【白猫】カティア(ダグラス2)・思い出
天才万能科学者 カタリナ・T・アディソン 神に愛された頭脳(本人談)を持つ天才。 最強の知性と最狂の奇声で世界の法則に挑む。 | ||
2015/09/30 |
Brave The LionⅡ
思い出1
おっほォ――――!!
きゃあ!
ぎにゃああ!出たぁ―――!!
おひさしぶりねェ!坊やにお嬢ちゃん!それから……突然変異種?
キャ・ト・ラ・よ!!
まァ、そんなことよりィ、ここで会ったのもなにかの縁!むふふふふ♪
うっ、早速イヤな予感が……
ちょ~ど研究費が底をついちゃったのよねェ! のよねェ!優良パトロンさん♪
だからァ~、<悪いんだけど>また研究資金の援助を<お願い>できないかしらァ?
……え?
……え?
あら、どしたのォ~?ハトが豆大福食べて喉つまらせたような顔して。
いや、だってアンタの口から、『悪いんだけど』とか『お願い』とか……
それがなによ~?
アンタってさ、もっとこう、命令口調でさ、人の話も全然聞かないタイプだったような……
んまァ!失礼しちゃうわァ!あんた私をそんな目で見てたのね!
ま、世間から好奇の目で見られるのは、天才の宿命だし、毛ほども気にしてないけどォ!
今度はなんの研究をするんですか?
うえっ!?え、えっとォ、それは……
アブナイ実験とかだったら協力してあげないんだからね。
ち、違うわよォ~!おねがい! 私を信じてェ~!!
キャトラ、カティアさんには何度も助けられたし……
はぁ……しょうがないわね。アブナイのはナシにしてよ?
おほッ! ありがとォ~~!愛してるわァ~ん!
……私の頭脳の次くらいに。
はいはい、どーも。
あとは、ラボ用の部屋も融通してくれると助かるんだけどォ~。
えっと、たしか空き部屋があったと思います。
助かるわァ~!それじゃあ早速、荷物を運ぶの手伝ってちょうだい!
……やっぱりいつものカティアだったわ……
思い出2
主人公!しっかり!
<主人公は、魔物討伐で負った傷を押さえ、苦悶の表情を浮かべた>
あわわ、血がにじんでるわ……早く手当しなきゃ!
ちょっと、坊や!どうしたのよ、その怪我は!
さっさと見せなさい!魔物にやられたの!?
なら感染症対策をしないと。お嬢ちゃん、水と清潔な布を持ってきてちょうだい!
は、はい!
じっとしてなさいよ、坊や。
<カティアは、流れるような手際で主人公の怪我を処置した>
止血完了。あとはこれで……
えっ、注射器?
治癒促進剤よ。しばらく身体が熱く感じるけど我慢なさい。
はい、これで処置終了よ。半日くらい安静にしてれば、完治するはずだから。
ありがとうございます、カティアさん!
まるでお医者さんみたいだったわ。
そりゃ薬品を調合するんだから、医学もひと通りやってるわよ。
なるほどねー。腐っても天才ってやつ?
おほほ! 天才は腐りかけが一番ってことよォ~!
それはお肉の話じゃ……
せっかくの優良パトロンですもの!今ポックリいかれたらたまったもんじゃないしねェ!
心臓止まっても叩き起こしてあげるから、安心なさいな!おっほォ――――!!
うーん……
なによォ。この神の手を持つ天才を信用できないわけェ?
いやさ、なんというか……
カティアさん、なんだか前よりも丸くなったような……?
アンタってもっとメチャクチャで変質者みたいなヤツだったじゃん。
最近は妙に優しいというか、常識的になったような……
むっきィ――――!!
おお!?
あんたたちィ~~!大人しく聞いてりゃ好き放題言ってくれちゃってェ!
私を地下組織くずれのマッドサイエンティストと一緒にするんじゃないわよォー!
とゆか! あんたたちより人生経験積んでんだから、常識くらい持っとるわい!
す、すみません……
って、こんな不毛な議論してる場合じゃなかったわ!
私はしばらくラボで缶詰になるから邪魔しないでちょうだいね!あ、食事はドアの前に置いといて!
さすがに深読みしすぎちゃったかしら……悪いことしちゃったわね。
今度ちゃんと謝りましょう。
思い出3
みなさん、すみません。ちょっとご相談したいことが……
あら、アンタたちは確か、カティアんとこの……
はい、カティア様のお手伝いをさせていただいています、ヨシュアです!
妹のミレイユです。実は、その……カティアさまが……
…………
……
なるほど。ここ数日ずっと部屋から出てきてない、と。
はい。ドアの前に置いた食事もまったく手を付けてなくて……
ちょっと心配ね……様子を見にいきましょう。
カティア様!みなさんがお見えになりましたよ!
…………
返事ないね。
いるのはわかってるんだし、入っちゃいましょうよ。
<部屋の扉を開き、中の様子をうかがう主人公。そこには――>
お……お……ほ……お……ほ……ォ……
<ボロボロのしわしわに干からびたカティアの姿が!!>
きゃああああ!
カ、カティア様――!
カティア!しっかりしなさい!
<カティアはプルプルと震えた手で、戸棚の一角を指差した。>
カティアさま?あのケースの注射器が欲しいんですか?
お……お……
<ミレイユは、ケースから薬剤の入った注射器を取り出し、カティアに手渡した>
お……お……おうふゥ!
わっ、首筋に刺したわ!
おー……ほォー……おー……ほォー……
見て! カティアさまの肌がどんどんツヤツヤに……!
お……お……おおお……おおおおおォ!!
おっほォ―――――!!
カティア様が……!カティア様が復活された――――!!
おっほォ―――……うっ!!げほっ、げほっ! げっほォ!
だ、大丈夫?
あふゥ、さすが私の作った秘薬。死人も生き返る効果だわァ。
もうビックリしたわよ。扉開けたらミイラになってるし。
大したことじゃないわ。寝るのと食べるのを忘れてただけよ。
カティア様、どうしてそんな無茶を……
……素人に言ってもわからないことよ。
っ! この山積みの資料って、あの島の……!
こらァ!乙女の秘密を勝手にのぞくんじゃないッ!
あっ、カティアさま……!
研究室は部外者お断りよォ!ほらァ、いったいった!
<主人公たちは、部屋から追い出されてしまった……>
んもう! なんなのよ!せっかく助けてあげたのに!
カティアさま……
思い出4
カティア様、僕たちにお話ってなんですか?
ヨシュア、ミレイユ。鼓膜をクリーンにしてよく聞きなさい。
は、はい。
……あなたたちの身体に組み込まれた<神獣>。それを分離する方法を見つけたわ。
っ!!
もしかして、ここでずっと研究してたのって……
そゆこと。あんたたちの協力と、あの島から押収した資料のおかげでね。
でも、前にカティアさまは、切り離すことはできないって……
切り離せないなら消すまでよ。この<ナノマシンウィルス>でね。
このウィルスを打てば、<神獣>の因子をピンポイントで消滅させることができるわ。
二人とも、これを使って元の人間に戻りなさい。
…………
カティア様、言いましたよね。この力は好きなように使えって。
言ったかもね。
あたしたち、こんな身体にされてひどい目にもあったけど……でも!
この力を持つ僕たちにしかできないことがあるんです。だから……それは受け取れません。
なんですって?
あたしたちは……元の人間には、戻りません。
バァカ言ってるんじゃないわよ!
っ!!
子供には過ぎた力よッ!過ぎた科学は破滅しか産まないわ!
……覚悟はできています。
ガキが強がるんじゃないッ!
こうなったら無理矢理にでも打つわ!あんたたちは人間に戻るべきよ!
ッ!カティアさま……ごめんなさい!
あ、コラァ!待ちなさい!ヨシュア!ミレイユ!
むっきィ――――!!これだからガキは嫌いなのよ!
私がどんな思いでコレを作ったと思ってんのよォ――!
カティアさん……
思い出5
むっきィ―――!!ゴク……ゴク……ゴク……ぷっはァ―――!!
まったく……くぉれだからァ、子供は理解できんのよォ、ヒック。
うわー……荒れてるわねぇ。
カティアさん、あんまり飲み過ぎちゃ……
ちょっろォ、聞いてくれるゥ!?おろーちゃん!!
は、はい……
……わからないのよ。
ん? カティア……?
こんな私が!科学を続ける資格なんてあると思う!?
い、いきなりなんの話よ?
定められたルールの中で試行錯誤して、新しい発見を見つけるのが科学。
――なんて言ったけど、ほんとは自分にそう言い聞かせて安心したかっただけ。
……自分の研究のせいで、そのルールが破られている事実から目を背けたかったのよ。
でも、それはカティアさんのせいじゃないと思います……
私のせいじゃない、ですって?
それで子供が犠牲になったのよ!?あの子たちにそんな言い訳できる?
っ!それは……
元の人間に戻さなきゃ、あの子たちも! 私も!誰も救われないのよ!
それでヨシュアたちにあんなキツイこと言ったのね……
あの子たちは聞き分けがいいから、改造されたことも気にしてないって言うでしょうけど……
でも、私は怖いのよ!あの子たちが……!
カティアさん……
カティア……その、ごめん。あんたのこと誤解してたわ。
…………
……?カティアさん?
ぐごォォォ~~……すぴィィィ~~……
……酔いつぶれてるし。
思い出6 (友情覚醒)
ZZzzz……ふがッ!?な、なに!なにごとッ……!?
やーっと起きたわね。
こんなところで呑んだくれてたら風邪をひきますよ、カティア様!
っ! あんたたち……
あのあと、お兄ちゃんと話し合ったんです。
僕たちは一度、この力を……<彼ら>を受け入れました。
だから、ここで人間に戻ったら、その、手のひらを返すというか、カッコが悪いというか……
違うでしょ、お兄ちゃん。――あたしたちは、もう逃げ出したくないんです。
……怖くないの、あんたたち。
あたしたちにとって怖いのは、<彼ら>とお別れすることです。
僕たちはこれからも、<彼ら>と一緒に生きていきます。
そうしたいんです。
……<神獣>と、共生……
!そうか……そのロジックなら……!
あんたたち!ちょっと待ってなさい!具体的には三日くらいッ!
カ、カティア様!?
また引きこもっちゃったし……
<それから、きっちり三日後――>
はァ……はァ……か、完成したわ……
カティアさま、目にクマが……!
ンなことより!はいこれ!今すぐ着けてみなさい。
これは……腕輪ですか?
その腕輪には、ある特殊な波長を発生させる装置が内蔵されてるわ。
なんだろう……気のせいかすごく身体の調子がいいです。
その腕輪の波長が、<神獣>の因子と人間の因子を同調させているのよ。
これで身体は安定するはず。暴走のリスクも限りなくゼロよ。
っ!ありがとうございます!カティア様!
おほほ!私は寛大だからねェ!今回はあんたたちの意思を尊重してあげるわァー!
……あんたたちのことは、私が責任もって面倒みるから。
カティアさま……
許して、とは言わないわ。でも……これだけは言わせてちょうだい。
<カティアは、ヨシュアとミレイユをそっと抱きしめた>
生きるのよ、ヨシュア、ミレイユ。絶対に無理はしないで。なにかあったらすぐ私を頼って。
うう、カティアさまぁ……
カティア様……なんだかお母さんみたいで――あいたっ!
くォらヨシュア!永遠の十代に向かってオカーサンとはなにごとよッ!
そこは<天才のお姉さん>とお呼びなさいッ!
ご、ごめんなさい、天才のお姉さん……
お兄ちゃんは素直だね。
まったく、これだからガキは……!
…………
私は私の科学を続けるわ。それがどんな結果になっても、全部受け止めてみせる。
それが天才の――いえ、大人の務めってもんでしょう。
ジーニアスディザスター カタリナ・T・アディソン
その他