【白猫】ヨシオ・思い出
村の勇者 ヨシオ・ガーデンリーヴス 勇者を目指す少年。 助けを求める人のため、前向きに戦い続ける。 |
思い出1
俺はヨシオ! 勇者ヨシオだ! よろしくな!
<剣を背負った少年が、自信満々に声を上げる。>
勇者……って、なんですか?
みんなのために戦う、勇敢な戦士のことさ! ――たぶんな!
『たぶん』ってなによ!?
うーん。勇者って資格や免許があるわけじゃないからさ、独学なんだ。
つまり……ただの自称ってこと?
まあな!
え、笑顔で言いきった……!
自称だろうと、勇者は勇者! 俺の活躍、見ててくれよな!
思い出2
なあ、主人公。ちょっと聞きたいんだ。
カリスマってさ、どこの店で売ってるんだ?
……。はぁ?
『勇者にはカリスマが必要だ!』ってバロンさんが言ってたんだ。
だから俺も、そのカリスマってヤツを手に入れようと思ってさ!
で、どこに売ってるんだ?
……はぁ。仮に売ってたとして、買えるだけのお金あるの~?
モンスターを倒して稼いだ賞金なら、いくらかあるぜ!
でもバロンさんが言うには、『カリスマは気高き魂!』らしいんだ。
やっぱ、高いんだろうな。俺の全財産で買えるかなぁ?
アンタはまず、本でも買って勉強しなさぁ~いっ!
思い出3
やべっ! 服が破けちまった! ど、どうしよう……
なぁ~に暗い顔してるのよ~。破けたなら縫えばいいでしょ~?
……ハッ! そうか、そうだった! ここなら自分で縫ってもいいよな!
……はい? どゆこと?
実は、村に仕立て屋の幼なじみがいるんだけどさ……
特訓やら同権やらで、俺が服を破くと、もう、すっげー怒られるんだ。
『誰が縫うと思うてるん、この勇者バカ!』って……怖いのなんの。
はあ……
なんだかんだで縫ってくれるんだけど、怒られるの、怖くってさあ……
……勇者が怖がってどーすんの?
思い出4
よう!主人公! おまえも走らないか?
走る?
特訓だよ。ランンニング島一周! いっしょにどうだ?
うっ……アタシは遠慮しとくわ~。それにしても熱心ねえ。
勇者たるもの、自分を鍛え続けていないとな!
大変ねぇ、勇者って。
ヨシオさんは、どうしてそこまでして、勇者になろうと思ったんですか?
<声>が聞こえたからさ。
<声>ぇ~?
暗いどこかに閉じ込められてて……助けを呼びたくても呼べない。そんな<声>さ。
俺には夢も目標もなかった。でも、その<声>を聞いて思ったんだ。
助けを求めている人がいるなら、応えたい!応えられる俺になりたい!
だから俺は旅に出たんだ。勇者として、多くの人を救うために!
そして……助け出すんだ。いつか。あの<声>の主を……
思い出5
ふぅ……
<ヨシオが、憂うつそうに、ため息を吐いている。>
どうしたのよ、ヨシオ~。ため息とか勇者らしくなくな~い?
勇者らしくない、か……そうかもな……
どんなにがんばっても、俺じゃ勇者にはなれないのかもしれない……
ちょ、ちょっと……そんな落ち込まないでよぉ~!
ヨシオさん……どうしてそんなふうに……?
……あの<声>が聞こえないんだ。
旅に出てから、ずっと……探しているのに聞こえない。
俺はあの<声>の主を助けたいと思って勇者になったのに……
俺……勇者の資格、ないのかな……
思い出6
なんだこれ……すげえ光だ――
……!? これ……この<声>は――
ヨシオ?
聞こえた……聞こえたよ! あの<声>が、また!
かすかだけど……でも聞こえた! まちがいない!
ありがとう、主人公! おまえのおかげだ……
俺はやっぱり、勇者をやる。困ってるみんなを助ける!
助けを呼びたくても呼べない人がいるなんて、悲しすぎるもんな……
だから、俺が助ける。手を伸ばすんだ。必ず届くように……全力で!
がんばって、ヨシオさん!
しょーがないわねぇ、アタシも応援したげるわよ~!
ありがとう、みんな!
俺は……本当の勇者になってみせる!
魂の勇者 ヨシオ・ガーデンリーヴス