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【白猫】ワールドエンド Story6

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作成者: にゃん
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story43 王の決意



グラァァッ!

防壁、展開!!

みなさん……

はあああああっ!

シェリル、今よ!!

半分マックス手加減パワー!

逃げてください。もう主人公を止められるのは……

アンジェラさんに作戦があるみたいだよ。

エレノア、お前と話があるそうだ。

私にですか?でも……

少しの間なら、持ちこたえられる!

アイリスさんは私が守ります。行ってください、エレノアさん。

わかりました。


 ***


どうしたの?そんなにぎゅっとしてさて……やっぱり怖いの?

……敵も死も怖くはない。自分の身など、もとより空虚だ。だが、それでもな……

私にだって心はあるんだよ。なのに、無慈悲に決断をくだせる自分の在り方が嫌いだ。

貴様、なにをしている?早く援護に回れ。

やめましょう、アンジェラさん。こんな方法、間違ってます!

……そうだな。私はまちがってるよ。

だが、現状、これ以上の案はない。

決めたのは私だ。お前が気に病むことじゃない。

話とはなんですか?

唯一、この世界を救える方法を思いついた。

お前の身に虚無のソウルを封じる。

ちょっと、アンタ、なに言ってんの!?

他の者では、おそらくダメだ。光の王としての資格を持つお前なら、あるいは、可能かもしれない。

やっぱりやめましょう!彼女のなかに封じたところで、問題の棚上げでしかありません!

虚無のソウルが消えるわけではないんです!

……いえ、消えるかもしれません。

アイリス様もロイドの攻撃で光の力を失っていました。

もし、私のなかに虚無のソウルを全て移すことができれば、私のなかにある光を食らって……

いや、でも……しかし……ああ、クソ!それでもダメですよ!!こんな方法!!

あなたが死ぬってことなんですよ!

かまいません。そもそも、私は未来の世界で死ぬ運命でしたから。

最初から覚悟は決まっています。

アンジェラ!ダメよ、こんなこと!

いいの、キャトラちゃん。私は、これでいいの。

……頼めるか?

はい。<英知>の力を使えば、可能だと思います。方法を教えてくれてありがとうございました。

……礼なんて言わないでくれ。罵ってくれたほうが、まだ楽だよ。


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story44 それぞれの願い



グラァァァァァ!!

ぐらぁぁぁぁぁ!!

今、真似した?

うつっただけ。

はあっ!!

ヌギィ!!

はあっ!!

くるぞ!!


俺の兄弟に手を出すな!防壁展開!!

押してるの?

いえ、ダメ。長くはもたない。

どりゃあああああ!!未来社長パーンチ!!

グルアァ!!

たすかったよ、シェリル!

パンチじゃなくて、キックだったが……

もう限界フルフル……

ジリ貧だな……いざとなればワシが一人で時間を稼ぐ。

あのな、じいさん、それは聞けないぞ。

いざとなれば、だ。なに、もう数分は持ちこたえられるだろ。

数分か……

やるしかないな。シェリル、フィオナ、さがってろ。

わかったわ。

眠くて、ごめん……

主人公……


エレノアさん!

ごめんなさい、待たせてしまって……

アイリス様、私にすべての力を託していただけませんか?

大丈夫なの?

大丈夫だと思います。まだ<運命>のルーンは輝いているので……

それはかまわない。でも、どうやって主人公を止めるの?

ただ戦うだけなら、私のほうに力を集中したほうがいい。

虚無のソウルを私のなかに封じます。

それはダメよ!だって、それでは、あなたの体が!!

……ごめんなさい、アイリス様。それでも、もうこの方法しかないんです。

七つの力がうちの一つ。<流動>の支配者よ!

ダメ!!

我がうちに光を束ねよ――

エレノア、ダメ……それでは、あなたが……

アイリス様、私、嬉しかったんです。あなたに未来の話を信じてもらえて。

あなたは、本当に優しい人。だから、笑ってください。

エレノアさん、待って!

ごめんなさい、エマさん。グラハムさんにも、ごめんなさいと伝えてください。

さようなら。


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story45 World End



グアァァァァッ!

ぐっ!

ディラン兄!!もう無理だよ!!

悪いな、ノエル……そろそろ限界だ。ヴィシャス、二人で逃げろ。

断る。

でも、もう、防壁は作れ――


「防壁、展開!!」

ルーファス!

間に合ってよかった……いやー、この武器、かなり疲れるでしょう?

助かった。さすがに今回は死ぬかと思った。

みなさんは撤退してください。

いや、まだ退けない。あのじいさん、一人で最前線だ。


 ***


はあああっ!!

ヌガァ!!

(何度、死線を越えたか……もう思うように体が動かん――

姫様、そろそろお会いできそうです。でも、まだ――

まだまだこれからよ!カッカッカ!やっと調子が出てきたぞ!

(ここまでか――

エレノア様……

<慈愛>の光よ……

エレノア様、いけません。その力に頼っては……

<慈愛>の檻よ!

エレノア様!

ごめんなさい、あなたの姫様を救うことはできなくなりました。

……もとより叶う願いだと思ってはおりません。お気になされますな。

……エレノア様、その決断に悔いはございませんか?

なんとなく察してはおりました。なんとなくですがな……

どうか老兵に誉れとなる死に場所をください。ご一緒することをお許しくだされ。

……わかり、ました。

ありがとうございます。これで少しは救われた。

これ以上は……<慈愛>の檻が壊れます!

ワシが注意を惹きつけます。どうか本懐を!


こっちだ、若造!!

くっ……やりおる!

グルァァッ!

はああっ!!

姫様!今です!

しばりつけよ!<大地>の楔!

ガアッ!グルァ!!

放さぬよ。この命に代えてもな。


七つの力がうちの一つ。<英知>の断章よ!

ここに開帳せよ!理の欠片を!!その力によって、我が望みに応えよ!

ぐっ!なにかが……流れ……こんで……

まだだ……私は……

このために来たんだから!!



姫様……やり……ましたな……

あとは虚無のソウルが私の光を……

どうして?私のなかの光が……消え……ない?

そんな……まさか……

姫様!

グラ……



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story46 運命の光



エレノア!

なんだ、あれは……

この感じ……なんか変だ……怖いよ、ディラン兄……

これって……

虚無の王――

――ロイド・イングラム!


フハハハハハハ!まさか、こうして再び会えるとは思ってなかった!!

賭けだった!私の全身全霊を込めた最後の賭け!

勝った!勝った!勝った!大勝利!!大勝ちだっ!!私の一人勝ちだ!!


どうして!?なんで、でっかくなってるの!?

…………

絶望してるのではないかね?光の王……と言っても、今はその力を失っているだろうが。

すべて嘘だったのね?

どういうこと?

虚無のソウル。光を喰らい、消滅する破壊の力。その情報がすべて……

嘘ではない。いや、嘘ではなかった。もともとは、そのつもりだったよ。

四魔幻獣の持つ闇を虚無のソウルに作り変え、光も闇も総じて滅ぼす。

だが、エレノアという私の計画を知るイレギュラーが現れた。だから計画を変えた。

闇の王子にくれてやったのは、私の意識を乗せた闇だ。虚無のソウルではない。

でも、あの時、私の光を!

ああ、だから、彼女は私のなかにある闇を全て虚無のソウルに変えたと勘違いしてくれた。だが、アレで全部だ。

君たちを編すために用意した嘘だよ。見事にハマってくれた!

あのまま戦い続けていれば私の意識は闇の王子の力に押し込まれ、食われていただろう。

だが、私が消える前に!こうして王が持つ光と混ざることになった!!

光と闇は互いに反発しあう。半端な光の王の意識では四魔幻獣の闇には勝てなかったようだな!

そんな……すべて無駄だったのか?

わかってるじゃないか。無駄だったのだよ。君たちは存在しない虚無を信じ、こうして私を新たな王にしてくれた!!

出会った時から思っていたが、本当に忌々しい男だ……

フハハハハハ!せいぜいあがけ。楽しませてくれるのなら、死に方くらいは選ばせてやる。


 ***


姫様!

グラ……


――たしかに手をつかんだのだ。なのに、また間に合わなかった。どうしてワシは何度も取りこぼす?

なんだ、これは?エレノア様をつかんだ手が燃えるように熱い――!?


 ***


「ここは……?」


「姫様……」

「グラハムは私の騎士なんでしょ?」

「はい。姫様の騎士ですぞ。」

「だったら、私のこと守ってくれる?オバケとかから……」

「お任せくだされ、姫様。オバケだろうとなんだろうとワシが斬り捨ててやりましょう。」

「約束だよ。絶対に守ってね。」

「はい、お任せくだされ。」

「なら、この花輪、グラハムにあげる。私の騎士のために作ったの!」

「これはこれは素敵な花輪ですな。ありがとうございます、姫様。この花輪にかけ、姫様をお守りすることをここに誓いましょう。

…………これはワシの夢ですかな?それとも、あの世ですかな?

「…………」

「姫様、ワシをお許しくだされ。姫様を守ると約束したのに、ワシは……」

「許さないよ。約束をまた破ろうとしているグラハムなら……」

「…………」

「あなた、言ったでしょ?オバケだろうとなんだろうとワシが斬り捨ててやりましょう、って。

今度は約束を守ってよ、グラハム。」

「……それが姫様の願いなのですか?」

「違うよ、二人の願いだよ。

気づかなくてもしかたがないよ。グラハムは不器用だもの。」

「……そうですな。いやはや、この歳になっても気づかないこともありますな。」

「うん、だから、もういいんだよ。もう自分を許してあげても。私を忘れてしまっても。」

「……不忠なことに忘れようとしておりました。ですが、二度と忘れはしません。

姫様のおかけでワシは人間になれました。夢でも亡霊でもかまいません。あなた様の笑顔を見ることができて本当によかった。

……グラハム・オウガスタ。故あってエレノア様の騎士となる誓いを立てました。

……二君に仕えるは騎士道にあらず。しばしの間……お暇をいただきたく存じます。」

「……うん、さようなら、グラハム。今まで、ありがとう。」

「――姫様、さらばです。」


 ***


ここは……主人公!大丈夫かね!?

あれは……

 ――ロイド・イングラム。

……エレノア様を取り戻さねばならん。

――だが、どうやって?

 グラハムの剣が輝いている!?


エレノア様が力を貸してくださっておる。ゆくぞ、主人公!



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story47 二人の王




防壁……てん……

はあ、はあ、はあ……

みんな……

弱い、弱い、弱い、弱すぎる!フハハハハハ!!最高の気分だ!!

さて、そろそろ終わりにしよう!


主人公……

グラハム……

ロイド・イングラム、この剣にかけて貴様を斬る。

忘れていたよ。まだ残っていたな。

なんだ、それは……その剣の光は……


 ***


「エレノア……起きて、エレノア……」

「アイ……リス……様……?ここは……」

「あなたはロイド・イングラムのなかに取り込まれてしまったわ。」

「また……ダメだったんですね。どうして……」

「あなたはよくやりました。私を過去の私と会わせてくれた。

虚無のソウルが発生することも止めてくれた。あなたのおかげよ。」

「でも、ロイドにこの世界を……」

「大丈夫。この世界を壊させたりはしない。」

「でも、もうなにもできません。私には、もう力が……」

「そうね、私もあなたも無力かもしれない。でも……

私たちは一人じゃない。」


「これは……」


 ***


死ね!!

ぐあぁぁっ!!

もう終わりかね?

カカッ……なめるな!!

貴様だけはワシが屠らねばならん。マルグリット様のためにもエレノア様のためにも!!

貴様だけはぁぁぁぁぁっ!!

ネタ切れか、つまらん。ひしゃげろ。


私を忘れんなー!!


――二人なら。

主人公、ありがとう。あなたの力、借りるわ。

<*×○■!&%$…………>


この光……

まだいけそうね。援護しないと!

防御は任せてください!!

まったく人使いの荒いやつだ。高くつくぞ、アイリス……

ヴィシャス、ノエル!アレス男児の意地を見せてやるぞ!

おじいちゃんの援護だ!

悪徳(ヴィシャス)の名を――貴様に刻んでやろう。

無駄だと言ってるだろう?

うおおおおおっ!!


 ***


「この光は……グラハム……さん?」

「信じましょう。そして私たちにできることを……」


「「<*×○■――

  ――!&%$…………>」」


 ***


なんだ、これは……光……だと!?ありえん!!

なぜだ!?光はすべて……奪ったはず……ぐあぁあああっ!!

姫様ぁぁぁぁっ!!

<グラハムがロイドの体に腕を突き入れる。>

ぐああああああっ!!

<絶叫するロイドからエレノアを引きずりだした。>


姫様、今度こそは……約束を守りましたぞ。

グラ……ハム……さん……


まだだ!まだ私は……

「無駄です。ロイド・イングラム。」

今のアイリスの声!?

私じゃない……

アイリスが二人……

<慈愛>の檻よ!

まだ、しばらく力を貸してください。

はい。


エレノア、ありがとう。ここから先は私も王としての責務を果たします。

アイ……リス……様……

エレノア、行きましょう!私たちで未来の決着を。

はい!

ふざ……けるなぁぁぁぁぁぁっ!光の王がなぜ!?私のソウルを返せぇぇぇっ!

助太刀いたします。

ええ、行きましょう!グラハムさん!!


ふざけるなぁぁぁぁぁぁっ!!


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story48 アイリス



<*×○■!&%$…………>


なぜだ……なぜ……ありえん……

このまま……では……世界が……

があっ!

私の計画が……崩れる……など……

想定外……だ。計画に……修正を……

入れ……間にあわ……



……姫様、仇は討ちました。どうか安らかにお眠りください。

終わったの?

これは、魔幻獣の<闇>……?

虚無のソウルでなくても、魔幻獣の力は危険なものです。

<闇>に力を与えかねない。

主人公の力でどうにかできないの!?

まだ、ロイドの意識が残っているかもしれない。それは危険です。

どうすれば……

私に考えがあります。アイリス、エレノアを頼みます。

なにをおっしゃるのですか!?

最後の力を使い、魔幻獣の闇を、私と一緒にあの未来へと飛ばします。

世界は救われたのではないのか?

いえ、私がいた未来そのものが消えたわけではありません。

だったら私もー緒に戻ります!だって、それでは、アイリス様が一人になってしまうではありませんか!

ごめんなさい。今の私の力では、一人で戻るのが精一杯。

嫌です!だって、私はあなたを!あなたを救いたかった!!

もう救われたわ。だって……

もう会えないと思っていた人たちに会えたから……

アイリス……

……大好きよ。あなたたちのことを忘れたことはない。

私はまちがえてしまったけど、それでも、この気持ちだけは本物だから。


悲しげに笑うアイリスに手を伸ばす。

だが、むなしく空を切った。


いや、ダメだ。このまま別れるなんて、それはあまりも――

――残酷だ。


<*×○■!&%$…………>


これは……

二人のアイリスが重なっていく。


アイリス!

アイリス様!

ああ……本当に……


その手をつかむことができた。

たしかに――


ありがとう、また出会ってくれて。また笑いかけてくれて……触れてくれて……

あたたかい……本当にあたたかいわ……


……もう時間ね。

七つの力がうちのーつ。<運命>の歯車よ――

アイリス。あなたは心のままに進んで。私のようにまちがえないで。

……はい。

エレノア、ごめんなさい、巻き込んでしまって。でも、私もこの世界もあなたに救われた。

待って……

ありがとう。


――辿るべき真実の道を示せ――


アイリス様ぁぁぁぁっ!




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