【黒ウィズ】エレクトラ・マース
エレクトラ・マース CV: |
2014/10/15 |
はぐれてしまった……
ま、そうは言っても、お互い迷子になるような歳でもないし、危ない目に会うこともない。
なにより、べつに一人ではないし。
“そんなにあの少年が心配か”
「心配するほどか弱くって可愛げがあればね」
“あの名無しの龍がついているのだ。心配することはない”
「心配してない」
でも今回の事件はあまり悠長に構えているわけにもいかないわね。
“そうだな”
「さっきから……勝手に人の心読まないでくれる」
“読んではいない。我々は魂を共有しているのだ。お前の考えたことは私に流れ込んでくるのだ”
「だったらいちいち茶々を入れないでほしいわ。年頃の娘の考えることを盗み聞きするなんて、あんた武人なんでしょ。誇りはどうした。誇りは」
“これは失礼した。では黙っていることにしよう”
しかし、毎度毎度面倒なことに首を突っ込んでくれるわ、あのバカ。
“毎度毎度手伝ってやるバカもいるのだがな”
「黙っている、って言ったでしょ」
“失敬、失敬”
はあ、ついてない。厄介ことに巻き込まれるし、ひからびた武人には茶化されるし。何が、
――困っている人は、放っておけないよなぁ――
――あの日から、俺は決めたんだ。困っている人はみんな助けようって。――
だったら私を助けなさいよ! すごい困ってるわよ。私、いま、すごい困っているわよ。
超がつくほどの御節介野郎に巻き込まれて、すごい困ってるわよ。その癖に、いつもいつもあの子、あの子って、あの子って誰なのよ!
“本人に直接言えばいいではないか。
「言えるわけないでしょ!」
“ふむ。難しいものだな”
「そうよ。難しいのよ、人間は。って入ってこないでよ」
“俺も人に使役されるようになって長い。人についてはそれなりにわかっているつもりだ。エレクトラ、お前の問題がとても難しいのは重々承知している。だがそれはそれほど悪いことではない”
「どこが悪くないのよ。ずっとあいつのせいでイライラさせられているのよ。これを悪と言わずして、なんと言うのよ」
“ふふふ。お嬢さん、人はそれを恋と呼ぶのだよ”
こいつ、こんなこと、どこで覚えたんだろう……