【白猫】白猫シェアハウス Story
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白猫シェアハウス Story3
ギルドからの依頼を受け、初めての単身赴任へ――! |
2017/04/28 ~ 05/19 |
目次
story1 初めての単身赴任
――飛行島に、冒険ギルドから一通の手紙と木箱が届いた。
「アラ、主人公。またギルドからの依頼?大人気ねぇ。」
封筒を見てそう告げたキャトラは、いつにも増して忙しそうな様子だ。
「困ったわ……私にもキャトラにも、ギルドから依頼が来たところなのに……」
アイリスがつぶやいた。
そうだった。
二人ともしばらくの間、飛行島でギルドからの仕事をやらなくてはいけないのだった……
「うーん……」
「どうしましょう……」
アイリスとキャトラが、腕を組んで同時にうなる。……キャトラが腕を組んだ???
「いいこと思いついたわ!」
「え?」
「主人公、たまには一人で行ってもらえる?」
!!
「そうね……悪いんだけど、私たちはしばらく動けないし……」
「なぁーに、どんな依頼だろうと、ひゃくせんれんまのアンタなら大丈夫よ!」
太鼓判を押されてしまった……
「……お願いできるかしら?」
――二人は忙しい。ここは……自分の出番だ。
「ありがとう♪」
「それじゃあ、たのんだわよ!」
――大丈夫だ。ギルドの依頼なら、これまで何度もこなしてきたのだから――
「で、スルーしちゃってたけど、この箱って何かしら?開けていいわよね?」
「キャトラったら…………あら、これは……?
……お洋服……?」
「フツーそこは前金だろ!って気もするけど、現物支給なのねえ。
せっかくだから着てったら?」
story2 訪れた文明の街
とても発展した様子の島についた。
依頼人はどこにいるのだろう?
「赤髪の猫にゃん!あなたですねー!」
猫……?
「あなたですよあーなーたー!
ギルドを通して来てくれた冒険家ですよね!?」
……ギルド?冒険家?
とういことは、この子が……?
??? |
---|
「申し遅れました。私はシズ。
〈情報の精霊〉の、最新の亜種です。」
最新の……亜種……?
***
「――というわけでですね、この島は、非常に技術の発展している島なのですが……」
シズの話りを聞きながら、一軒の家の前にやってきた……
「誤算だったのですよ!!時代は情報化社会に突入……!
これからは、もっと手軽に!どこにいても、誰とでもおしゃべるできるツールがウケる!
と、思って発表した〈にゃいんぶっく〉が……見事に大コケ!
私に残されたのは、膨大な借金と……いずれ事務所にしようとしていたこの一軒の家だけ……
というかこの家も、ローンの塊なんですが……」
…………
「依頼というのは他でもありません。赤い猫にゃん。
私と一緒に、〈にゃいんぶっく〉をこの島に流行らせてください!
そして私の借金を返済させてくださぃいぃぃ~……!」
……借金返済の手伝い……?
…………
「――その汗!それは『やってやるぜ!』という武者震いの汗ですよね!?
ありがとうございます!感謝、感謝です!それではこれから、よろしくお願いいたします!」
反応を誤ったようだ……!
story3 共に暮らす仲間へ
「――どうです?いい家だと思いませんか?」
たしかに、いい家なのだが……
「……そうですよねぇ……ゆくゆくは事務所にするつもりだったんですが……
たった二人で住むには、タカラのクサレモチですよねぇ……」
何かが違う気がする……
「そこで、相談なのですが。
どなたかあと三人くらいに、ここに住んで欲しいのですが、お友達とかいらっしゃいません?
特典は〈にゃいんぶっく〉を使い放題!どうです?」
…………
「そ、それだけじゃなくてですね。この島で自立した生活を送ることで生きる力もつくというか……」
…………
「いい刺激になると思うんです!
たまには冒険以外で暮らしてみるっていうのも!」
ここに住んでくれそうな仲間がいるだろうか……?
「私も、この家の管理人としてサポートしますから♪」
(……家賃、勉強しますよ?)
……うーん……
「おぉ!やる気の汗ですね!?」
しまった、また反応が!
「ありがとうございます!では、心当たりのお仲間さんに、お声がけをお願いします!
大丈夫ですって♪風呂つき庭つきプールつき♪快適な暮らしを保証しますよ♪」
……シズは盛り上がっている。
……反応に失敗した自分にも非がないこともない……
ここは協力するしかないだろう……
…………
……
「――三食昼寝つき?
んなのサイコーじゃん!選択肢は一つっしょ!」
「なるほど、把握しました。
助けを呼ぶ声あらば!わたしが行って、守ったらーい!」
「――自分の力だけで生活……
僕にも、出きるかな……?」
story4 時はしばらく遡り
――しばらく、時は遡り――
『それ』は、『その島』へとやってきた――
「……港を発ったときは、雲一つない晴天だったが……あんな嵐に歓迎されちまうとはな。
はっ。まったく激しいダンスだったぜ。
……ここはどこだ?俺以外で流れついた奴はいないのか……?
<それはハンバーガーだった。
ハンバーガーの彼――
バーガーは、現代社会において、大量消費されるだけのただのジャンクフードである……
――それは正しいだろうか?>
「……ふっ……」
<――ある側面からは間違いだ。>
「いい島じゃねえか……」
<全てのバーガーの共通意思とも呼べる彼は、『ハッピー』を探していた。
「野菜も……牛も……にわとりも……この島なら、のびのびと育ちそうだ……
<その『ハッピー』とは――『食』。
生物の根幹を支える行為であり、また快楽でもある、『食事』。
『食卓が幸せに包まれる』こと、それだけを願い――
彼はバーガーからバーガーヘと、終わりのない転生の旅を続けていたのだった。
(しかし皮肉なことに、彼自身の栄養分は、お世辞にも完璧とは言い難かったのだが)>
「……ん?
<ぶらぶらと島を歩いていた彼は、鈍い光を目の端に捉え、歩みを止めた。>
「――こ、これは!
<――それは、世界でもごく少量しか確認されていない。
<希少鉱石のルーン>だった――>
「……はっ。」
<バーガーはパンとトマトの間にポテトをくわえた。>
「ふっ~~~っ。
まいったぜ……
俺のサイフには……ちいとばかり、分厚すぎるレタスだ、な……」
<――嘆息とともに吐き出したその台詞とは裏腹に――
――彼は、『持って』いた――!>
story5 大きな壁
「…………」
「いらっしゃいませー!ただいまセットでポテトが大変オトクになってま~す!
こちらにクーポンもございま~す!どーぞご利用くださ~い!」
「…………」
「どぞー!どぞー!ど――!?
あ、あなたは!」
「俺は、ランチを楽しみにぶらりと外に出た、ただの男さ。」
「は、はい……く、クーポンを……」
<バーガーは肩をすくめ、サングラスの奥からウインクを飛ばした。
「値引きは結構。安い女だと思われたくないだろ?お嬢ちゃん?」
「す、すみません……」
「ふっ……いいさ。」
***
「テリー……答えてくれ。」
<――小さな牧場と、二つの<うね>を作った。それだけで良かった。
しかし、<希少鉱石のルーン>の価値は――その所有者に、そして――島に。
過剰な富を与えてしまった――>
「『バーガー・ホールディングス』……か。
なんとも大げさな壁だぜ。落書きし甲斐はありそうだがな。」
「!?か、会長!?」
「今はオフだ。」
「は、はっ……」
<島をー挙に急成長させた大企業、バーガー・ホールディングス……
衣、住、そして――『食』。
島民たちの生活をー手で支える島民たちの生活をー手で支える、この島の実質的な支配者……
――だが――>
「……なあ、テリー。答えてくれ。
俺たちが出会った店は……この島に、あると思うか?
『ないなら作ればいい』か……相変わらず、適当なことばかり言いやがって……」
<バーガーはパンとレタスの間にポテトをくわえた。>
「……ふーっ……」
「――会長。」
「…………」
「役員会の決定をお伝えしに参りました。」
「大変申し上げにくいのですが――」
「牧場と、二つの<うね>だ。」
「……は?」
<バーガーはゆっくりと振り返り、声をかけてきた男の目を真っ直ぐに見据えた。>
「いつの間にか、走り過ぎちまってたらしい。
引き返すとするさ。『ハッピー』を探しに、な。」
「良いのですね?」
「いいも悪いも、今言った通りだ。……あばよ。」
「…………
……くくく……バカが……!」
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