【黒ウィズ】アリエッタ・トワ
アリエッタ・トワ cv.黒沢ともよ |
2015/06/16 |
超究極の天才魔道少女。
幼くして様々な魔法学を修め、多くの魔法を編み出した。
明るくポジティブで、生まれてこの方、悩んだことや後悔したことがない上、ただ1度の失敗もしたことがない(自称)。
歴史上類を見ない最強の魔道士で、人々の生活に役立つ魔法の発明も行っており、彼女ひとりで魔法の歴史を百年は進めたと言われている。
勝手気ままな性格で、トラブルメーカーでもあるが、自身はそれに気づいていない。
ウィズセレ
アリエッタ・トワは、超天才である。
幼少の頃より様々な魔法学を修め、今に至るまでに多くの魔法を編み出した。
この世界における魔法大系を根底から覆し、全て過去のものにした。
魔法学園を飛び級で卒業し、“稀代の大魔法使い”と呼ばれる彼女は今、山を眺めている。
いや……山があったはずの場所を呆然と見つめていた。
「……吹き飛ばしてしまった。」
そびえ立つ山々……数分前まで、“帰らずの領域”と呼ばれていたところだ。
強力な魔法結界が張られ、中には魔物が跋扈し、死者の怨念が渦巻いているという山脈――
……だった。
何度目を擦っても、何度深呼吸を繰り返しても、既にそこには何もない。
結界も魔物も死者の怨念も何もかも――アリエッタがぶっ飛ばしてしまった。
「いやー……綺麗さっぱりなくなったなぁ……!」
数多いる魔法使いたちが束になっても敵わなかった領域だ。
「うん、なるほど。そうきたか。うんうん。よし。」
アリエッタ・トワは間違いなく天才であり、歴史に名を刻む少女であったが――。
「隠蔽しよう!」
世界を揺るがしかねないほどのトラブルメーカーでもあった。
「善は急げだね!」
アリエッタは声を張り上げ、山があった場所へと一目散に向かった。
story2
「あれー? ここどこー?」
アリエッタは周囲をぐるりと見回した。
だいたいの位置は把握しているつもりだったが、見事に迷ってしまったようだ。
「近いと思うんだけどなぁ……?
まあ、いっか。ここに山を作っておけば、しばらくごまかせるよね。」
復元するのは、ひとたび足を踏み入れれば、戻ることのできない危険をはらんだ山脈。
“外見”だけなら容易だ、と思った。
「バレなきゃヘーきヘーき。よぉし、いくぞー!
――っとと。あれ?」
体内にグッと力を込めた瞬間、前方から何かの群れが近づいてくるのが見えた。
「……魔物だ。」
”魔物は帰らずの領域から飛ばされ、元いたところに戻ろうとしているのかもしれない”
彼女は咄嵯にそんなことを考えた。
だとしたら、こんなところに一から山を作るより、連れて行ってもらうのが得策だ。
「おーい! ちょっとちょっとー!」
彼女は両手を大きく振って、魔物を呼び止める。
仲良く……とまでいかなくとも、うまくいけばガイドぐらいはしてもらえるかもしれない。
だが――
「え、ええ? 止まって止まって!」
魔物は、アリエッタを見るなり、まるで押し潰すかのような勢いで突進してきた!
story3
「ふぅ。さ、山に連れて行ってね。」
魔物を大人しくさせたアリエッタは、優しげに微笑みかける。
「大丈夫大丈夫。わたしが山脈を元通りにしてあげるから!
人に危害を加えないって誓える?」
魔物は彼女の言葉を理解しているようで、全身を使って喜びを表現している。
だがこの魔物は知らない。
眼前に立つ魔法使いが、帰らずの領域――魔物が跋扈する山脈を消し去ったということを。
だから魔物は素直に問いかけに答えていく。“いい人間もいるんだ”と思っていることだろう。
「ふむふむ、山にさえ来なければ、人に攻撃することはないって?
そういうことなら、次は二度と人が入って来られないように、もっと強力な結界を張ろう。」
アリエッタが、満面の笑みを浮かべた。
魔物の棲家を復元するなど、正気の沙汰ではない。
しかし、アリエッタに道理は通用しない。
あらゆる魔法使いも、どれほど強力な魔物も、彼女を縛りつけることはできなかった。
「……そういえば。」
ふとアリエッタは足を止め、山があった方角に目を向けた。
“どうして自分は山なんか吹き飛ばしたんだっけ?”
「……まあ、いっか。」
アリエッタ・トワは、超天才である。
世界中の人間がアリエッタという少女に憧憬を抱いている。
――と、同時に。
人間災害と呼ばれ、恐れおののかれていることを、彼女は知る由もない。