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聖夜の探偵少女
リリー・コーネル cv.花守ゆみり
浮かれて賑わう町で、一人サンタを追う少女。
胸に抱く思いは、寒さ程度では冷めはしない。 |
| 2016/12/24 |
聖夜の奇跡・リリー編
思い出1
ふむふむ……まだ先へ続いていますね……
おーい、リリー。なにしてんの？
これはみなさん、お揃いで。見てわかりませんか？
わかんないから聞いてんでしょ。
なにか探し物ですか？
探し物……そうですね、そう言っていいと思います。ここを見てください。
＜リリーは雪で白くなった地面を指差した。
そこには誰かの歩いた足跡が、雪にクッキリと残されていた。＞
……足跡ですか？
そうです。私は今、この足跡を残した相手を追跡しています！
もしかして、なにか事件なんですか？
これ、誰の足跡なのよ？
サンタです。
サンタさんです。ドヤァ……
いや、ドヤ顔の意味がわかんないわよ。
えっ？なんでですか？だって、サンタさんの足跡なんですよ？
いや、そもそもサンタの足跡って言われても反応に困るのよ。
……リリーさんは、そのサンタさんに、なにかご用なんですか？
用事というか、見つけたいんです。
なんでよ？プレゼントでもねだるの？
いえ。見つけたいだけです！
…………え……
ドヤァ……
あ、あ～……そう……うん。
平和な事件追ってるわねえ。ま、それでこそアンタらしいけど。
（キャトラ……面倒になって、考えるのやめたわね……）
ふっふっふっ……それほどでもありませんよ！
いや、ぜんぜん褒めてないからね。
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思い出2
さて、私もみなさんにお聞きしたいことかあります。
あ、はい。なんでしょう？
みなさん……
な、なによ？
この近くで……サンタさんを見ませんでしたか？
……アンタ、その足跡を追ってサンタ探してたんじゃないの？
そうですけど、ここでたくさんの足跡とまじっちゃったから、わからなくなったんです。
あ、なるほど……
それで……どうですか？
残念だけど。見かけてないわ。
そうですか……残念です……
あのリリーさんは、どうしてサンタさんを？
探しているんです。私の……本物のサンタさんを。
ホンモノのサンタ？
はい。実は……
世間にいるサンタさんは、ほとんどがニセモノです！
ただ、サンタさんの服を着ているだけの一般人なんです！
うん。知ってる。
え、知ってたんですか？ウソですよね？
私でも長年調査してわかった事実なのに……
そんなのジョーシキでしょ。って話からすると、本物っていうのは……
はい。本当にプレゼントをくれるサンタさんのことです。
私は昔から本物のサンタさんを見つけようとしているんです！
……アンタ、そんなことしてたの？
はい……小さい頃、クリスマスになるといつもプレゼントが枕元に置いてありました……
それから毎年、私はその犯人……サンタさんを追ってきたんです！
毎年って……アンタ推理が得意なら、すぐ見つけられなかったの？
くやしいですけど、ダメでした……これまでに解ったことは――
わずかな証拠しか残さず、私の部屋にプレゼントを置いて行く手際の良さ。
私のほしいものを正確に当てる、洞察力と情報収集力……そして――
なにより私とお父さんの名探偵コンビでも、見つけられなかったという実力があることです！
ふ～ん。アンタはともかく、有名なお父さんでもってのはスゴイ……って、あれ？
そうなんです。本物のサンタさんは、スゴイんです！
え、あ、うん。そうね。すごいわねー。
私もオトナになったので、もうプレゼントは届かないけど……
でもサンタさんのことは、絶対に見つけてみせます！
この私、リリー・コーネルが！
ドヤァ……
あー、はいはい。がんばんなさいな。
……キャトラ。リリーさんの探してるサンタさんって……
うん。フツーに、お父さんのことないんじゃない？
そうよね……教えてあげた方がいいかな？
う～ん……いいんじゃない？ほら、本人見つけるきマンマンだし。
……そ、そうね……
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思い出3
ところでちょっと聞くけど、アンタそれ邪魔じゃないの？
なんのことですか？
そのヌイグルミよ。そんなの抱きかかえてたら動きにくいでしょ。
大丈夫です！ぜんぜん問題ありません！
いや……どうみても無理あるってば……
無理じゃありません！ほら、ちゃんと虫眼鏡だって持って捜査できるんですよ！
よくみたら探偵のカッコをしてるクマさんなんですね。
リリーさんが持つにはピッタリの子だと思います。とても可愛いです。
そうですよね！えへへ……
たしかにお似合いだけど……って、今さらだけど、そのヌイグルミどうしたわけ？
クリスマスプレゼントでいただきました！
えっとですね、クロ……あ、いや！ えっと……その……
……リリーさん？
あ、あのですね、えっと……なんていうか……
あ……わかったわっ！！
っ？！
ズバリ……それはアンタが自分で買った、自分へのプレゼントねっ！
え……
その歳でヌイグルミが欲しいって、言えなかったんでしょ！！
ええーっ？！
心配しなくても大丈夫よ。アタシにはわかっているから。カッコ……つけたかったんでしょ？
違いますよ？！これは本当にプレゼントで貰ったんです！
無駄よ……このキャトラさんには、ズビットお見通しよ！
さあ、キリキリ白状しなさい！……カニカマ食うか？
本当ですってば！
強情ね……ここはカニカマより、ソフトクリームっていうべきだったかしら。
そ、ソフトクリームだったら、真実を曲げてしまっていたかもしれません……
キャトラ、リリーさんがここまで言ってるんだし、本当だと思うわよ？
なら、誰に貰ったのか言えるでしょ。
そ、それは……さ――
さ？
サンタさん……に……
ほうほう。サンタ……って、アンタが追いかけてるサンタとは別のサンタってこと？
あ、はい。そうですけど……あれ？なんでわかったんです？
な、なんとなくよ！なんとなく！
なんとなくですか……やりますね！
ま、まーね！
（キャトラ……）
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思い出4
さぁ、捜査再開しましょう！カルム君！
あの……カルムさんというのは……
カルム君は、この子の名前です！
アンタ、ヌイグルミに名前つけてるの？
ドヤァ……
いや、褒めてないから……
しかーし！名前をつけたのは、私じゃありません。
そうなの？なら誰がつけたわけ？
お父さんです。
は？
いや、そこは聞こえてるから。アタシが聞きたいのはそっちじゃなくて――
アンタのお父さん、亡くなっアンタのお父さん、亡くなってるでしょってことよ。
たしかに、お父さんはもういません。
でもカルム君の名前は、お父さんがつけました。
ホホウ……じゃ、いつ付けたのか聞かせてもらいましょうか。
私が小さい頃にです。
……小さい頃ですか？
はい。お父さんがまだ、私と一緒にいてくれてたころ――
事務所の椅子に座ったお父さんに、抱っこしてもらいながら聞かせてもらいました。
カルム君の名前……いつも冷静さを忘れないようにという意味で付けたそうです。
……そうだったんですね……
ふ～ん……名前についてはわかったわ。
でも、それだとアンタ……サンタにプレゼントでもらったって話、苦しいわよ。
あ。お父さんの持ち物なら、お家にあったはず……
そういうことよ。つまり、そのヌイグルミは――
誰かからのプレゼントにはならないということ！墓穴をほったわね！
（キャトラ……あなた、なにと戦ってるの？）
ふっふっふっ……なにも矛盾はありせん！
なんでよ！
実はカルム君……ずっとずっと前に行方不明になってたんです！
そうなんですか？
はい……気づいた時には事務所から消えてて……
私がなくしちやったんだって、すごく落ち込みました。
実際はお父さんが、知り合いに預けただけでしたけど。
そ、そんな言い逃れで……
調べてもらってかまいません。お母さ調べてもらってかまいません。お母さんに聞けばわかります！
私、かなり大泣きして探したので！
あぁ……そうなの……
（なんでそんなに残念そうなの、キャトラ……）
じゃあ、まあそれが戻ってきたわけね。
そうなります。……お父さん、言ってました。カルム君は頼れる相棒だって。
すぐそばで大事なことをいつも思い出させてくれる、そういう存在だって。
だから、今日は一緒に捜査してもらってるんです。
お父さんの相棒なら、私にとっても相棒ですから！
……リリーさん、そのヌイグルミがとても大切なんですね……
はい！もちろんです！
そっか……からかって悪かったわ。
わかってもらえたならいいんです。それじゃ、あらためて捜査を再開しましょう！
みんなで遅れた分を取り戻すんです！
…………
いつの間にか、アタシたちも人数にくわえられてる！？
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思い出5
……おーい。リリー、そろそろ帰りましょ。
えっ！？でもまだ、ぜんぜん手がかりが集まってないですよ！？
ですけど……もう日も暮れてしまいましたし……
で、でもでも謎を謎のままにするなんて、探偵としては……
そうは言うけど、見かけたサンタを手当たり次第に尾行しても収穫はないんじゃない？
でも、猫ちゃん探しの時はこの方法で……
猫とサンタは違うでしょ。そもそもアンタが探してるのは……ただのサンタと違うんだし。
……はい……
ねえ、リリー……アンタさ、なんでそこまでサンタ探してるの？
それは……
ずっと探してるって言ってたし、なんかジジョーでもあるわけ？
……リリーさん。よかったら聞かせてください。
こうして探す以外にもなにか、私たちにできるかもしれません……
みなさん……
ありがとう……ございます。
いいのよ。それで、なんかあるの？
……サンタさん探しは、私が初めてした探偵のお仕事なんです。
そうなんですか？
はい。初めてサンタさんにプレゼントをもらった日――
お父さんが依頼してくれたんです。サンタさんを見つけてごらんって。
それでサンタ探しが始まったわけね……
最初の頃は全然手がかりがみつからなくて、お父さんが手伝ってくれました。
それから毎年……手がかりをみつけて、お父さんに教えてあげて……
お父さん、私かサンタさんを見つけるの楽しみにしてたんです。
リリーさんにとって、大切な……お仕事だったんですね。
はい。そうです。とても大事な依頼なんです。
なるほどね……
お父さん言ってました。『リリーなら絶対見つけられるよ。がんばれ』って！
でも……もう何年も新しい手がかりを見つけられてません。
サンタさんも、プレゼントを贈ってくれなくなりました……
お父さんも……もういません。私ひとりじゃ、難しいのもわかってます。
だけど私が見つけられたら……きっとお父さんは褒めてくれると思うんです！
よくがんばったねって、流石は俺の娘だって……言ってくれる気が……するんです。
だから……
……アイリス……どうしよう……
…………
――くしゅんッ！！
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思い出6
ずずっ……あ……あったかくなってきました。ありがとうございます！
アンタねえ、探したいって気持ちはわかったけど、気をつけないと風邪引くでしょ。
探偵でも冒険家でも、みんな体がシホンなんたから！
きっとサンタさんも、病気になってまで探していたって聞いたら、悲しむと思いますよ。
うぅ……ごめんなさい……
でも、そうですね。みなさんのいうとおりです。
サンタさん……私のことなら、なんでもお見通しでしたから……
ほうほう。そうなの？
はい。プレゼントも、いつも私か欲しいものを贈ってくれてました。
私がお父さんと同じ探偵帽子が欲しかった時も、ピッタリ当ててさたんです！
……ふ、ふ～ん……
あの時は本当に驚きました！
知ってたのはお父さんだけなのに、サンタさんはすごい推理力の持ち主です！
それに私がなんど張り込んでも、見つけられませんでした。
それ……もしかして、お父さんと一緒に張り込んでた？
ええ？！なんでわかったんですか！？
な、なんとなくよ？うん。
クローゼットに隠れた時は、あたたかくしないとダメだって、あったかいコートをくれた年もあります。
……サンタさん、リリーさんのことすごく考えてくれてたんですね。
そうみたいです。他にもたくさん、あったかなプレゼントをくれました。
あんなに私のことをわかる人、お父さんだけでしたよ！
…………
どうかした？
いえ、今なんか……ちょっと待ってくださいね……むむむ……
サンタさんは……私のことをたくさん知っていた……
好きな物や、ほしい物……それに私の行動まで全部……お父さんと同じくらいに……
お父さんと同じくらい……はっ！？みなさんっ！！！
え～っと、なによ？
私……わかっちゃいました！私が探していたサンタさんの正体！
な、なんですってー！
そ、そうなんですね。よかったら聞いてもいいですか？
もちろんです！
私の探していたサンタさんの正体、それは――
ドゥヤァァァ……
ここいちばんでドヤるんじゃないわよ！
ふふふ……♪
ケットノエル リリー・コーネル
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その他
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| 画像 | 説明 |
|---|
 | リリー・コーネル cv.花守ゆみり稀代の名探偵、ビリー・コーネルの娘。普通のことを力強く宣言することが得意。 |
| リリー編「聖夜の奇跡」 |
| リリー（クリスマス）浮かれて賑わう町で、一人サンタを追う少女。胸に抱く思いは、寒さ程度では冷めはしない。 |
| リリー（アイドル）＜コーネル探偵社＞の探偵であり社長。社の宣伝のため、アイドル活動に励む。 |
| リリー（トラベラー）＜コーネル探偵社＞を営む探偵少女。最近は遺跡調査も始めたらしい。 |
| リリー（正月）誰かが悲鳴を上げたとき、彼女はそこに……――いたりいなかったり！名探偵リリー！ |
人物紹介
| 画像 | 詳細 |
|---|
| リリー・コーネル cv.花守ゆみり稀代の名探偵、ビリー・コーネルの娘。普通のことを力強く宣言することが得意。 |
| クロード・アサノ cv.増本拓也＜アサノ・マッスル研究所＞所長。全ての謎を筋肉で解く、通称＜筋肉探偵＞。 |
