、
また待ってあげるから。
ずっと……待ってるから……
ニイネ
だから……
かならず帰ってきてよね……
エフィル
うん……きっとすぐに帰ってくる。
それで結婚式をあげよう。
みんなを呼んで盛大に……
ニイネ
絶対よ。あんまり待たせると私、
式をあげずに、おばあちゃんに
なっちゃんだからね……
エフィル
わかった。
じゃあ……またね、ニイネ……
……愛してるよ……
ニイネ
エフィル……
私も……私も愛してる……
アナザー
………………
……気は済んだか?
ニイネ
……はい。その……
ありがとうございました。
ニイネ
それから……エフィルのこと
よろしくお願いします。
アナザー
あぁ。わかっている。
ニイネは、もう一度深く頭を下げ、
町の雑踏の中へ、
消えていった。
キャトラ
なんとかなったみたいで
よかったわね♪
アナザー
……いや。良くはないな。
キャトラ
なんでよ?
ふたりの思いが深まって、
ハッピーな感じじゃない。
アナザー
そっちじゃない。
魂の力を予想よりも
消費した方だ。
アナザー
俺の目的とエフィルの約束。
両方を満たすには、今まで以上の
魂が必要になる。
キャトラ
たしかに、そうね。
……って、今まで以上の魂とか
話だけで物騒なんだけど!
アナザー
だが、理解はしたな?
なら死神に相応しい戦場へ……
魂の狩場へ連れていけ。
アナザー
俺に……魂を刈り取らせろ。
死天の翼