リィル・ライル
リィル・ライル CV: |
2017/00/00 |
夏。
日差しが分け隔てなく襲うこの季節は、どの異界であろうとも水場が盛況となる。
『冒険と探求のある異界』、そのとある水場で、君とリイルは避暑を楽しんでいた。
「こんなに暑い日だし、今日はあそぼうよ!」
彼女は自分の代名詞でもある双銃の片割れを、君に押し付けるように渡してくる。
リイル・ライルの銃は、彼女が持たなけれぱ単なる水鉄砲に過ぎない。
確かに多少水圧は強めなものの、所有者以外の魔力には反応することはなかった。
「さあ、どっちが射撃がうまいか、勝負しよう!」
つまり、その銃は単なる遊び道具として渡されたのだ。
君は銃に水を詰めると、リイルに狙いを定めて引き金を引く。
だが、一直線に飛ぶ飛沫は、彼女を捉えることはできなかった。
「あはは、遅い遅い! そんなんじゃ私には勝てないよっ」
彼女は水そのものを繰る魔法に長けていた。それゆえ、水遊びに関して彼女の右に出るものはいない。
まるでスケートのように水辺を滑る彼女の動きは、まるで妖精のよう。
そんなリイルに目を奪われ、君はあらぬ方向へと引き金を引いてしまった。
「ひゃぶっ!」
銃口と君の視線を頼りに射撃を避けていたリイルは、思いがけない君の行動に意表を突かれてしまう。
まさか当たると思っていなかったのか、マトモに水銃を食らった彼女の服はびしょ漏れになってしまった。
「や、やったなぁ……!」
リイルは恥じらいの色を浮かべて君を睨む。漏れた服の裾をつまんで、彼女はむすっと顔を膨らせた。
「……あっ!」
そして一瞬の沈黙のあと、君とリイルは同時に、お互いから目を逸らす。
……ある程度薄い生地の白い服は、漏れると透ける。そのことを二人とも失念していたのだ。
だが、次の瞬間である。
黙ったままの君の背後にある岩が、『飛来した何か』に勢い良く撃ちぬかれた。
反射的にそれが飛んできた方向を見ると、にっこりとわらったリイルが、虹色の水を纏っている。
……どうやら少しだけ彼女は怒っているようだ。
「一撃必殺でしょ♪」
彼女は決め台詞を言うと、もう一度銃を構える。
強大な魔力が銃のタンクに集まり、その水圧を上げていくのがわかった。
夏の日差し。
白い砂浜。
青い海。
君とリイルの追いかけっこが、いま始まる。
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