茶熊学園2018 Story2
第10章 授業開始!
「「「「おはようございます。」」」」
それではさっそく、授業をはじめたいと思いま~す。
授業を受けるも受けないも、試験に受かるも落ちるも、こいつの自由だ。
そして、その自由に伴う責任も、コイツはきちんと心得てるはずだ。
第11章 お昼どき
…………
……
よければ、いかがですか?
第12章 男
「ジュダ。」
「なんだ。」
「君には驚かされたよ。」
「……?」
「君がクラスに馴染んでいることさ。」
「馴染んでいるように見えるか?」
「私の目からはね。」
「お前こそどうなんだ。てっきり周りとは距離を置くと思っていたが。まさか、副会長になるとはな。」
「他に適任がいないというのだから、しかたないだろう。」
「断ればすむ話だ。」
「……休暇を楽しみはじめているのかもしれんな。」
「フ……」
「……コヨミと園芸部に入ったそうだな。」
「ああ。」
「仲良くしてやれ。」
「ウオォォォーーーン。」
「すでにしている……」
…………
……
「はあ……すっかり遅くなっちゃった。」
「あ、エクセリアさん。こんばんは。」
「オスクロルさん。」
「今まで部活ですか?」
「はい。今日は集中して頑張ろうって、みんなで。」
「私も、先ほどまで走り込みをしていたんです。」
「カグツチ、毎日厳しいでしょう?」
「ええ。でも、熟心に指導してくださいますから。」
「……なるほど。ここが茶熊学園ですか。
島全体をキャンパスにするとは、いいアイデアです。
……ですが、いささか広すぎる。」
(どなたでしょう……?)
(生徒……ではなさそうですね)
「君、どう思います?
「ムダが多すぎるかと。特に設備投資。外から見ただけでも明らかですな。
「確かに、合理的ではありませんね。カネの使い方がまるでわかっていない。
出資した各国の担当者も、教育のキの字も知らない間抜けばかりなのでしょう。
「予算回りについては、学長にも大きな権限があるようです。
「好都合です。メスの入れがいがある。
「……こんばんは。
「部活帰りですか?遅くまで、ご苦労さまです。
「行きましょうか。」
「「はっ!」」
第13章 お客さま
…………
……
ロックフェス、握り飯大会、学園祭、茶熊ガールズコレクション、骨の品評会、お花の鑑賞会、遠足、釣り、相撲、ダンス、合宿、バーベキュー、海水浴、焼きそば。
みんなが参加できて、かつやりがいかあるものがいいな。
――保健室――
6はい、これ問診票。いちおう、記入しておいて。
6メアに頼まれたしね。それに私いま、割とヒマだし。
これでも医術の知識はあるから、わからないことがあったら、どんどん聞いて。
6……あ、そうだ。薬品棚の管理についても教えとかなきゃね――
<ジュダとコヨミは、新しいプランターに入れる土を探していた。>
危ないから、あまり近づくなよ。
「……プー……
「プー……プー……
第14章 激震
緊急全校集会
ヘイヘイヘイパスパスパース!
5はいっ!
5ルカ、トラベリング~。
5でも、ダンクは決められるようになってきたね。
5え?
tあの、なにがあったんでしょうか?
「「「えーーーーーーっ!
エリート教育者
<時は少しさかのぼる――>
3いきなりお邪魔してしまい申し訳ありません。カムイ学長。
教育界のスーパーエリート、パンティ・ラーニング氏ですよ!
3スパルティです。
3それほどでも。
その後は教育者に転身し、優秀学園やハイソサエティ・スクールの理事長、鬼軍曹塾やバッドバッドグッド塾の総塾長など、数々の名門教育機関を設立し、数々の名冒険家を輩出した、エリート中のエリート!
受賞した栄誉ある賞は、枚挙にいとまがありません!
3もしやファンでしたか?よろしければ、サインの一つでもしてさし上げましょう。
はっきりと申し上げますが、私、あなたの教育観には、賛同できかねますので。
3……ほう。
教育というより、支配ではありませんか。
3想像どおりのお方だ、カムイ学長。
あなたは教育というものをまるでわかっていない。
<スパルティは、一枚の紙をテーブルに滑らせた。>
3カムイ学長。あなたを計算書類等虚偽記載とこれに係る脱税及び詐欺により更迭いたします。
3これがその証拠です。
3スパルティです。
3あなたは茶熊学園の経営をまかされていた。それは間違いありませんね?
ですが、その財務状況は思わしくなかったようだ。助成金も打ち切られそうになっていた……
3ですからあなたは決算報告書に手を加え、赤字を黒字に転じさせた……
いじった数字で助け船を請い続け、収めるべき金を宙に浮かし、かすめとったのです。
3あなたは教育者ではない。醜い略奪者だ。
3冒険家ギルド本部の委託状です。すべては私に一任されているのですよ。
3この学園は、今日から私のものです。
3お願いします。
「来い!
やめてーーーーっ!
3ご期待ください、カムイ元学長(・・・)。
茶熊学園は生まれ変わります。生まれ変わらせます。この私が。
3スパル……ええ。
暗雲立ちこめる学園
yそうですよ!カムイ先生が、そんなことするわけありません!
レイン ……んだと?
シャル そーそー。カリスマたかなんだかしんないけど、学校がいきなり変わったりなんてしねーって。
3ここにいますよ。
3いちど会わせておこうと思いましてね。
初めまして、みなさん。私がスパルティです。
3横にいるのは、ベンとキョウ。私の忠実な側近です。
「「…………
3明日からは私たち三人が学園の指揮をとっていきますので、くれぐれもよろしくお願いします。
ティナ ……ちょっと待ってください。
3あなたが生徒会長のティナさんですね。
ティナ カムイ学長が不正をしたというのが、私たちにはとうてい信じられません。
3不正の事実を示す証拠はそろっています。
3生徒は首を突っ込まなくてよろしい。
いいですか、みなさん。これまでのような生ぬるい学校生活は、今日でおしまいです。
それを肝に銘じておいてください。
「bさっさと歩けっ!
第15章 変わる教育
<つぎの日の朝――
スパルティから渡されたプリントを見て、カラスミ組の面々はがく然とした!>
3私の教育方針にのっとった、五十の校則です。
……コヨミ、にーにに近づいちゃいけないの?
一、窓の外を見る。二、物を落とす。
三、ノートを破る。四、頭をかく。
五、座り直す。六、机を動かす――
3本日からはこの校則に従って生活してください。
3違反した場合は厳重な処罰が下されますので、そのつもりで。
3教師には敬語を使うように。
3……まあ、いいでしょう。すべて茶熊学園のためですよ。
3みなさんは、この学園の教育方針をご存知ですね?
『生徒の自主性を重んじ、自由にのびのびと学んでもらう』
生産性のない無意味で無価値なゴミ以下の理念です。
3いいですか。学校とは能力を伸ばすための訓練所であり、自由気ままに戯れていい公園の砂場ではありません。
能力を伸ばすとは昨日の自分よりも強く賢くなるということです。昨日より今日。今日より明日。
並大抵のことじゃない。やり通すには大樹のような精神が必要だ。だから我々がいる。
教育者の使命とは未熟な幼木の葉を増やし枝を生やし幹を太くすることです。背が伸びても折れないように。世界の見え方か変わっても枯れてしまわないように。
私は、大樹の育て方を誰よりも知っている人間だ。
これは改革です。失った信頼を取り戻すだけではない――
この学園を、世界でも有数の名門校にするためのね。
3カムイさんは現在、本校舎の地下に幽閉しています。
3当たり前でしょう。罪人ですよ。
3コヨミさんとジュダ君。二人には彼の世話をしていただきます。
3ウサギの世話をしているところを部下が見ていましてね。生き物係なのでしょう?
3コヨミさん。彼が飢えてもいいのですか?
3今日からさっそくお願いします。さて、授業をはじめますよ。
<その日から、茶熊学園は変わった――>