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【アナデン】ビヴェット Story

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん
アナザーエデン・サブストーリー 「ビヴェット」
古き力を受け継ぐ大魔法使いのタマゴ。その魔力は現代に残った精霊の力を引き出すことができるがまわりの人にはちょっと変わった女の子くらいにしか思われてない。飼い猫のルミロは大切な相棒。


「……な~ご!」

「どうしたのルミロ?」

「お腹でもすいたんじゃないか? おねだりしてるぞ。」

「ああ、そろそろご飯の時開かあ。」


「………ビヴェットちゃん!

大変なのよビヴェットちゃん! お願い! 助けて!」

「お、落ち着いてお婆ちゃん! はい、しんこきゅー! すーはーすーはーっ!」

「……すぅーふぅー。ご、ごめんなさい。私ったら取り乱しちゃって……。」


「あのねアルド。このお婆ちゃんボクのネコ友達なんだ。」

「ね、ネコ友達……?」


「……ちょっと待って! 落ち着いてる場合じゃなかったのよ!

私の可愛い猫のチビちゃんが誘拐されちゃったの!」

「ええっ!?」

「あのね。二日前からチビちゃんが家に帰ってこなくなったのよ。

そしたら今朝こんな手紙が家に投げ入れられて!」

「これって……も、もしかして脅迫状?」

「『あんたの猫は預かった。無事に返してはしければ紅水晶を持ってヌアル平原に来い』

もしも下手なマネをしたら猫の命は保障しない』……か。」

「許せない!可愛いネコちゃんにこんなひどいことするなんて!」

「シャーッ!!」

「ねっルミロ! ルミロも怒ってるよね!チビちゃん大切な友達だもん。

よーし! こうなったらヌアル平原に行かなきゃ!」

「待てよビヴェット。気持ちはわかるけどうかつに手を出すとチビちゃんがあぶない!」

「うっ……そ、そうだね。でもそれじゃあどうすれば……。」

「交渉するために……身代金の紅水晶を持っていこう。」

「うん……だけどアルド。紅水晶ってとんでもない高級品だよ?」

「わ、私もそんな高級品なんてとてもじゃないけど……

そ、そうだわ! 紅水晶ならときどき月影の森で見つかるらしいの!」

「わかった。月影の森に行こう。運が良ければ紅水晶が手に入る……!」

「うん!待っててねお婆ちゃん!チビちゃんはぜったい取り戻すから!」

「な~~ごっ!」


 ***


「見てアルド!」

「紅水晶か! やったな! お手柄だぞルミロ!」

「にゃ~~!」

「今度はチビちゃんの救出だよ! ヌアル平原に行かなきゃ!」

「だが気をつけないと。身代金だけ盗られるなんてことになったら……。」

「そ、そうだよね……!

……いいこと思いついちゃった! さ~て紅水晶を取り出しまして……

これでよしっと! ぐふふっ! さすがボクだね!」

「ええっと……何をしたんだ?」

「えヘヘ! それは後でのお楽しみ!

さあそんなことよりヌアル平原に向かわないと!」

「にゃあっ!」


***


「……おい! そこで止まれ!」

「あっ! チビちゃん!」

「にゃあ! にゃあ!」

「……にゃ~ん……!」

「この猫を知ってるってことはあのババアの知り合いか?

おい! ババアはどうした!」

「ボクはお婆ちゃんの友達だ!代わりにチビちゃんを助けにきたんだぞ!」

「はっ! ご苦労なこった! 早いとこ出すもの出しな! こいつが大事ならなクククッ!」

「くっ! こ……この卑怯者! ネコちゃんいじめるなんてサイテーなんだよ!」

「はっはっは! なんとでも言え! さあさっさと観念しておとなしく紅水晶をこっちに渡しな!」

「……仕方ない。ビヴェット紅水晶を。」

「むぐぐ……あとで覚えておきなよ!」

「はははっ! やった! やったぞ! こいつはスゲエ! かなりの上物だぜ!」

「ちょっと! 紅水晶はあげたでしょ! 早くチビちゃん返して!」

「へへっ悪いがそうはいかねえな。どうやらあのババアからこのネコでもっと金を絞れそうだ!」

「ああーっ! 逃げたーっ! こらー! 待てーーーいっ!!」

「あっ! 待てビヴェット! ひとりで勝手に行くな!」


 ***


「あれいないよ? 誘拐犯は? 見失っちゃった!?」

「……ははっ! まんまとワナにハマったな! そのまま食われちまえ!」

「くそっ! どうやら最初からだます気だったらしい!

「うーっもうホントに怒った! あとで泣いて謝ったって許してあげないんだからねー!」


 ***


「ひえー! ゆ、許してくれ! ほんの出来心だったんだ! 勘弁してくれ!

……てかあんたらスゲエ強いんだな。どうだい? 俺と組まねえか? この紅水晶の分け前もはずむからよ!」


「……ダメだなこいつ。まったく反省してないぞ。どうするビヴェット?」

「……とにかくチビちゃんを返して。」

「わ、わかった……!」

「その水晶はあげるから。だけどもう二度とこんなことしちゃダメだよ?」

「お、おい!ビヴェット!」

「ほ、本当か! た、助かったぜ! ありがとよお嬢ちゃん! そんじゃあばよーっ!」


「……意外だな。あんなに怒ってたのにあっさり許しちゃうなんて。」

「いいんだよ。無事にチビちゃんも帰ってきたんだし。ねー? ルミロ?」

「なーご」

「それに……ふふっ! 悪い子にはちゃんと天罰が下るんだよ?」


「ぎゃーーっ! 魔物がぁーーっ! な、なんなんだこいつら! こっちに来るなあーーーーっ!!」


「な、なんだ!? 今のってさっきの男の声?」

「えヘヘ! 実はね。あの水晶に魔物を呼び寄せる魔法をかけておいたんだー!

あの水晶を捨てないかぎりどこまでも魔物に追い回されるの!」

「ああ、そうだったのか……やるなビヴェット!」

「あはっ!これであの人も少しはこりてくれるでしょ。

よし! じゃあお婆ちゃんのとこ行こ!

早く元気なチビちゃんに会わせて安心させてあげよう!


「ひいーーっ!助けてくれーっ!もう悪さはしねぇからぁああーーっ!!」


 ***


「……ああっチビちゃん! 無事に帰ってきたんだね!

「にゃ~~ん!」

「ふふっ! よかったねお婆ちゃん。チビちゃんも喜んでるよ。」

「本当にありがとうビヴェットちゃん。なんて感謝したらいいか。」

「あはっ!水臭いよお婆ちゃん。ボクたち友達だもん。困ったときはお互い様だよ。」

「……本当にありがとうね。この子の無事な姿が見られてホッとしたわ。」

「えヘヘっ! どーいたしまして!

無事に再会できてよかったあ。やっぱり飼い主さんと離ればなれはネコちゃんもさみしいもんね。

ね? アルドもそう思うでしょ?」

「ああ、そうだな。長く飼ってるとペットというより家族みたいになるし。」

「うんうんだよね!ボクとルミロは相棒だけど!」

「にゃあっ!」

「犯人も痛い目に合わせたしめでたしめでたし!」







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