ゴウセル・思い出
思い出まとめへ戻る
ゴウセルへ戻る
思い出1
ゴウセル
ほほー。
ここがおまえたちのアジト、
飛行島か。
キャトラ
感想はどうかしら?
ゴウセル
感激している。
キャトラ
えっ!? そんなに?
ゴウセル
『見よ! 雲が足元を流れてゆく!
いままさに、我らは
鳥になったのだ!』
キャトラ
おぉ!? どうしたのゴウセル?
ゴウセル
『連なりし峻嶮を超え、
目指すは天空にあるという
神々の島!』
ゴウセル
『いざゆかん!
この伝説の剣で、
悪に染まりし神どもを
射ち滅ぼすのだ!』
アイリス
ゴウセルさん……?
キャトラ
ヘイ、ゴウセル!
どうしたのよ!?
ゴウセル
…………
ゴウセル
かつて読んだ物語を
思い出していた。
空を飛んで冒険する話だ。
キャトラ
あ、いまのは、
その物語のセリフだったのね?
アイリス
暗記していたんですか?
すごい記憶力ですね。
ゴウセル
俺は物語が好きだ。
ゴウセル
心を持つ人間が創り出す物語が。
キャトラ
好きこそものの上手なれ
と言うわ。
ゴウセル
ゴウセル、あなた、
作家さんになったらどうかしら?
ゴウセル
俺には無理だ。
キャトラ
……?
じゃあ、本を朗読する人は?
ゴウセル
朗読する人?
アイリス
あっ、それはいいかも
しれませんね。
アイリス
先ほどのゴウセルさん
本当に物語の登場人物
みたいでしたから。
ゴウセル
それは意外だ。
キャトラ
ううん、
ゴウセルに合ってると思うの。
やってみたらどうかしら?
ゴウセル
やってみよう。
ゴウセル
『――あらわれたな邪神よ!
踏みにじられた人々の苦しみ、
思い知るがいい!』
キャトラ
わ~い! もっともっと~♪
思い出2
キャトラ
ゴウセル、飛行島の暮らしはどう?
ゴウセル
問題ない。俺は
どのような環境であろうと
ある程度耐えられる。
キャトラ
む、そういうことじゃなくて……
ゴウセル
どういうことだ?
キャトラ
気に入ったからいらないか、
っていう観点ではどう?
ゴウセル
気に入った。
キャトラ
わお♪ どういうとこが?
ゴウセル
違う土地で創られた物語は、
読み味も新鮮だ。
ゴウセル
毎晩の読書が実に楽しい。
アイリス
それはよかったですね♪
ゴウセル
ああ、良かった。
キャトラ
そのほかのことはどうかしら?
たとえば食べ物とかさ?
ゴウセル
俺に飲食物の摂取は不要だ。
キャトラ
ええっ!? そーなの!?
ゴウセル
ああ。
キャトラ
それはかわいそうだね……
ゴウセル
かわいそう?
キャトラ
だって、おいしい物とか、
味わうことができないんでしょ?
キャトラ
それって人生損してるわ。
半分と言わず、全部ね。
アイリス
(キャトラにとっては
そうよね……)
ゴウセル
そこまで嘆くことではない。
ゴウセル
読むだけで、食べ物を食べた
気分になれる本もある。
キャトラ
そんな本あるんだ?
めずらしーわねぇ。
ゴウセル
珍しくもない。結構ある。
ゴウセル
この辺りの人々は
食への欲求が強いようだな。
アイリス
言われてみれば、
色んな島で、いろんな料理を
発展させてる気がします。
ゴウセル
中々面白いことだ。
食には、その地域の
文化や暮らしが集約されている。
キャトラ
まあ、難しいことはおいといて……
キャトラ
読むだけでよだれが出る本、
今度アタシにも
見せてくれない?
ゴウセル
いいだろう。
ゴウセル
……
ゴウセル
キャトラは……文字が読めるのか?
キャトラ
読めるわよっ!?
思い出3
ゴウセル
『……焼きたてで
香ばしいパンの上で、
とろりと溶けたチーズが糸を引く』
キャトラ
ごく……
ゴウセル
『hどよく焦げた七面鳥。
朝露を搾り出せそうな
瑞々しいサラダ。
これが今晩の我が食卓だ』
キャトラ
いいわ……!
そういうシンプルなので
いいのよ……!
ゴウセル
『食欲を抑えきれず、
七面鳥にかぶりつく!』
キャトラ
ごく……
ゴウセル
『え? うわ、うま!
うま! これ、うま!
なにこれ、うま!』
キャトラ
いいなぁ~!
ゴウセル
『肉汁すげ! なにこれ!
皮バリバリなのに
肉やわえあけっ! うま!』
キャトラ
いいないいなぁ~!
ゴウセル
『なにこれ、うっま!』
キャトラ
ううぅぅぅ~……!
おなかが減るぅぅぅ~……!
ゴウセル
(うま!しか言ってないけど、
むしろそれが
いいみたいね……!)
キャトラ
もうストップ! もう十分だから!
これ以上アタシを
苦しめないでぇ!
ゴウセル
そうか。
ゴウセル
とまあ、このように
食べ物に関する本も多い。
キャトラ
よくわかった……!
それはよくわかったわ……!
犠牲は大きかったけど……!
ゴウセル
キャトラは食い意地が
張っているな。
キャトラ
よく言われるわ……!
ゴウセル
俺にはない感覚だ。
興味深くはある。
キャトラ
それはどうもね……
ゴウセル
では、こっちの本を
音読したらどうなるのだろう。
キャトラ
ぎにゃっ!?
ゴウセル
『まるで宝石のように輝くタマゴ、
大きく盛り上がった黄身を潰すと
トロ~っとパスタと絡まり……』
キャトラ
ぎにゃー!
もうやめてー!
思い出4
キャトラ
こないだはひどい目にあったわ。
キャトラ
おいしそうすぎて、
胃袋がいくつあっても
もちゃしないわよ……
ゴウセル
そんなことないだろう。
あれは物語だ。
実際に食べられはしない。
キャトラ
チョット!
そんな夢のないこと、
言われなくてもわかってるの!
ゴウセル
アイリスには好きな人はいるのか?
キャトラ
ぎにゃっ!?
ゴウセル、突然なんなのよ! 急に
ブっ込んでくるんじゃないわよ!
ゴウセル
なにをそんなに慌てている?
キャトラ
アンタがとっぴょーしもないこと
言うからでしょーが!
ゴウセル
む。もしかして、
今俺は、空気を読めて
いなかったか?
キャトラ
いなかったわね!
ゴウセル
またやってしまったか。
キャトラ
また?
ゴウセル
メンバーからもよく言われるのだ。
お前は空気が読めない奴だと。
キャトラ
ふ~ん……そうなんだ……
ゴウセル
おまえたちも、俺のことを
空気が読めない奴だと
思うだろう?
キャトラ
う~ん……まぁ……
思わないこともないんだけど……
キャトラ
空気読まないヤツ、
飛行島にも多いし、
そもそも、読むか読まないか
ギリギリのせめぎ合いも
アル意ものじゃないし……
ゴウセル
どういうことだ?
キャトラ
なんかね、空気読みすぎて、
『うん』とか『そうだね』ばっか
言っててもしょうがないかなって。
ゴウセル
キャトラは理解があるな。
キャトラ
ま、伊達にいろんな人と
おしゃべりしてきて
ないからね。
ゴウセル
…………
ゴウセル
猫がなんでしゃべるんだ?
キャトラ
いまさらソコ?!
ゴウセル
この質問は初めてだが。
キャトラ
まあそうだけど……!
ゴウセル
また読めてなかったか?
キャトラ
ううん、これは
どちらかというとタイミングね。
ゴウセル
タイミング?
キャトラ
間が悪い!
ゴウセル
間?
……空気とは……違うのか?
キャトラ
違うわよ!
ゴウセル
そうか。
アイリス
あ、ゴウセルさん。
キャトラの言うことは、
あまり気にしないでいいので……
ゴウセル
元から気にしていない。
ゴウセル
キャトラは反射で発言している
ように思える。
キャトラ
悪かったわね!
ゴウセル
悪くはないが、
深刻に受け取りもしない。
キャトラの発言は適度に流す。
思い出5
ゴウセル
…………
キャトラ
うっ!?
ゴウセル、なんか怒ってる?
ゴウセル
? どうしてそう思う?
キャトラ
だって、ムーって顔して……
キャトラ
あ、メガネ外してるからか。
アイリス
ゴウセルさんは
視力が悪いんですね。
ゴウセル
そうだ、メガネがないと
よく見えない。
キャトラ
なんで今日はかけてないの?
ゴウセル
壊れた。……いや、壊した?
キャトラ
あらあら!
なにやっちゃったのよ!?
ゴウセル
昨晩のことだ。
血沸き肉躍る冒険譚を
読んでいたとき。
キャトラ
あ、もう予想ついた……
ゴウセル
クライマックスの、
邪悪なドラゴンとの決戦に
大興奮してしまって。
ゴウセル
思わず体が動いたんだ。
アイリス
それで、メガネを……
キャトラ
よっぽど激しい
先頭描写だったのねぇ……
ゴウセル
夢中になりすぎて、
気づいたときには、
落としたメガネを踏んでいた。
ゴウセル
そして壊れたのだ。
見てくれ。
アイリス
あ……
レンズも割れちゃって……
ゴウセル
な?
キャトラ
壊れちゃったのに、
なんだか淡白ねぇ。
スペアとかあるの?
ゴウセル
ないな。
ゴウセル
このままでは今晩の読書に
差し支えが生じる。
ゴウセル
困った困った。
キャトラ
う~ん、ノンキそうだけど、
たしかに困ったわよねぇ。
アイリス
このあたりに、直せる人
いたかしら……?
アイリス
主人公。
いつもの便利なアレで、
どうにかできないかな?
思い出6
ゴウセル
まぶしい。
キャトラ
がまんがまん。
ゴウセル
不思議な現象だったな。
魔力の放出のようでもあり。
キャトラ
そんなことより、どう?
メガネ、直ってない?
ゴウセル
む。
ゴウセル
直っている。
助かった。ありがとう。
キャトラ
どーいたしまして♪
ゴウセル
都合よく、便利なんだな、
ルーンというものは。
キャトラ
必ず望みが叶うわけでも
ないんだけどね。
ゴウセル
だが、その場にいる者の
意思に反応しているのは
確かなようだ。
ゴウセル
非常に興味深い。
キャトラ
ま、それは置いといて……
よかったじゃんゴウセル。
また読書できるね。
ゴウセル
そうだな。
俺はもっとたくさんの
物語を読みたい。
ゴウセル
だが、そろそろ本が
尽きてしまった。
キャトラ
うわぁ、すごいわねぇ、
一体何冊読んだのよ……
ゴウセル
覚えていない。そこで。
ゴウセル
もっとたくさんの本がある場所へ
俺を飛ばしてくれないか。
キャトラ
ん?
ゴウセル
さあ。ルーンの光で
俺の願いを叶えてくれ。
本の山へと送ってくれ。
キャトラ
……そこまでお手軽な
モノじゃあないのよ?
ゴウセル
そうなのか?
キャトラ
帰りはどうするつもり?
ゴウセル
マーリンに頼む。
キャトラ
なら、行きもマーリンに頼んだら?
ゴウセル
その手があったか。
キャトラ
その手があったかじゃないわよ!
ゴウセル
キャトラは賢いな。
サンキューベイベー。
キャトラ
なによそれ!?
バカにされてる気が
するんだけど!?
ゴウセル
気のせい気のせい。
キャトラ
気のせいじゃない気がするー!