【白猫】エマ・思い出
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エマ・イングラム CV:加隈亜衣 森で独り暮らす巫覡の末裔の少女。 魔獣と心を通わせられる。 |
蒼き炎のテンペスト
思い出1
<リンツ島での出来事からしばらく経ったある日――>
本当に島が浮いてるんですね……空かすごく近いです。
――改めて、エマです。エマ・イングラム。よろしくお願いしますね。
周りにいたのは森の獣たちくらいで、一緒に遊ぶような人間の友達もいなかったし……
だからきっと、私と遊んでも楽しくはないと思うよ。
そしたら思いっきり遊びましょ! 覚悟なさい!
ご迷惑をかけないよう、気をつけますね。
思い出2
ふぅ……これでちょうど十匹めです。
飛行島のみんなは親切だし、優しくて……温かい所だなって思います。
心配しないでください。嫌がらせなんかはもうありませんから。
でも、仕方がない部分もあると思う。
二十年前に幻獣様が暴れて、島の人がたくさん亡くなって……
その傷も癒えきらないうちに、この間の騒ぎがあって……
島のみんなの不安や怒りが、巫親の私に向かうのは、当然ですから。
森の動物たちや、グラハムさんだっています。あの人は留守が多いですけど。
それに……めったに会えないけど、……大切な友達もいます。
ただ、その……すごく、嬉しくて。
友達って、言ってもらえたことが……
だけど、本当に大丈夫です。これからもあの島で、一人でやっていけます。
それが、私の決めた生き方ですから。
思い出3
……せ、せっかくですので、うちでくつろいでいきませんか?
珍しいお茶を……この間、グラハムさんにいただいたので……
こんなにたくさんの人を家に招くなんて初めてで。戸惑いが……
***
1よ、ようエマ。戻ってきたんだな。
***
2エマ、娘のお下がりがあるんだけど着てみないかい? ほとんど新品だよ。
***
3おぉ、エマ。もしよかったら、家屋の修繕を手伝ってくれないか? 人手が――
***
vグルルル♪
昔、森の中で怪我をしたときに、助けてくれたんです。
今でも、森の奥まで出かける時は私についてきてくれて、とても心強いんです。
v
すみません、みなさん。それじゃあ上がって――
せっかくいろんなひとに声かけてもらってたのに。そっけなさすぎるわ! 動物にはあんな優しいのに!
このままじゃよくないって、少しも思ってない?
エマさんの方からも、歩み寄ってみませんか……?
……今さらできるんでしょうか、私に。
思い出4
3ああ、合ってるよ。すまんなあ、助かるよエマ。
この間の大雨で、島中の建物にガタがきてる。ウチの弟子どもだけじゃ手が足りなくてなあ。
……他になにか、手伝えることはありますか?
3ああ、それじゃあ次は――
3客人がた、ありがとうな。エマを説得してくれたんだろう?
3……そうか。
でもやっぱり感謝するよ。きっかけをくれたのは、あのおっかないウルドの公女様と、たぶん、あんたらだ。
今さらあの子に歩み寄ろうなんて、ムシのいい話かもしれん。
だが、この間の騒ぎを経た今だからこそ変わっていかなくちゃならん。俺たちも、リンツも……
3さすが手際がいいな。でも無理は――
4私の家に、勝手に触れないでくれませんか?
3おお、エッダさん。屋根がだいぶ傷んでいただろ?
4頼んでいませんよ。研究資料になにかあったらどうするつもりですか?
3ああ、悪かったよ……
4何度も言ったはずですよ。私のことは構わないでほしいと。
私は研究のために、この島に来ているんです。
いずれ出ていくんですから、余計な交流は必要ありません。
3だがなあ……
4人間関係なんて、面倒なだけですから。
3おい、どこへ?
4森へ採取に。必要な道具を取りに戻っただけなので。
3もう夕方だ、危ないぞ!
3リンツは手付かずの自然が多いからな。
来てもう半年になるってのに、いつまでもあの調子だ……
3最初はどうかとも思ったが、彼女のおかけで、役に立つ薬草も見つかった。
別にその礼じゃないが、せめてリンツにいる間は力になってやりたいんだがな……
思い出5
でもそれ以上に新鮮で、……少しだけ楽しかったです。
今までずっと、思ってました。
たとえ島中から嫌われても、別に構わないって。
誰も恨んではいけない――亡くなった母さんとの約束を、守り続けられればそれでいい……
他の人の助けなんて、なくても生きていけるって。
だけど、あの出来事があって、新しい友達ができて、主人公さんたちとも友達になれて……
それで思い出したんです。やっぱり一人は寂しい……
このまま意地を張っていたら、ずっと寂しいままだって。
かたくなになって……誰の声も響かなくなった私と。
ただの勘違いかもしれないし、迷惑かもしれないですけど……今度、話しかけてみようと思います。
もしかしたら、何か力になれるかもしれないから……
<コン、コン>
3夜遅くすまんなエマ。エッダさん、見なかったか?
3さっき森に行ったきり戻ってくる様子がない。男衆総出で探してるんだが……
なにかあったのかもしれない。
思い出6 (友情覚醒)
お願い、みんな。エッダさんを探すのを手伝って。
村のみんなに、あまり深い場所には立ち入らないように伝えてください。危険です。
3ああ、わかった!
力を貸してくれますか……?
***
4……足が……動けない……
4あ…………誰か……!
「……バルハラ、そっちね!」
4……あなた。
エッダさん、もう大丈夫です。こんな深い所まで進んでいたんですね。
4はい……木の根につまずいて、足をひねってしまって……
4……ありがとうございます。でも、どうして私を助けに?
4……そうですか。
4…………
昔、研究で滞在していた、ある島の住民たちと親しくなったんです。
彼らは私を歓迎して、家族のように親切にしてくれた……
――彼らの目的は、私の研究内容でした。
数年分の成果をすべて奪われ、私は島を追われたんです。
4それからはもう、他人を信じられなくなりました。
巫親のあなたも、この島で嫌な思いをしてきたんでしょう?
孤独を選ぶ私の気持ちが、理解できませんか。
でも色々な人たちのおかけで。やっと気付いたんです。
過去にとらわれて、不満を押し通すだけじゃずっと寂しいままだって……
私はこれから少しずつ、周りと手を取り合っていきたい。だから……
……一緒に踏み出してみませんか?
4……そうですね。勇気のいる決断ですけど……
信じてみます。あなたのような、優しい人間が生まれ育った島ですものね。
***
巫親の血筋を疎んでいる人は、大勢いますから。
いつか、自分の運命を笑い飛ばせるように。
深き森の守り手
その他