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【白猫】蒼空の竜騎士2 Story4

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん
開催日:2019/03/29




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story22 ウロボロス



竜族こそが、最上の種――

物事を論理的に思考するようになった頃から、

その思想は頭の中にあった。


幻想は抱くまいとした。

現実を見据えなければ、成就できないと思ったからだ。


……思想の実現には、永い年月がかかるだろう。

そしてそれは、幾ら竜族の生涯が永いとはいえ、

俺が生きている間は叶わないだろうと感じていた。


何故か……? 理由は明白だ。


この世界で最も繁殖した種族――

それが、人間だったからだ。



……俺は、”種”を蒔くことにした。

いつの日か芽吹き、葉を増やし、実をつけるための種を。


殺戮は効果的だった。

もっとも、ファブニールのようなやり方ではない。

合理的にその数を減らした。

必要なら何人でも殺す。必要でなければー人たりとも殺さない。


やがて俺は、一つの方向性を見出した。


抑圧でも、まして支配でもない――

人間は、竜族によって制御されるべきだと。


ときには国を作り替え――

ときには、神として崇め奉らせた。


同胞とともに行動を起こしたこともあった。

そうして種を蒔き続け、永い時を生きた。


……だが、全ては無駄な努力だった。


人間は、常に進化する生物だ。

数多の屍の頂に立ち、人としての肉体的限界を超越し、

余りある力を手に入れることができる。

生命を消し去る武器を、無尽蔵に造り出すことができる。

その気になれば、全てを無に帰することができる――

彼らの底知れぬ欲望を、制御できるはずもなかった。



ある時、俺は同胞の亡骸を見た。

知恵と力を持った、偉大な同胞だった。

荒らされた原生林の中で、彼はその生を終えていた。


眼球はくり抜かれ、

鱗はー枚残らず剥ぎ取られ、

内臓は無惨にも潰されていた。


虚空の眼が無念を訴えていた。


それを見て、俺は

――ようやく、悟った。


俺は、抱くまいとした幻想の中で生きていたのだと。




いまの俺に、目的などありはしない。

あるのは、残り火のような<思想>だけだ。

…………




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story23 少年と邪竜




奴を見つけたのは、偶然だった。


『これは、同胞の仕業だな。

……いや、同胞とも呼べない下等種、か。』

「……ウ……ウゥゥゥゥ……」


焼け焦げた体が、小刻みに震えていた。


『その傷で、まだ息があるとはな。』

「だれ……だ……」

『苦しいか。楽になりたいか。』


……まだかすかに、目が見えたらしい。



「……竜……!」

『言っておくが、俺はここを襲った下等種とは――』

「……あ……ぁああアァァ!

殺してやる――!」

『…………!』

「殺してやる、殺してやる、殺してやる……!」


生と死の狭間にいて、奴の眼は鋭く光っていた。


『俺がひと撫ですれぼ、お前の命は終わる。』

「その前に……おまえを殺す……!」


……面白い、と思った。


いま奴を生き永らえさせているのは、体ではない。心だ。

その心を、俺は弄びたくなった。



『小僧。貴様が生き延びる方法が一つだけある。

俺の血を飲め。』

「…………!」

『貴様の血と俺の血が適合すれば、その傷は回復する。

適合しなければ、死ぬこともできないまま、永遠に苦しみ続けるだろう。』

「ふざ、けるな……!」

『選べ。憎き竜の血を取り込み生き永らえるか。それとも、ただ死を待つか。』

「…………。」


俺は奴に誓いを立てさせた。

俺を殺すまでは、他の竜を狙わないと。


思いのほか、奴は素直に従った。

誓いを破れば殺されると思ったのかもしれない。

……いや、ただ俺を利用して強くなりたかったのだろう。


敗北し、傷つき、治ればまた挑む。その繰り返し。

竜族の力によって、竜族を滅ぼそうとする男……

俺と同じ……幻想の中に生きる者を、育て、観察した。


何も見ず、何も聞かず、何も話さず――

静かに余生を終える前の、ひとときの戯れとして。


…………

……


……だが、それももう終わりだ。

……俺は……まだ……

……ソウくん。

終わるわけには、いかない!

……ほんとうは、わかってるんでしょ?

あたしは、心を操られてなんかいないって。

……ッ!

……認めるわけには、いかない。

認めてしまったら、俺にはもう、何も残らない!

……それは、ちがう。

……お前が生きていると知って、俺は、本当に救われたんだ。

ともに戦えると。すべてを、分かちあえると。

……ナギ。お前は、俺の希望なんだ。

…………

俺を、一人にしないでくれ……

あなたは、ひとりじゃないよ。


……やはり、諦めないつもりか。

……当たり前だ……

奴らを殺し……ナギを連れていく!

……変わらないな、お前は。

だが、それでいい。お前はまだ、壊れる時ではない。

……何をやっている……

”普通の戦い方でなければ”、最初から、俺の勝ちだ。

――まさか!


アトモス。お前はまたまだ、幻想の中で生きろ。

……まだまだ、人と竜の狭間で、苦しみ続けろ。

ウロボロス――




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story25 生と死の誓い




よせ、やめろ――!


……角の魔力が、効かない……!

命を代價にされては、もはや……


……俺のために、死ぬというのか。

それも戯れだ。

…………


 ***


『……小僧、名は。』

「……村といっしょに焼けた。」

『面白いことをいうな。』

「いまのオレに、なまえはない。」

『……では、アトモスでどうだ。』

「は?」

『玩具には名がついているものだろう?』

「……勝手にしろ。」


『アトモスよ。いつか、俺を殺せる日が来るといいな。』

「憎たらしい竜め……」


 ***


駄目だ。それは、俺が許さない。

え……

お前が死ぬ時は、俺が殺した時だ。それ以外の死は認めない。

……何故だ。

俺はまだ、強くなれる。そのために、お前が必要だ。

…………

だから……生きろ。

……勝手な奴だ……


……馬鹿な……

……絆の、力が……!


絆?違うな。

誓約、というべきだろう。

さて――

今度こそ、目的を果たさせてもらおう。

ぬぅ……!


……待たせたな、ナギ。

……ソウくん。

……に、げろ……

……いったでしょ?あなたは、ひとりじゃないって。

ナギ……?

あなたには、そばにいてくれる竜がいる。

その光が、なによりの証拠。

だから……あたしのところへ、帰ってきて。

優しいソウくんに、戻って。

……俺はもう、引き返せない。

引き返せるよ。あたしたちと、一緒なら。

無理だ――

…………


逃げなさい、ナギ。私たちが、時間を――

あたしに、戦わせてください。

……ムチャだ!おまえのかなう相手じゃない!

ソウくんを救えるのは、あたしだけです。

お願いします……!

…………


武器を降ろせ。お前とは、戦わない。

あたしをなめるなぁっ!

……!

ナギ……

連れていくのはあたしのほうだよ、ソウくん。

その目……死ぬ気か?

……アスタ。あたしの姿を、見ていてね。

ルオォォ……

本当に……やる気なのか。

あたしは、この国の竜騎士だから。

――来い、アトモス!

…………



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story26 ナギの覚悟




うぐ……!

ルオォォーーーン!

話にならないな。

ルオォォッ!

……アスタは、さがってて!

フレイヤ……私たちも……!

ダメッ!

これは……あたしの戦いだ!

…………

やあああっ!


かはっ!

無駄だ。

ねえ、ソウくん……

どうしてあたしが、この子にアスタって名づけたか、わかる……?

……あたしの、覚悟なの。

ル……ルオォ――

過去を許して……背負って……強くなって……

……ルオォッ!

戦いぬく、覚悟――!

あぅっ!

ルオオオオーーーーーーン!

……えヘヘ……やっと……だね……

守るって決めたのに……いつも……かばってもらって……ばっかりだったから……

……ルォオン……ルオォォン……

……ごめんね……あたしが弱いせいで……みんなみたいに……戦えなくて……

……でも……守るから……

アスタは……なにがあっても……おねえちゃんが……守るから……!

…………!


――はあああっ!

……なぜ、倒れない。

倒れ……ないよ……あなたを、とめるまで……あたしは……!


……これでもか?

待て、ウロボロス――


ナギ!

……っ!


 ほくも……まもるよ……

 ナギ…………おねえちゃん……


……アス……夕……?

……終わりだ、ナギ。


 ほくに……のって。

 いまなら……きっと………………だいじょうぶ……


…………!


 さあ……ぼくといっしょに!


……ありがとう、アスタ。


何だ……!


……団長、あれを!

……見つけたようたな。

え……?



この一撃に……すべてを込める!

ルオォォーーーン!




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