茶熊学園2018 Story3
第16章 昨日までそして今日から
変わる日常
「k貴様ら、なにをしている!もっと距離をあけんか!
それから、一緒に下校するのも禁止だ!
「k従え!従わんかっ!
「bくだらん部活は廃止だあっ!
「b壊してくれてありがとうございます、だろうがぁっ!
セイヤ やべえ、見事に赤点だ。……でもま、いっか。
「b赤点を取るとは、この恥さらしが!
「な、なんだ!?
「貴様のようなふぬけにはお仕置きが必要だ!
「ああ!?ふざけんじゃねー!
「こっちへ来いっ!
「やめろっ!包帯を引っ張るなっ!封印が解かれちまうぞ……!
……ねえジュダに-に。あのせんせいのいうこと、きかなきゃだめなの……?
俺だけじゃねえ。誰ひとりだ!いいな!
「「「ディラーーーーーーーーーーーン!」」」
アレス家長男、染まる
<ディランは大げさに首をすくめてみせた。>
3素晴らしい。
ディラン君。あなたに私の個人授業を受ける権利を与えましょう。
3みなさんもいかがですか?私の方針に従うのであればですが。
3カズノコ組もイクラ組もタラコ組もカラスミ組も、問題児ばかりですね。
3なに一つ校則を守らず、教師陣にも従わない。
3いいんですか?カムイさんがひどい目にあっても。
3言い忘れていましたが、校則違反で罰を受けるのはあなた方ではありません。彼です。
3生徒の罪は教師の罪ですから。
3あなた方のためなんですよ?わかってほしいですね。
それから、万が一にも、カムイさんを助けようなどとは思わないでください。
もし助けようとした場合は、そっこく彼の共犯者とみなし、冒険家ギルドに報告します。
3その場合、冒険家としての未来はまずなくなってしまうでしょうね。
3では、引き続き自習をどうぞ。
カムイの背中
……でも、気づかなかっただけでやっちまってるかもしれませんね。
なんかこう、適当にチョチョイってやったらヤバいアレになったみたいな可能性がなきにしもあらずですねえテヘッ!
……みなさんに、校則のことは気にしないようにとお伝えください。
限界
「bおい。廊下で教師とすれ違ったら、道をゆずって挨拶せんか。
「ああ?
「ふん。
ティナとアイシャ …………
「k黙れ!
ティナ どうしたんですか!?
ヨシュ この人が、演劇部の活動を制限するっていうんです!
ティナ ……どういうことですか?
「今後、演劇部が上演する台本はすべてこちらが選定する。オリジナルは一切許可しない。
我々の意図しない演出も禁止だ。仮にあった場合は、本番前日だろうが変更してもらう。
ヨシュ お芝居を、なんだと思っているんですか!
「……おい、いいのか?
ティナ ヨシュアくん、ミレイユちゃん。……いう通りにして。
……お願い。
ヨシュ ……わかり、ました……
「それから、その反抗的な餓度を改めてもらおうか。
「
「よーし。
ヨシュ ……くそっ!
ティナ ……もう、限界です。
新学長は冷酷に嗤う
3よろしい。……まったく、君がこんなにおバカだったとは。
私が少しはマシにしてあげますよ。
……それにしても、よく心を入れ替えましたね。正直、意外でしたよ。
ぼくはかつて、祖国を失いました。
3知っていますよ。
ぼくは自分の弱さを痛感しました。……いまもなお、その痛みはぼくを苦しめ続けています。
ぼくの木は、折れかかっていたんです。ですが、手を差しのべ、その木を支えてくれた人がいた。
それがあなたです、先生。あの話を聞いて、ぽぼくは、本当の勇気と覚悟を持てるようになったのです。
3……なるほど。どうやら君も、こちら側の人間のようですね。
3持たざる者。
――
3どうぞ。
ティナ 失礼します。
3なにか用ですか?
「スパルティ先生。もう少し、私たちのことを考えてください。
3生徒会の抗議ですか。聞きましょう。
「教育方針が変わるのは、この際しかたがありません。
ですが、なにもかもがいきなりすぎます。
3私のやり方に文句があると?
「もっと段階的に変えていってほしいと申しあげているんです!
でないと、生徒の不満はたまっていく一方です!
3要望は却下します。
「そんな……!
3現状に不満がありそれに我慢がならないのでしたら、あなたがた生徒の取るべき道は一つです。
荷物をまとめ、この島を出ていきなさい。
「……それが、先生のいう言葉ですか!
3私からは以上です。
「…………
3新入生の再募集はすでに始めています。
ディラン君。本当の改革がはじまるのは、これからなんですよ……
改革の果て
<それから、数日が過ぎた――>
「b貴様ァッ!軽音部は廃止だといったはずだあぁぁ!
オラオラオラオラァーー!
「bぐ……なんという爆音……!
耳が死ぬー!くそお、覚えとけよー!
***
<リアムは、カラスミ組の教室をのぞいた。>
3……この魔術において術者は対象者と疑似的なソウルの交換を行う。以下に示した方程式のうち――
3ではここに入る値を、ルウシェさん、答えてください。
3正解。そして次に――
サンイチは……サン……サンイチがハチ!
……ああ、つまんねえ!なんなんだよクソッタレ!
……つーか、こんな学校、さっさとやめりゃいいんだよな。
…………
……
敗北宣言
<その日の放課後。
生徒全員が、体育館に集まっていた。>
ティナ ……私の話は、以上となります。
シズク ……そうするしか、ないんですよね。
ユキ もとの学園に戻るのなら、残りたいさ。
レイン だったら、とっととやめちまおうぜ。
シャル なー、クマ公は大丈夫なん?
ティナ ……校則違反の罰は、もうなくなると思います。
ティナ 不本意でしょうが、わかってください……
こんなインキくせえトコ、一秒たりともいたくねーよ。
ハルカ ……退学、かあ。なんか、実感がわかないわ。
ヨシュ ……もう、ここでお芝居はできないのか……
「なあ、リアム。俺、あの学校、マジで好きなんだ。一生の思い出だよ。
……だから、頼んだぜ。俺たちの、茶熊学園をよ。」
ティナ では……解散とします。
「……ティナ。
「……アイシャさん。私……くやしいです。
……くやしいです……!
「…………
第17章 世情
伝説の放送
3見てみなさい、ディラン君。この光景を……
メア ……さあ、行きましょう。
ユキ ああ……
3フフフ……計画通りですね。
3君は、これから入学する新入生たちの手本になっておあげなさい。
おや……?
3いえ、そんな指示は出していません。
……誰ですか、流しているのは!
ティナ …………!
”お前ら、ふぬけてんじゃねーぞ!
俺は、学校ってやつが大嫌いだが……
あのクソ野郎は、もっと大嫌いだ!
なあ!おい!このまま引きさがっていいってのかよ!
俺は……俺だけは、最後まで、ぜってえ負けねえからなー!”
「b先生!
3放送室へ向かいます!
「b開けろっ!開けんかぁっ!
「k校歌を流すのをやめろっ!
3かまいません。壊しなさい。
「「はっ!
「b貴様ぁーー!
「k地下牢にブチ込んでやるーー!
うおぉぉぉぉぉーー!
シャル ったく……世話の焼ける後輩だなー……
”拘束魔術を使え!”
”これでどうだぁーー!”
”ぐわーーーーーっ!”
「ああ、ミレイユ!
3連れていきなさい。
ティナ はあ、はあ……リアムさんっ!
<リアムは二人に引きずられ、廊下の向こうへと消えていった……>
3……島を出なさい。一刻も早く!
ティナ ……アイシャさん。お願いがあります。
作戦立案は任せてくれたまえ。
「私はなにをすれば?
それから、ルカを呼んでくれ。
第18章 友よ
逆転
<あくる日――>
3おはよう。生徒たちの動向はいかがですか?
3やはり、昨日の件が効いているようですね。さて、どうするか……
3ほう?
3どこへ行くのです?
3それにしても、君も段々とらしく(・・・)なってきましたね。将来が実に楽しみですよ。
……ディラン君?
<教師陣をへだてて、校門が閉められた――>
3……なにをしているのです?
――スパルティ先生!
3ベン!キョウッ!
茶熊学園を……守ったらーーーーーい!
<キャンパス全体が、ドーム状の透明な幕でおおわれていく――!>
3これは……防御魔法かっ!
「bクソッ!ブチ壊してやる!
3……やめておきなさい。守護天使の防御壁です。私たちでは破れないでしょう。
ディラン君。……やってくれましたね?
ティナ だからこそですよ、アイシャさん。……会長命令です♪
「みなさん、出てきてください。副会長より、お話があります。
<アイシャは、拡声器を手にした――>
第19章 自由への旅
シュプレコール!
なにせ昨日までは、我々は学園の生徒であることをやめ、この学ひ舎から去ろうとしていたのだから。
そう、我々は負けようとしていた。敗北を認め、尻尾を巻いて逃げようとしていた。
だが、一人の男によって、それは間違いであると気づかされた。
誰よりも学校を嫌っていた男は、誰よりも諦めていなかったのだ。
我々の目は――覚めた。
いかなる犠牲を払おうとも、自らの誇りと信念をかけて、下劣なる邪悪をしりぞける。
――我々は、訣して敗北などしない!
「「「ウォォォォォォォッ!
どのような行事を催すべきか、カラスミ組では持ち越されたままになっていたのだ。それをいま、決めようと思う。
みなが参加でさ、かつやりがいがあるもの……私にひとつ、案がある。
――体育祭だ。
ティナ ……うふふ。
戦闘、防衛、監視……種目も豊富にある。
勝利要件はただ一つ。現体制を打倒し、かつての学園を取り戻すこと。
<茶熊闘争祭>。……どうだ、最高に燃えるだろう?
「最高だ!
3……黙って聞いていれば、バカバカしいことを。
いいですか。この瞬間から、君たちの冒険家としての未来は断たれたのです。
損はあっても得はない。まったくもって無意味な行為だ!
学園に関する権限は、すべてこの自治会が有することになるだろう。
「kせ、先生……!
3あなた方をカムイ元学長の共犯者として、ギルドに告発する!
彼が提示した不正の証拠とやらは、すべて彼自身によって偽造されたものである。
このような横暴を、我々は断じて許すわけにはいかない!
3でたらめを……!
この要求がすべて実現するまで、我々は俗悪極まりない現体制に対し、徹底的に抗戦するかまえである!
ティナ さあ、いきますよ、みなさん!
「「「「現学長は辞職せよ!
「「「「スパルティは学園を去れ!
3上等だ……
第20章 明日に向かって
バカが体をはってくれたおかげで、俺の努力もムダにならずにすんだ。
『信用が地に落ちた学校をみごと再生させた敏腕教育者』――そんな触れ込みでな。
……特A級の部隊を呼びよせるぞ。
私も、茶熊学園の一員ですから!
「bしてやられましたな、先生……
「kあいつらに抵抗されると、そうとう厄介ですよ……
3売られたケンカは買うだけです。徹底的に潰しますよ。
鋼の国の傭兵部隊を招集しなさい。カネに糸目はつけなくてよろしい。
「kははっ……!
3それから、万が一のことを考えて、あの三人(・・・・)にも連絡を。
「b承知しました……!
「k(……まさか、あれを使う気か?)
3……いいだろう、茶熊学園生徒諸君……
勝つのは、私だ――!
<茶熊学園をかけた闘争が、いま、幕をあける――!>