【白猫】アイリス(光の王)・思い出
白の少女 アイリス cv.堀江由衣 白の巫女とも呼ばれる、白の王国の王。 光の力の根源たる〈始祖のルーン〉を司る。 | ||
2017/07/14 |
ゼロ・クロニクル
思い出1
――それはずっとずっと昔の、そのまた昔のこと――
――運命の歯車が、巡り始めるよりもっと前――
ルーンの輝きよ……白に生きる全ての者に、安らぎを与えたまえ……
あら、アイリス? お祈りしてたの?
はい、いま終わりました。
相変わらず早いのねぇ。
早起きだけが取り柄ですから。
見習いたいわ。
そんな。シーマさんには、ファイオスさんとテオくんのお世話もありますもの。
そうなの。お兄様、自分一人だと歯も磨けないのよ。
えっ!?
それは嘘。でも、靴の紐も結べなくて。
えぇっ!?
これが意外と本当なのよ。
じゃ、じゃあ紐のない靴を履けば……
そうしているみたい。本当、同じ兄弟とは思えなくて。テオは手先も器用なのに。
テオくん……将来が楽しみですね。
ふ~ん……どう?
どうって?
テオいる?
そ、そんな、物みたいに……
冗談よ。それに、そんなことを考えている暇もないわよね。
私も同じ。
はい。
私とあなた……どちらが〈光の王〉の後を継ぐかわからないけど……
どちらが選ばれても、恨みっこなしでいきましょう!
はい!
<――それは……悲劇を生んだ〈光の王〉が、まだそう呼ばれていなかった頃――>
思い出2
<〈光の王〉の後継者候補、アイリスの朝は祈りから始まる――>
……ルーンの輝きよ……白に生きる全ての者に、安らぎを与えたまえ……
<まだ薄暗いうちから〈始祖のルーン〉の鎮座する方角へ向かい、一心に祈る。
…………
<そこでシーマと会うこともあれば、会わない日もある>
……よし。じゃあ、そろそろ行きましょう。
***
<祈祷が済んだ頃、アイリスはその足で山へと向かう>
あっ、ふきのとう。あっちにはタラノメも♪
<日課である山菜採り。アイリスは毎日、カゴ一杯の山菜を摘む>
ふふ、どれもおいしそう♪
いまのところ、食べるのに困ってはいないけれど……
食糧は、いつなくなるかわからないものね。備蓄に越したことはないわ♪
<案外、しっかり者であった。
……そして〈山菜採り〉の技術は、遠い遠い未来で思わぬ役に立つのだが――
その事実を、彼女はまだ知らない>
――はぁっ! やぁっ!
<アイリスは、暇を見つけて自身の肉体も鍛えていた。
〈光の王〉となれば、敵対する相手と刃を交えることもある。
ルーンの加護によって戦う〈光の王〉には、直接は必要ないかもしれないが――>
……ファイオスさんたちには敵わないかもしれないけど……
自分一人でも、戦えるようにしなくっちゃ……!
<体力をつけ、武芸を磨くことも、無駄ではない>
……ふぅ。こんなものかしら。
<アイリスは、引き締まった二の腕を見て、満足そうに微笑んだ。
……このことも、遥か遠い未来、彼女の悩みの種となるのだが――
それも、彼女はまだ知らない>
<そして、世も更けた頃。再び、ルーンへと祈りを捧げる>
この世界が、いつまでも――
――平和でありますように――
<こうして、〈光の王〉の後継者候補、アイリスの一日は過ぎて行く――>
思い出3
『――――』
――はい。
より一層精進いたします。
***
〈光の王〉の後継者たちは、王宮にて当代に謁見した。
その帰り――
素敵ね、あのお方は。〈白の巫女〉と呼ばれるにもふさわしい方だわ。
ええ、ほんとうに。
あの方を継いで、王になるなんて……
責任重大ですね。
何をいまさら。怖くなったの?
そんなことは……
私はなったわよ。
シーマさん?
〈光の王〉ともなれば、ずっと王宮暮らしだわ。
退屈で死んじゃいそう。
もう、シーマさんたら。
ふふ。でも、お行儀よく、ずっと玉座に座ってるのって、きっと苦労だわ。
それはそうかもしれませんね。案外……
なあに?
あの方も……夜にはお城を抜け出して、遊んでいたりして?
まさか、そんな話、聞いたこともないわ。
でも、〈始祖のルーン〉の力があれば、容易いことですよね?
そうかもしれないけど……〈光の王〉が、そんなこと……
ふふふ、わかってますよ。なんとなく、そう思っただけです。
……〈白の巫女〉は、光と共に天空に在りて、常に〈均衡〉の一端を担う――
――ですもんね。
それも、言われてもあまりピンとはこないけれど……
王にとっては、きっと意味が違ってくるんだと思います。
でしょうね……
そう――穏やかに微笑むだけじゃなくて……
王は、笑顔の裏では、きっと――
……?さあ、もう行きましょう。
ええ、そうですね。
思い出4
――ごちそうさまでした♪ とてもおいしかったです♪
いえいえ、お粗末さまでした。
またいつでも来てよ!三人分も四人分も、手順は変わらないからさ!
テオ、そういう台詞は、自分が料理したときに言うものよ?
へへへっ! 姉ちゃんの代弁をしてやったんだい!
こら。調子に乗るな。
イタッ!ぶつことないじゃないか!
ぶってないだろ……やかましい奴だな。
……ふふふ……♪
***
じゃあ、俺はアイリスを送ってくる。
はい。
おみやげー!
買わん。
ちぇー!
***
……まったく……テオのやつ、客が来るといつもよりうるさくなるから……
にぎやかで、とっても楽しいお食事でしたよ♪
そう言ってくれるならいいが……
いつも、すみません。お世話になりっぱなしで……
アイリスは気にするな。テオじゃないが、手間は変わらないんだから。
山菜もいつももらってるし。
山に行けば、生えていますが……
……いや。アイリスが摘んでくれた山菜は、他とは違って、美味いぞ。
そうですか? 誰が摘んでも同じような……
違う!
え?
いや……その……すまん。大きな声を出してしまって。
だが、違うんだ。美味いんだ。本当に。
……そうですか? ふふ……よかったです♪
…………
……お見送り、ありがとうございました。それじゃあ、ここで……
また、いつでも来てくれ。
山菜を持って、また行きますね。
ああ……山菜は……好きだ。
覚えておきます。じゃあ、おやすみなさい。
……ああ、好きだとも。少し……苦いくらいがな……
思い出5
<――白の王国の端。
アイリスはその場所が好きだった>
……いい風……
<眼下に広がる空と雲。まるで自分が鳥になったかのような景色……>
……だけど、きっと変わるのね。
私が、〈光の王〉の後を継いだとしたら――
――この景色の、意味も。
<後継者争い――と呼ぶほど、熾烈なわけでもないが……
最終的に誰が選ばれるか。大方の予想は一致していた……>
……でも、わからないことがある。
王を継ぐのに……最も大事なことは、なに……?
私にそれがあるのなら、喜んで継ぐのだけれど……
…………
……? あれは……
!! 闇の魔物!
<地表も遠い白の王国……
しかしそこにも、時折〈闇〉のはぐれ魔物が現われることがあった>
騎士団に報せなきゃ!
!! ダメ、速い!
……こうなったら……!
――私がやるしかない――!
ルーンよ……力を貸して……!
思い出6 (友情覚醒)
邪なる〈闇〉よ――この空より、消え去りなさい……!
……やった……!
〈闇〉を、払えたわ……!
<どこからか、不思議な声が聞こえてくる――>
……え……?
『――〈白の巫女〉とは――
――最後の砦――』
この声……あなたは……
『――必要なのは――
――孤独と向き合い――
――戦い抜くこと――』
……孤独と……向き合う……
……はい……!
<不思議な声は聞こえなくなった――>
……ありがとうございます。わかった気がします。覚悟が出来た気がします。
〈光の王〉、その使命に立ち向かうための、覚悟が。
私は……守ります。
たとえどんなに孤独でも――
――私だけになっても、ここに立ち続けます――!
***
ほどなくして、アイリスは〈光の王〉の座を受け継ぐ――
――しかし――
王とは本当に――孤独なのか――?
世界は一人で支えるものなのか――
光の王