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【アナデン】イルルゥ Story

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作成者: にゃん
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アナザーエデン・キャラクエスト「イルルゥ編」


目次


Story1

Story2

Story3





story1




「いやーやっぱりこっちの世界は活気があって楽しいねー!」

「へえそうなんだ。イルルゥの住んでる街とはけっこう違うのか?」

「えー?そうだねずいぶん違うなー。もっとこう陰気なところだよ!」

「い、陰気か……。」

「だってみーんな暗いもん!まあ死んじゃってるからだけどね!」

「そんな風に明るく言われても……

……ん?みんな死んじゃってるってどういうことだ?」

「まあまあ!細かいことは気にしないでいこー!」

「細かいことか?」

「いいのっ!とにかくあっちは暗くてどんよりなの!

だからあの人たちに合わせてるとこっちまで暗くなっちゃうの!

ほらほらあんな感じにじめじめ~っとしてるんだよ?」


「…………。

あの爺さんと婆さんを陰気呼ばわりは失礼だろ。」

「ちーがうって!そうじゃなくってアレ!」

「あれは……?」


「……帰ってきてからあの子もすっかり元気がなくなったなあ。」

「ええ大変だったでしょうに……。今でも足しげく通ってるんですよ。」

「健気なもんじゃ。本当はもう新しい人生を考えても良いじゃろうに。」


「あの爺さんたち周りでフワフワしてるアレには気づいてないな。」

「あれは魂だよ。現世に残っちゃってるんだ。

あ~らら迷っちゃってるみたい。

ああいうのはちゃんと還してあげないといけないんだよね~。」

「還す……か。

それがイルルゥの役目なのか?」

「そ!今の魂はどっちに行ったのかな~っと。」

「あっちはデリスモ街道だな。追いかけるか?」

「もっちろん!じゃあお仕事開始ーっ!」



- Quest Accepted -



「いたいた!こんなところで何やってるの?」

『えっ!あなたたち私の姿が見えるの……!?』

「そりゃあ見えるよ。だってあたし向こうの人だし。」

「オレにはなんで見えてるんだ……?」

「さあ?あたしの近くはあっちの空気が濃いからじゃない?

とにかくキミ!さっさと送っちゃうからとっとと生まれ変わってよ!」

『きゃああ!待って待って!私にはやり残したことがあるの!』

「でもいまさら何もできないよ?すっぱりあきらめてあたしに送らせてよー!」

『そんな簡単に未練が消えるわけないでしょ!』

「……なあイルルゥ。もし未練が残ったままの魂を送っちゃったらどうなるんだ?」

「う~ん?未練があると来世は魔物に生まれ変わっちゃうかも……?」

『ら、来世が魔物……!』

「でも来世のことはもう関係ないし別にいいでしょ?」

『い、いやよ!絶対いや!あんな人生だったのに魔物になるなんて!』

「本当に来世は魔物になるのか?」

「んーわかんないよ。でもあたしの先輩はそう言ってたよ?」

「せ、先輩とかいるんだ……。

だけどやっぱり未練を残したままってのはかわいそうだろ。」

『そうよねっ!?そう思うわよね!?』

「なあイルルゥ。この人の未練を断ち切れるように手伝ってあげよう。」

「うーん……。ちゃちゃっと終わらせたいところだけど……

ただあたしも……なんで現世に未練なんか抱くのか少し興味あるんだよね~。

手伝ってあげてもいいよー!」

『て、手伝ってくれるの?』

「うん。だからちょっとお話しやすくするねー!」

『えっ!?これって……』

「お顔が見えたほうが話しやすいでしょー?

でもあたしとアルくん以外には見えてないからねー。」

『あらそうなのね……。』

「イルルゥそんなこともできるんだな……。」

「うん!いつもは顔なんか見ないで送ってるから久しぶりだけどね!」

『手足が思い通りに動くわ……!まるで生き返ったみたい!

なんだか元気出てきちゃった!あとは早く心残りを解消したいわ!』

「ああ。オレたちはどうすればいいんだ?」

『ケルリの道に来て!やってもらいたいことがあるの!』



「なあイルルゥ。どうして未練を残すのか興味があるって言ってたよな。

未練のある魂って珍しいのか?」

「え?そうでもないよ。むしろほとんどの人が未練あるもん。」

「まあだろうな。だったらなんで今回は魂の手伝いをする気になったんだ?」

「ずっと不思議だと思ってたんだよねー。

死んじゃったらもう生前の自分とは無関係になるわけでしょ?

それなのにどうして生前のことにしゅーちゃくしちゃうのかな?……って。」

「なるほど………。その理由が知りたいわけか。

オレはなんとなくわかるけど………イルルゥは感覚が違うのかな。」

「だってあたし人生とかやったことないからわかんないもん!」

「そ、そうか……。それなら人間の人生を知るのはいい勉強になるかもな。

それにどうせ同じなら気持ちよく生まれ変わってほしいだろ?」

「そういうもんかな?あたし考えたことないや。」

「イルルゥの仕事ってのはそんなんでいいのか……?

まあとにかくあの人はケルリの道に行ったみたいだ。追いかけよう。」





『来たわね!さっそく手伝ってもらいたいの!』

「それはわかったけど何を手伝えばいいんだ?

まずはあんたのやり残したことが何なのか聞かせてくれないか?」

『私にはね。恋人がいたの……その人のことが忘れられないの。

だからどうしても……

復讐がしたいのよ!あの人に……!』

「なんだって!?」

「復讐!仕返しってこと?

終わった人生の恋人にどうしてそこまでしがみつくの?」

『だって……だってあいつは……私を捨てたのよ!?

私が病気でずっと苦しんでたのに見舞いにも来なかった!』

「それは確かに未練が残るかもしれないな……。」

『だから……呪ってやるの!あいつも病気で苦しめばいいんだわ!』

「いや!それはさすがにマズいだろう!」

「そぉ?マズいの?」

「イルルゥ……。」

「だけど魂になってまで仕返ししたい理由は気になるかなー?

手伝ったらなにかわかるかもしれないんでしょー?」

「そうかもしれないけど……復讐だぞ?

相手がひどい目に遭ったりしたらどうするんだ。」

「ん?死んじゃったらってこと……?

そしたらあたしが責任もって送ることになると思うよー!」

「そういう問題じゃないだろ……。」

『むしろひどい目にあわせないでどうするのよ!あんなやつ!』

「ひどい目かぁ~……。

あっ!そうだ!いいこと思いついたよ!

これ使おうよ!ここに生えてる毒草!

前に飲んじゃった魂が二度と口にしたくない苦しみだったって言ってたんだ!」

「ちょっと待て!魂に聞いたってことは死んじゃってるじゃないか!

そもそもオレは復讐するのだって反対なんだぞ!」

『しょうがないわね。私に計画があるのよ。』

「計画……?」

『病気の呪いをかけるの!

この鉱石にはね。不思議な力があるの。

想いを込めて祈ったりおまじないをすると願いが叶うって言われてるわ。』

「この辺りの石にそんな力が?初めて聞いたな。」

『私も前はただの迷信だって思ってたけどいまならその石の力が本当だってわかるわ。』

「イルルゥは知ってたか?」

「んー聞いたことがあるよーな……ないよーな……。

あるよーな……?」

「……あんまり覚えてないな。」

「あーでも確かになんだかパワーは感じるかなー。

これを恋人に渡せばいいのー?」

『ええ!私の恨みをありったけこめてやるから!』

「あー。魂だから運べないし渡すこともできないんだね。

でも渡せるくらいの小ささだと風邪をひく程度の呪いになるよ?」

『風邪でもなんでもいいの!あいつさえ苦しめば!』

「か、過激だなぁ……。」

『……いい?いまから恨みを込めるわよ!』

「おおー!やるねー!それで渡したい人はどこにいるの?」

『今ごろデリスモ街道にいるわ。毎日花を摘んでるって彼の両親が言ってたの。

きっと新しい女でも作る気よ!キーッ!!許せない!!』

「あっ!知ってるよー!『しゅらば』ってやつだ!

……ドキドキ……!」

「…………。

……とにかくデリスモ街道に行くか。」






『あっいたわ!彼よ!

ああ……!憎たらしい!今すぐ呪いたい!

さああなたたち呪いの石を彼に渡して!』

「…………。」

「アルくん?どしたの?むつかしい顔してるね。」

「やっぱり復讐に協力ってのがどうしても納得できなくて。」

『何よ!やるって言ったでしょ!男に二言はないわよね!?』

「オレはやるとは言ってない!」

「まあまあー。あたしはこの先どうなるかちょっぴり興味あるよ?

ほら行こアルくん!ちゃちゃっと渡しちゃおうよ!」

「うわっ!イルルゥ!ちょっと待てよ!」


「うん?僕に何かご用ですか?」

「ええっと……なんというかオレたちあんたの恋人だった人の知り合いなんだ。」

「彼女の……?」

「そーそー!ねねっ?どうして彼女のお見舞い行かなかったのー?」

「僕は……僕は彼女を救えなかった。間に合わなかったんです。」

「…………。」

「彼女が苦しんでいる間僕は北の荒海の航路調査に行っていたんです。

命の危険は大きいけれどその分破格のお金が手に入りますから。

彼女の治療のためにはとても高価な薬がたくさん必要だったんです。」

「北の荒海かあ。あっちは大変だよねー。」

「ええ。とても過酷でしたが彼女のためを思えば頑張れました。

しかしやっとお金ができて戻ってきたら彼女はもう……。」

「そうだったのか……。」

「せめてもの償いに毎日彼女の魂に花を捧げることにしているんです。

……今でも僕は彼女を愛していますから。」

「そうか……。それがわかってオレたちも安心したよ。ありがとう。」

「……それでは失礼します。」


『…………。』

「『しゅらば』じゃなかったね!でもよかったねー愛してるってさ!」

『愛してるだなんて……だったらどうして……』

「これ返すよー!でどうするの?まだ恨んでる復讐を果たすまで未練は消えない?

ただね!死した魂が現世に介入して復讐を成すのは本当は許されないこと。

代償にキミの魂は消滅するよ。キミの復讐にキミの魂と同じほどの価値はあるのかな。」

「それって生まれ変わることすらできなくなるってことなのか……?

だったら考え直した方がいい。もう復讐する理由もないじゃないか。」

『……わからないの。

私だって消えたくない!幸せになりたい!

それでも……会いに来てくれなかったのがどうしても許せなくて……!!』

「うッ!?なんだ……!?」

『わからない……どうすればいいの!

私の恨みは……!どうすれば消えるのッ!?』

「アルくん!あの鉱石!想いに反応して怨念が集まってる!」

「どういうことだ……!?」

「もともと石の中に悪い気持ちとか恨みとかが貯まってたんじゃないかなー?」

「くっ……!怨念が魔物になったってことか?

やるぞイルルゥ!」

「おっけ!還るべきところにまとめて送り還しちゃお!」


 ***


『ううっ……。わ、私は……。』

「どーお?少しは落ち着いたかな?」

『……ええ。なんだか……胸の中の黒いものが晴れたみたい。』

「ふーん。未練が消えたってことかな。復讐はもういいよね?」

『復讐……

もうそんな気分じゃないわ。だけどまだ未練は残ってるかも。

私はもともと彼を憎んでいるわけじゃなかったのね……。

最期にひと目……彼に逢いたかっただけなんだわ。

でも逢えなかったのを彼のせいにしてそれで……。』

「……そうだな。だったら逢いにいこう。

きっとアクトゥールに戻ったんだ。」





「……君を絶対に忘れない。僕の想いを花にして贈るよ。」


「花を流してるね。あれになんか意味があんの?」

『アクトゥールの弔い方よ……。

オンディーヌ様の清流が手向けの花を死者に届けてくれるの。』

「ふーん?向こうじゃそんな話聞いたことないけどなあ……。」

「そういうものなのか……。だけど本当に届けたいのは花じゃなくて気持ちだろう?

死んだ人を想う気持ちはちゃんと届くんじゃないかな。」

「うん。それはそーかもねー。」

『ああ……最期にひと目逢えれば満足できると思ったのに……

彼に幸せになってほしくて……それがすごく心残りだわ……。』

「んー。じゃあさこの鉱石に想いをこめればいいんじゃない?

今度は恨みじゃなくって素直で綺麗な想いをさ!」

「なるほど………。お守りみたいなものか。」

『……それだわ!

私も今でも愛してると……この気持ちを届けてくれる?』



「おや先程の……。あなた方も花を贈りに?」

「ううん。あなたの恋人さんからあなたに渡してほしいものを預かってるんだー。」

「これは……?

不思議です。優しい光を湛えていて心が癒されるような……。」

「愛を込めたお守りだって!キミに幸せになってほしいってさ。」

「そうですか……。彼女がそんなものを遺してくれてたなんて。

いつか僕が向こうへ行ったら伝えます。君に出逢えて僕は本当に幸せだったと……。」

『うん……私もあなたに逢えて本当に幸せだったわ……。』



「どう?もうそろそろ未練も無くなったよねー?」

『ええ。あなたたちのおかげで彼への恨みもなくなったし。

愛してくれてるのがわかって本当に良かったわ。』

「ほいじゃあキミの魂あるべきところに還そうか!

次の人生は後悔しないようがーんばってねーっ!」



「ふうーっ!これで無事にお仕事終了だね!」

「あの人これで魔物に生まれ変わらなくて済むかな?」

「だいじょーぶだと思うよ!

魔物になっちゃう人は送るときにイヤーな感じがするって先輩が言ってたし!」

「そうか。来世は幸せになれるといいな……。

なあイルルゥ。あの人の本当の気持ちは復讐じゃないって気づいてたんだろ?

ただ幸せになりたかっただけだって……。

だから最初に復讐を手伝うだなんて言ったんだよな?」

「えーっ!あたしそんなこと考えてたのー?

わかんないなー。あたしは別にお仕事さえできればどっちでも良かったんだけどー?」

「その割には魂が消えるとかちゃんと忠告してたじゃないか。

きっとイルルゥは心の奥で復讐が間違ってるって思ってたんだよ。」

「そうなのかなぁ……。うーんわっかんないや!

だけど………うん……なんでだろうね……?

今回のお仕事は胸の奥がほんのりあったかくなる気がするの!」

「オレも暖かい気持ちになったよ。こういうのがイルルゥの仕事にとって大事なんじゃないか?」

「へえー!わかった!じゃあこのあったかい気持ちを大切にしないとだね!」



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