【白猫】求人勇者 Story0
開催日:2019/00/00 |
目次
主な登場人物
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――冒険家、と、ひとくちに呼ばれても、その業務は多岐にわたる。
前線に立ち、魔獣を討伐するもの。
専門技能や知識に長け、調査や罠解除などに従事する者。
あるいは……
「……暁闇の魔王、オスクロルよ。」
「……はっ。」
「島中にはびこるは数多の魔獣。人々に絶望を抱かせ、難攻不落の居城は、何人足りとも侵入を許さぬという。」
「…………」
「それは、真か。」
「恐れながら。」
「……今期、一人も?」
「…………」
「……良くないねぇ~……」
「面目次第もごさいません……
……理事……」
「……この業界はね、入れ替わりが少ないんです。
今期一人もってのはね……せめて、勇者の二人や三人、輩出してくれないことには……魔王やってる意味かないでしょ?」
「……すみません……」
――その一帯は、世界でも有数の平穏な海域、通称<旅立ちの海>――
今、生きとし生ける者たちを脅かす<闇>の勢力――
それに対抗すべく、冒険者ギルドは、土着の魔王たちと結託。
彼らに――<勇者の育成>を発注しているのであった――
「いいですか。あなたも聞き及んでいるでしょう、昨今の<闇>の台頭は。」
「……はい。」
「このままいけば、先祖代々受け継いできた、私たちの縄張りが侵されるのも明白、時問の問題なんです。
いまどき世界征服もないでしょう?食べていくには、冒険家ギルドと手を取り合うしかないんです。
なのに、『今年は勇者がいませんでした』では、あなたの島だけじゃない。海域全体の評判か落ちるんです。
そこのところ、もっと危機意識を持って業務に励んでもらわないと。」
「困りますよ、オスクロル閣下。うちの鳥では三十名の勇者を世に送り出したのに……」
「理事、評価体系に問題があるのでは?島ごとに見てもらわなければ、真面目な魔王が損をする。」
「冒険家ギルドに提案しておきましょう。しかし、早くても来期からでしょう。
ですから、オスクロル閣下。あなたには、何としてでも勇者を育てて頂きたいんです。
この際、一人でもいい。ゼロよりは百倍マシです。」
「……わかりました。やってみます。」
「やってみます?じゃないでしょう。たった一人で手を打とうって言っているんですよ?」
「……御恩情、重々承知しております。
この暁闇の魔王オスクロルの名にかけて、必ずや、勇者を輩出いたしますので、何卒ご容赦を……!」
「私たちはいいんです。私たちは。ただ、ギルドの評価はもっとクールですので。」
「うぅっ……」
「普通の勇者くらいじゃ、来期はどうなってるかわかりませんからね。
前もってお伝えしましたよ?」
「はい……わかりました……」
――そこは<旅立ちの海>――
魔王たちが縁側でお茶を飲む、この世で最も危険から遠い地域――
業績不振魔王オスクロルに、未来はあるのか――
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最終話
その他
相関図