【白猫】イルマ・思い出
びっくりサーカス軟体少女 イルマ・コールドウェル cv.中村温姫 とあるサーカス団の芸人。 得意技は軟体と空中演技。 |
フォースター☆プロジェクト21st
思い出1
アラ?たこつぼじゃない。どこからきたのかしら?
このあいだ島に寄ったときかな?……たこつぼにしては、ちょっと大きいね。
そうね。アタシ一匹すっぽり入るサイズだわ。別荘にしようかしら?
え!?それは……!?
じゃーん!スプラーッシュ!
<小さなたこつぼの中から女の子が飛び出した!?>
アレーッ!?どういうこと!アンタ、小さくなってこの中に入ってたの!?
ノンノン♪この体のままでだよ♪
アンタの身長じゃ入りっこないわ!
それが入っちゃうんだな~♪あたし、軟体が得意なんだ!軽業師だからね♪
かるわざし?
申し遅れました。あたしはイルマ!とあるサーカス団の芸人だよ♪
さーかすのひとだ!
そう♪驚いた?
おどろいたわ!ひとがそんな小さなツボに入ってしまうなんてね!
ふふふ♪不可能そうなことをやっちゃうのがサーカスだからね♪
もう一度、今度はそのツボに入っていくところを見せてくれないかしら?
いいよー♪
<なんと!イルマは肩をぐにゃ~とさせるt、スルスルとたこつぼに入っていく!>
ほげーっ!キモチワルイわー!
(キャトラ、やってもらっておいてそれは……!)
びっくりしたー?
そりゃもう!たこつぼ、転がしてもいい!?
キャトラ!?
やってごら~ん?
後悔させてあげるわ!
ぎにゃにゃにゃにゃー!
<イルマの入ったたこつぼを転がしながら、キャトラが駆けまわる!>
はぁ……はぁ……!つい、我を忘れてしまったわ……
ふふーん、どう?目が回っちゃったでしょ?
ダメだよキャトラ、そんなことしちゃ……
ううん、いいのよ♪……うふふふふ……!
スプラーッシュ!!
レ!?平気なの!?
平気平気~♪サーカスでも、よくちっちゃい子に転がされたりするんだよねー♪
ムムムムム……!
?
すっご~~~い!
思い出2
イルマのいるサーカス団ってどんなとこなの?
とってもとっても楽しいところだよ♪がんばりやのちっちゃなピエロがいたり、グレイルジャガーがいたり♪
グレイルジャガー!?危なくない!?
だいじょーぶ♪ポテトはとってもいい子だからね♪
ポテト……!
サーカス団のみんなとは、色んなところに行ったな~♪
見渡す限りの砂漠の島や、優雅な水の都の島、テーマパークの島でもサーカスショーをしたんだよ♪
イルマさんのサーカス団は、世界中で人気なんですね♪
えヘヘ、そう……かな?そんな風に言ってくれて嬉しいよありがとね♪
それでイルマって、たこつぼに入る以外にもなにかできるの?
ふっふ~ん♪もちろん♪あたしの特技は軟体だけじゃなくてね~♪
<突如、イルマの頭上から真っ青な二本の布が垂れてきた!?>
バランスを活かした空中演技――エアリアルも得意なんだ♪
<イルマはその二本の布にぶら下がった!するすると登っていく!
さらにその布が吊り上げられる!イルマも一緒に浮かんでいく!>
ほほー!
いっくよ~?
<イルマは二本の布に体を巻きつかせ、体を地面と平行、真横にしてキープした!>
ハ~イ♪
<そしてそのまま、クルクル回る!>
うひゃ~♪
<速度に強弱をつけ、手を伸ばし、足を広げ――>
やるやるぅ~♪これぞサーカスってカンジね~♪
<――様々な回転を披露し、イルマは地上へと降りてきた。>
はい♪
いや~、たいしたもんだわ!サーカスのひとって、にんげんとは思えない動きをするわよね~♪
ふふふ♪訓練すれば、こういうことができるようになるんだよ♪
いやいや、アタシにはとてもじゃないけど無理よ。観る側でいいわ。
ねえイルマ、また見せてよ!今度は別のやつを!
うん♪いいよ♪
(いきなり空中から布が降りてきたことにはツッコまないのね……
まあ……サーカスの人だもの、ね……!)
思い出3
そーいえば、最初に聞かなきゃいけなかったと思うんだけど。
なーにー?
アンタってなんなの?
(ざっくり……!)
サカナ?
(魚って……!)
イルカは魚じゃないんだよ~♪
ええ知つてるわ。でもアンタは、サカナ?
それともイルカ?
ううん、違うよ。ほら、耳を見て?ちや~んと人間でしょ?
ホホウ、耳でイルカとひとを見分けるのね。初めて知ったわ。
本当にそうなんだってさ~……
?
あたしのご先祖様にはね、人魚がいたんだって。
人魚……?
あはは、嘘っぽいよね。人魚が本当にいるだなんて、聞いたこともないし。
どこかにはいるかもしれないわ?
いないってことはないんだろうね。あたし、家族の中で一人だけ、こんななんだ。
先祖返り、っていうんだろうね。
家族で一人だけ……?アンタ、平気だったの……?
う~ん……平気、だった!辛くなる前に、飛び出して!サーカス団に入ったから!
イルマさん……
ホントだよ~?
あたしね、すごくちっちゃな時に、イルカさんのショーを観たことがあるの。
イルカのショー?
みんなで一斉にジャンプしたり。フラフープを回したり、ボールをキャッチしたり、すっごく感動したんだ……
そのときに思ったの。いつか、イルカさんと一緒に泳ぎたいなぁ、って……
だからね。物心ついて、自分に人魚の血があらわれたとき、逆に嬉しかったんだ。
これで夢に近づけるかもって。
そうだったのね……
で、アンタはサーカスに入ったんだし、夢が叶う日も近そうじゃない?
…………
イルマさん……?
…………
どうしたのよ?サーカスなら動物の曲芸もやるわよね?あ、海の生き物は違うの?
……あたし、泳げないの。
…………
……練習はした?
しようとは思ってるんだけど……
しなさい。
苦手なんだよね……
アンタの夢のためでしょ!
はぁ~~~い……
思い出4
……ほっ……はっ……!
イルマさんが、芸の練習をしているわね。
あの子、体がくにゃくにゃよねえ。なに食べて育ってきたのかしら……
ご覧いただきましたのは、世にも奇妙な軟体女でございました。では、次が最後の演目でございます。
独り言だわ?
サーカスの司会のしゃべりを練習してるんじゃないかな?
スプラーッシュ!これなるフラフープにご注目くださいませ!
おっ!フラフープね!アレで何をやるのかしら?
まさか回したり、それともくぐったり!?
(キャトラ……独り言、多くない……?)
これを今から、空へ――投げる!
<高々と放り投げられたフラフープが放物線の頂点で、太陽を照り返し、キラリと光る!
そして――みるみるうちに、落下!>
おおお!?
ハイッ!
<振ってきたフラフープは、直立したイルマに触れずにストーンと落ちた!>
ありがとうございましたー!
えー?なによいまのはー?
あ、みんな。見てくれてたの?
ねー、もっとすごいのやってよー?
これでおしまいだよー。いまのフラフープが最後のプログラムだからね。
なによそれ……盛り上がりに欠けるわねぇ……
アンタだったら軟体とか、こないだのエアリアルとか、もっと華のある番組が出来るでしょうに……
ば、ばんぐみ?
ただの専門用語よ、気にしないで。
(するわよ……!)
だけど……最後はフラフープでシメたいから……
どーしてよ?トリネタはもっと派手にしないと、お客さんどっちらけちゃうわよ?
(また……当然のように……)
……言ってることはわかるんだけどね。これは、あたしの願いでもあるの。
願い?
あの日見たイルカさんと同じように、フラフープで観客を感動させたいんだ。
ふぅ~む……悪いこころざしではないけれども……
わかってくれた?
でも、それならなおさら水泳の練習をしないとね。
えっ!?
苦手なものの克服を先送りにしてたら、人間、進歩がないわよ?
さあいきましょう。キャトラコーチがビシバシしごいてやるわ。
…………
……今日ちょっと、熱っぽくて……
ウソおっしゃい。
う、うぇ~……
思い出5
まったく。イルマには呆れたもんだわ。
たしかにイルマの軟体やエアリアルは見事よ。そこを伸ばしていけば、十分素晴らしい見世物になるでしょう。
だけど、自分が本当にやりたいことがあるんなら、それへの努力を怠っちゃダメ。
そんなんじゃ夢を語る資格なんてないわ。
…………
あっ!?い、イルマさん……!
……気にしないで。キャトラの言う通りだから。
…………
イルマさん……?
アタシ、どーしても腑に落ちないのよ。
ご先祖さまに人魚がいたっていうアンタが……カナヅチだなんて、そんなことがあるのかしら?
そそういえば……?
……バレちゃったね……
……あたしはね。『泳げない』かもわからないの。『一度も泳いだことがない』から。
……どうしてですか?
怖いんだ……
怖い……?
あたしさ、運が良かったんだ。たまたま体が柔らかくて、バランス感覚もあって……
サーカスに、初めて出演したときから、お客様に大ウケしたの。
もちろん練習もしてたけど……あたしは、サーカスで失敗したり、白けたことがまだ一度もなくて……
…………
だから……なんか、怖くてさ。
まわりのみんなはさ、あたしが当然、水泳もすごいんだろうって思ってる。
その期待に応えられなかったらさ、どうなっちゃうんだろうって……
……それでさ、もうちょっと、自分に自信がつくまで、水泳はやめておこうって思ってて……
イルマ。アンタには二点、間違いがあるわ。
え!?
これからそれを指摘するわ!
う、うん……!
飛行島!高度を下げて!海面スレスレまで!
きゃ、キャトラ……?
主人公は、例のヤツの用意!
!
思い出6
このあったかい光は……?
よしイルマ!覚悟はいいわね!?
なんの覚悟?
この覚悟よ!
ぎにゃー!
わ、わわわ~!?!?
キャトラは千尋の谷へ、我が子以外でも追い落とすのね……!
…………!
<海中に落ちる直前、イルマは本能的に目一杯息を吸っていた。
サーカスで鍛えていたからか、人魚の血か、その両方か……>
(……全然、平気だ…………まだまだ苦しくない……)
<頭に冷静さが戻ってきたイルマは、ゆっくりと手足を動かす。>
(うん……泳げる……ね……
なんだ……
出来ちゃうじゃん……!
あれは……!)
…………
……
――ぷはっ!
おかえりなさい、イルマ。どうだったかしら?
ねえねえ聞いてよ!イルカさんがいたの!
ふふ、そう。
でも、全然追いつけなくて、どんどん遠くへいっちゃって……
あら、残念ね。せっかくだったのにね。
……練習しなきゃ。水泳。
イルカさんと一緒に楽しく泳ぐにはもっと上達しなきゃ……!
それでよかったのよ。
え?
アンタが楽しければ、それでいいの。
アンタの泳ぎは、だれかに見せるためのものじゃないわ。自分の夢を叶えるためのものでしょ。
……うん……そうだよね……自分だけのために、イルカさんと泳ぐんだもんね……
だから、そこそこでいいのよ。プレッシャーを感じる必要はないわ。
……あたし、ちょつと天狗になってたのかも。
イルカなのに?
自分のやることは全て、ショーにならないとダメだと思ってた……
でも、そんなことないんだよね……
…………
(キャトラ……!ちょっとスルーされたからって……!)
ありがとね、キャトラコーチ。あたしの余計なプライドを、砕いてくれて。
……もう一つ砕くわ。
え!?
アンタね、白けたこととがー度もないって言ってたけど……
フラフープは白けてたわよ。
あっはは~♪またまた~♪もう大丈夫だって、ちゃんと水泳の練習するから~♪
イヤ、ホントだから!
またまた~♪
イルカを夢見るサーカス少女 イルマ・コールドウェル
その他