【白猫】カレン・思い出
高貴なる魔道騎士 カレン・ガランド cv.瀬戸麻沙 己の甘さを断ち切りたいと願う騎士。 古の魔道を駆り、正義を執行する。 | ||
2016/07/15 |
ソウルオブナイツ Story
思い出1
聖地ディルムンで起こった、世界各国を巻き込んだ戦乱――
それは一時の終息を見、主人公たちも本拠地である飛行島へと帰還していた。
そして、高貴なる声音が飛行島に響きわたる。
剣誓騎士団副長、カレン・ガランド。参上いたしました。
女王様だわ……!
ちがうわキャトラ。お姫様よ。
私は姫ではありません、アイリス様。こう見えて騎士です。
ディーンのお父さんがやってた騎士団にいるのよね?
その通りです。
騎士を名乗るには、おこがましさ若輩ではありますが、何卒よしなにお願い致します。
かしこまらなくておっけーよ。
それは助かるな。
騎士団を離れて大丈夫なの?
世界の安定と秩序を守るのが我ら剣誓騎士団。
居城にこもってばかりではな。
そういえばカレン、征討軍はどうしたの?
征討軍は現在、ヘクトル王の下改革が進んでいるところだ。
あれだけのことをしときながら……
闇の討伐軍という器は壊すべきではない。
もちろん関係者の罪は裁くとも。そのためにも器があったほうがいい。
ぞくっ……コワッ! いまちょっと悪い顔したわね!
そうだったか……?
ともかく問題は征討軍にとどまらないということだ。
完璧な世界など望むべくもない。だか連邦には問題が多すぎるからな。
帝国の人と仲良くはできないの?
国と国との溝は、それほど簡単に埋まるものではないさ。
ましてや帝国だ……我ら連邦の民にとって、帝国はもっとも近くて遠い理解しがたい国。
理解できないって……半獣さんや獣人さんか、中心になってる国だから?
いや、もっと根本的な理由だ。あの戦いのあと、帝国はカイデン卿に勲章を贈った。
エッ、どういうこと……?
せいとーぐんって、帝国とけんかしてたのよね?
『カイデン卿の比類なき武勲をここに称えん。
汝の戦は、皇帝の無聊を慰めたり』
――皇帝の言葉だそうだ。
ムズカシイことばすぎてわかんない!
面白かった。くらいの意味だ。
オモシロカッタ……!?
我ら連邦は、帝国にとって敵ですらないのだ。
未だ国土を拡大し続ける、得体の知れぬ巨大な怪物。
そんなところかな……
ただ今回のことで理解した。
帝国が敵と認識したものか、どのようなことになるかをな。
カレンさん、今お茶をいれますね。
お話が難しくなってきたしね。おやつたべてまぎらわさなきゃ。
おやつか……
スコーンですよ!
……おやつは……むう。この場合は、いいか……?
思い出2
カレンが、魔術の鍛錬をしている。
<三位一体なる夜天の女王。我、三叉路の起点にて、汝を待ちいたり>
カレンの体を、ソウルの光が優しく取り巻いた――
<上限の月、全き月、下限の月。黒き賛を用い我は願う>!
まほーだわね!!
正確には魔術といったところか。
ルーンを使わず、意志の力でソウルに<概念>を与える。
ルーンをつかわないで、こんじょーでどうにかしてるのね。
そんなところかな?
剣誓騎士団のものが身につける<神気道>と似たものがあるな。
ソウルを操って戦う武術、なんですよね。
神気道は己の内なるソウルを、魔術は自然のソウルを操るものといわれるな。
ふむふむ。まじゅつの方が何か効率よさそう。
自然のソウルは無限だが、手順を踏まないと使えない。
神気道は自分のソウルを使う。肉体の限界はあるが、ある程度自由に使える。
ところでさっきの、なんのまじゅつ?
己の魔力を高める魔術だ。分類的には白魔術といったところかな?
もっと面白いのないの?
すまない、あまり面白いものは無くてな……
<謎の黒い騎士が、カレンにタオルを渡した!?>
ありがとう、ファフナー。
(面白いのきた!)
こちらの方は……?
私と契約した<影の精霊>、ファフナーだ。
<ファフナーは会釈した。>
何か芸はできないのっ!?
<ファフナーの手の中に、薔薇の花が現れた!>
お花を出せるんですか! すてきです!
でも、においがないわね?
その通り、これは幻の花だ。本当にあった薔薇の花の<影>だ。
ふーん。すてきね!
カレン、お花が好きだから、ファフナーと契約したの?
目的に最も適していたからだ。
目的……?
裁きを下すのだ――
思い出3
<カレンは、絵筆を手にしていた。
イーゼルにキャンバスをかかげ、手にしたパレットの上で絵具を混ぜる。>
ふむ……ふむ。
やっほーカレンたん! ソフィたんとあそびにきたお!
ごきげんよう、カレン様。
これはソフィ様、メグ殿。
かたくるしいおー。
すまんな、メグ、ソフィ。
気のおけない会話というのも、なかなか難しいものだな?
カレンたん、絵を描いてるお!
素敵ですね!
ああ、ちょっと息抜きにな。
<二人はキャンバスをのぞきこんだ。>
(いったいこれなんだお……?)
(いったいなんでしょう……)
(二人が黙ってしまった……?)
(どういえばいいんだお。もしかしてこれが芸術なのかお?)
(食べかけのパスタでしょうか?)
あら、お絵かきしてるのね。これ何の絵?
飛行島の風景だ。
(そうだったお!?)
(まあ! 印象画ですね!)
アンタヘたっぴね!
……ぬ! ……むう……
そうか……端的にいうとそうか。
こせいてきだお!
芸術的です!
上手くないのはわかっている。私の一族は、この方面に疎くてな。
カレンたんの家族って、ガランド王家の人たちだお?
カレン様は確か、ガランド王国の女王様の従妹でいらっしゃるとか。
そうだ。父は先王の弟でな。女王と継承権争いでもめたが、最終的には手を組んだ。
ださんてきだわねぇ~。
よくあることだ。同盟も裏切りも、紙一重といったところかな。
話がむずかしくなったので、恒例のおやつにするおー!
いいわね~!
キャロットケーキをつくってきたお~!
私はクリームと牛乳をもってまいりました!アイスクリームをお作りしますね!
おやつは……いや、たまにはご厚意に甘えよう。
思い出4
<ファフナーが、あたりを掃除している!>
…………
ありがと! 気が利くわね!
ファフナーは私と違って、良く気がつくんだ。
アタシおもったんだけど、カレンってお部屋を片付けるのが得意じゃない感じ!?
そうだろうか? ちらかった部屋はあまり好きではないので、すぐ片づけてしまうが。
あれ? 部屋をちらかしちゃうからファフナーと契約したと思ったのに。
そうではない。
犯人捜しのため、か?
あら、ディーンじゃない。
その通りだ。
穏やかじゃないわね……この話やめよっか。
愉決な話ではない。だが、君たちには聞いて欲しい。
なんたって、仲間だもんね!
ありがとう……まだ私が、小さな子供だったころの話だ。
私は……ディーンのいるローエングリン城で過ごしたことがあった。
じゃ、二人は幼馴染だったの?
そういうことになるな。
その城で私は、ディーンのお母様、セリア様と出会った。
セリア様は、とても優しい方だった。
私は生まれて初めて、人に甘えることを覚えた。
お父さんとお母さんに甘えなかったの?
父と母は公務に多忙だったからな。
それに父の言いつけで、乳母や教育係も甘えさせてはくれなかった。
そうだったんですね……
だが、私のその甘えが原因で、セリア様は……殺された。
どうして、そんな……
セリア様のお父上は、ガランド家によって、汚名を被らされた人物だ。
俺の母方の爺さんだよ。あの国じゃ、いまでも恨まれてる。
国を私物化して、私腹をこやした男ってな。
だが真実は違う。彼は私財を投じてまで国を救おうとした清廉潔白な人物だ。
だがガランド家は――民衆の不満を全て彼に押しつけた。
先王の死後、セリア様のご一族は、大変な不幸を背負わされた……
それじゃあ、ディーンさんのお母さんは……
爺さんを恨んでいる人に、殺された……ってことだよな。
それと、私にだ。
どういうこと……!
ローエングリン城の近くには……白鳥の舞い降りる、美しい湖がある。
年に一度だけ、湖の周りには純白の花畑ができるんだ。
私は……その花を、セリア様と一緒に見たくて……!
セリア・バルトの死因は、心臓を貫いた矢によるものだった。
花畑にはその日、カレンとセリア以外にも何人か人がいた。
だが、矢を撃ったものを見た者は誰一人いなかった。
思い出5
カレンは、白い花が咲き乱れる湖のほとりにいた。
セリアが事切れたその場所で、カレンは静かに祈りを捧げる。
「私には、悲しむ資格さえないのだ。全てを明らかにするまでは――」
カレンは目の前の森を見る。
「――弩が射られたのは、あの森からで間違いない。」
問題はその距離である。
かなりの遠間なのだ。達人でも命中は難しいだろう。
さらに当日、湖の周りには花を見に来た近隣の村の者達がいたはずであった。
彼らは不審な人物を見なかったと証言している。
「<目標を撃ち抜く>、<姿を隠す>。
ルーンがあれば不可能ではない。」
このようなルーンの入手経路は限られる。
しかしルーンから犯人を特定することはできなかった。
「だが、ルーンを使わない、魔術の使い手ならば……」
姉、ミューレアは年若くして魔術の天才と呼ばれていた。
「あの日、私が湖に行くと知っていたのは、城内でも限られた人間だけだ。
お姉様――この湖のことを私に教えてくれたのは……あなただった。」
事件の数日前まで、ミューレアはローエングリン城に滞在していたのである。
ミューレアはその後、スキエンティアの魔法学園に帰ったはずであった。
『…………』
現れたファフナーは、兵士の姿に変身する。
聖地での戦いでファフナーが目の当たりにした光景である。
「この魔術を使って、お姉様は聖地を脱出した。あのときも……」
ミューレアは、人間の心を操る暗示の魔術を使うことができた。
思い出6 (友情覚醒)
なんと……暖かな光だ。
これがルーンの輝きなのか。
ずっと誰かに甘えたかった――
でも、私が甘えたから、あなたは……!
それは違います、カレンさん。
アンタ、小さかったんでしょ……!
誰かに甘えたいなんて、当然じゃない!
……私はガランド王家の者だ。
誰かに甘える弱さなど、もってはいけない。
そんなの、自分を責めてるだけでしょ。
自分を――責める――?
……君は、それを 私に。
そうだな――私は、自分に甘えていたのだな。
弱い自分を貴め続けて、私はそれだけで満足していた。
それもまた甘えというものだ。己の弱さへの甘えだ!
あのー。
どうしたのだキャトラくん。その怪訪な顔は。
アンタがそーならいいけど! でもね! これだけはいっとくわ!
ふむ。聞くぞ。
アンタ、ちょっとは人に甘えることを覚えなさいよ!
甘えることを? 私が?
そうしないとペシャってなっちゃうわよ。ペシャって。
私はいつも、周りに甘えてばかりだ……
今日もこうして、君たちの世話になってしまった。
ありがとう、主人公。
もっと甘えてください。カレンさん。
これ以上君たちに?
そうよ~。アタシがお手本みせたげるわ!
キャトラくんは甘え上手だな……
アタシ子猫だもの!
私も子供のころは、もう少しうまく甘えられたと思うのだがな。
ああ、そうか――
私はセリア様に、甘え方を教わったのだな――
…………
……
<剣の国>ローエングリン城。
カレンは、剣誓騎士団の騎士たちを前に、号令する。
「我らは白き光の名の下に、闇を討つ。討伐隊前へ!
汝らの命、このカレン・カラントが預かる!」
剣誓騎士団副長カレン・ガランド。
掲げるは剣にあらず。駆るは騎馬にあらず。
その手に握る魔杖もて、古の秘術を駆る。
悪しき者たちは知るであろう。
「剣を掲げよ! 騎士の誓いをここに!」
高貴なる騎士が、甘くはないということを――
誇りを抱く者
その他