【白猫】風神山の雲たぬき Story
2015/07/10
目次
登場人物
サワワ・カゼノカミ cv.伊藤かな恵 立派な風神を目指す風神見習いの少女。教本の<風神の巻物>をいつも手放さない。 | |
ツユハ・レイニーデイ cv.戸田めぐみ 雨そのもの。けろけろりん! | |
ディーネ・オンディーネ cv.潘めぐみ 大きな剣を携えた湖の精。不法投棄は決して許さない。 |
story1 サワワの風神修行
<風神の巻物>第30条第1項!風神たるもの雲を操るべし!
これですね!
雲を操る?またなにをいいはじめたのよ?
立派な<風神>になるためには、雲に乗れることが必須条件なんです。
でも、雲って、あの雲でしょ?乗れるわけないじゃない。
いえ、とある山にある、特別な雲なら可能なんですよ。
その<風神の雲>があれば、<風神見習い>から一人前に一歩近づけるはずです。
そんな雲、ほんとにあるの?
もちろんです。この<風神の巻物>にも書いてあるんですよ。
そうだ、今日は天気もいいし、アタシたちもついていっていい?
え?それはかまいませんが……修行ですよ?
平気平気。アタシたちがやるわけじゃないし。
……えーと。
さっそく山に出発よ。
ふふ。たくさんお弁当作っていきましょうね。
ええと、ですから、修行は遠足ではないのですが……
…………
……
ここが、あの、伝説の山……!<風神の雲>がここに……
けろけろけろりん♪けろけろりん♪
え、頬に水滴が……
雨でしょうか?
うん、私はツユハ。雨だよー。
<傘をさした雨合羽の少女が、上空から舞い降りてくる。>
あなたが<雨>なのですか?
うん、そうだよ。
わあ、本職の<雨>の方にお会いできるなんて光栄です。
『本職の<雨>』ってなによ?雨って職業なの?
ん?雨は雨だよ?
なるほど、含蓄のあるお言葉です!
……意味わかんないんだけど。
……あ、申し遅れました。私、<風神見習い>のサワワといいます。
へえ、じゃあ、サワワは風起こせるんだ。いいなー。
ピューッて空飛んだりもできるの?
実は……まだできないんです。だから<風神の雲>を入手しようとこの山に来たんです。
そうなんだ。あ!私、雨だから、雲のことはよく知ってるよ!
じゃあ、もしかして、<風神の雲>のことも……
それは今、初めて聞いた!
そ、そうなんですか。
大丈夫、サワワ、ツユハにまかせといて。みんな、ついてきて!
あ、待ってくださいよ、ツユハさん!
みんなで遠足うれしいな。けろけろけろりん、けろけろりん♪
きゃ、また雨が降ってきました!
うれしいから、雨が降るんだよ。
私、気持ちにあわせて雨が降るんだ!
ツユハ、落ち着きなさーい!みんながぬれちゃうでしょ!
story2 大雨ところにより強風
けろっけろっ♪楽しいなー!
あの、ツユハさん。あまりはしゃがれると……
やはり、また大雨が降ってきました……!
雨、降ってると、もっと楽しいよね?
いえ、ここ、山道ですし。ちょっと危ないかと。
それに、せっかくのピクニックが台無しよ!
あっ、キャトラさん、そんな言い方は……!あと、ピクニックじゃないです。
けろりーん。みんな、雨、好きじゃないんだ……
ぎにゃー!よけいに雨が強くなったー!
けろけろ……
ツユハさん、落ち着いてください!こうなったら、雨雲を吹き飛ばしましょう。
いや、アンタも落ち着きなさいよ、サワワ!?
ヒュー・ピュー・ゴウ、ヒュー・ピュー・ゴウ、ヒュー・ピュー・ゴウ……
風、来!
ぎにゃー、吹き飛ばされるー!?
わー、ほんとに風だ。サワワ、かっこいー。
よかった。雨雲が移動して、ツユハさんのご機嫌もなおりました!
よくないわよっ!アンタたちときたら……
あ、いつのまにか、キャトラさんの毛がぼわぼわに!?す、すみません。
けろけろけろけろ……
え、今度はどうしたんです?
嫌な予感しかしないんだけど……
風が雲に一気に吹き付けると、湿った空気が集まって……
低気圧祭りだよー!けろけろりーん!
しまった、かえって低気圧が発生してしまいました!
サワワ、いい加減、やる前に気づきなさいよ!
すみません、私がいたらないばっかりに……
はやく<風神の巻物>で対策を考えませんと……!
けろけろけろけろけろけろ……
あーもう、そんなことより、早くどっかで雨宿りするわよ!
story3 泉のそばでけろけろりん
はー、一時はどうなるかと思ったわ……
す、すみません。私が未熟なせいで……
迷惑かけてごめんなさい。けろりーん……
まあまあ。みんな、そろそろ休憩にしましょうよ。
そうね。ちょうどあそこにきれいな泉があるわ。お弁当にしましょう!
そうだ、お弁当!さっきの雨で濡れてしまいませんでしたか?
大丈夫ですよ。主人公が守ってくれてましたから。
よかった、ありがとうございます!
さすが主人公。たとえ、毒沼に落ちてもいつも荷物を守ってくれるもんね。
…………
……
ケロケロケロ。
あ、カエルさん!こんにちはー!
ツユハさん、あまり泉に身を乗り出すと危ないですよ!
え。危ないって、なにが?
<突如、泉から腕が伸びてきて、ツユハをつかむ!>
けろーっ!?
ツユハさーん!?
<ツユハは泉の中に沈んでしまった……>
はやくツユハさんを助けないと!
……いや、これ、なんとなく展開が予想できるわ……
え、どういうことですか?
<泉から、ぶくぶくと泡が上がってくる……>
ざっざーん!!
やっぱ出た!
あなたが落としたのは、金のツユハですか?それとも銀のツユハですか?
アンタがツユハを泉に引きずりこんだんでしょ!
さあ、金のツユハですか?銀のツユハですか?
アタシの話を聞きなさいよ!
えっと、ツユハさんは緑色だと思うのですけど……
サワワも真面目に相手しなくていいから。
よろしいですわ。正直なあなたに緑色のツユハさんをお返ししましょう。
本当ですか?ありがとうございます。
ディーネ……アンタ、なにがしたいのよ……
あら、こうして登場するのが<湖の精霊>というものですわ。
ここ泉でしょ。
それよりツユハちゃんは?
大丈夫ですわ。ほら、このとおり。
けろけろ♪今の、どぼーんっていうの、おもしろかった♪
ああ、ご無事でよかったです。びっくりしました。
さすがツユハさんは<雨>ですわね。
そういえば、さっきちらっと聞こえたのですが、<風神の雲>をお探しですわね?
ディーネさん、でしたね。何かご存知なのですか?
ええ、わたくしにお任せなさい。
本当ですか?ありがとうございますっ!
わたくしも、その珍しい雲を見てみたいですわ。
ご存知なわけじゃなかったんですか?
story4 ちょっとここらで小休止
さて、山頂までもう少し、ですよ!
でも、さすがに疲れてきたわね。
そうね……
疲れたの?じゃあ、恵みの雨を、けろけろりーん♪
しなくていいから。
けろりーん……
まったく、主人公さんたちは冒険家なのに、軟弱ですわねえ。
わたくしは全然疲れていませんわよ。
アンタ、さっきまで泉につかって潤ってたでしょうが。
すみません、私、<風神の雲>が手に入ると思ったら、つい急いでしまって……
無理はいけませんね。少し休憩にしましょう。
あ、主人公さん、そこ、休憩できそうな場所ですね!
はー、やっと座れるわ。やれやれ。
キャトラ、おばちゃんみたいだよ?
汗だくになっちゃったわね、主人公。歩き通しだったもんね。
そうね、私も少し暑いかも……
じゃあ、雨で涼しく!
それはもういい。
けろーん……
そうです!こんな時は涼しい風を吹かせましょう!
風?でも、また吹き飛ばされたりしたら……
では、わたくしがキャトラさんを押さえていましょう。
ちょ!?なにするのよ、ディーネ!
あら。わたくしはキャトラさんの安全を考えているのですわよ。
面白がってるだけじゃないでしょうね!?
ヒュー・ピュー・ゴウ、ヒュー・ピュー・ゴウ、ヒュー・ピュー・ゴウ……
ぎゃー、ストップストップ!
風、来!
わー、涼しいー。
……ちょっと、待ちなさい!この音は……
あら、どうかなさって?
なんだか、大きな物が転がってきてる……!?
転がる……丸いもの……あっ、カタツムリさん?
大岩に決まってるでしょ!
ま、また力加減を間違えて、強風で岩を落としてしまいました!すみません!
あ、私、これ知ってる!冒険家って、よくこういう罠にかかるんだよね?
あら、今回は罠ではなく仲間の失敗によるものではありませんの?
なんでそんなにのんきなのよ、アンタたちはー!
story5 到着!山の頂上
やっと……やっと、頂上です!
いろいろありましたが、皆さん、本当にありがとうございました!
うん、いろいろあってとっても楽しかったね!
いい話風にまとめようとしてるけど、まだ雲を手に入れてないでしょ?
はっ、そうでした。<風神の雲>はどこに……
あなたが落としたのは、金のクモですか?銀のクモですか?
はあ?なにいって……
シュウウウ……
わあ、おっきいクモだー!
きゃー!クモ違いです!
<一行の前に、巨大なクモが現われ、威嚇してくる……!>
こいつを倒して進むか、逃げるしかなさそうね。
サワワが困ってる……そうだ!
ええ、ツユハさん。
ツユハさん、ディーネさん?
強くて激しい局地的な雨が降ればクモもおうちに帰ると思うよ!
わたくしもクモの気を引きますわ。
その隙に、先に行ってて!
え、でも、お二人を置いていけません!
大丈夫ですわ。わたくしたちにお任せくださいな。
そんな、でも……
サワワは<風神の雲>がほしいんでしょ?
さあ、お行きなさい。わたくしは自分の目標にも正直な方が好きですわ。
……ありがとうございますっ!私、行きます!
ツユハも、ディーネも、ケガするんじゃないわよ!
最終話 <風神の雲>と雲たぬき
わあ……一面、真っ白です。
へえー。これが<風神の雲>ねー。
けろっ♪まるで空の高いところみたいだねー。
ふふ、キャトラ、この中じゃ、どこにいるかわからないわね。
皆さん、本当に、ありがとうございます。
こうして<風神の雲>にたどり着けたのは皆さんのおかげです。
けろけろっ。気にしないで。
早く雲に乗ってみてくださいな。
ほんとに乗れるの、これ?ただの雲にしか見えないけど……
はい、<風神の巻物>に書かれていることに間違いはありません。
<風神の巻物>第30条第2項!風の心を持って、雲を御するべし!
キュ、キュキュー。
あれ?この子……?
キュキュキュー。
星たぬきさんですか?でも、こんな真っ白な子初めて見ました。
けろっ!その子、私知ってる!<雲たぬき>だよ!
空の上の雲の中に住んでる、特別な生き物なんだよ。
へえ、ここにはそんな子たちがいたんですのね。
キュキュキュ、キュキュー。
あら、通せんぼしてるみたいですわ。
ちょっと待ってね。どうしたの?
キュキュキュ、キューキュー。
え、そうだったの?それでびっくりしてたのね。
なんて言っているんですか?
ここ、雲たぬきたちのおうちだって言ってるわよ。
じゃあ、雲を持っていくとおうちを壊すことに?
たくさんあるから、ちょっとだけもらうわけにはいかないのかしら?
キュキュキュキュ、キュキュー。
うーん、『最近子どもが増えたから、できればやめてほしい』……って。
キュキュキュー。
あ、ほんとだ。小さい雲たぬきかわいいー!
雲は、雲たぬきたちのすみかであると同時に食べ物なんだって。
なるほど。生態系を壊すのはよくありませんわ。
……わかりました。きっと<風神の雲>は別の場所にもありますよね。
皆さんには手伝っていただいて、改めてありがとうございました。
雲たぬきさんたちも、驚かせてしまってごめんなさい。
サワワ、そういってもらえて、私もうれしいよ!
雲たぬきのこと考えてくれてありがとう!
いえ、先に住んでいたのは雲たぬきさんたちですし。
これも修行ですから。
けろけろりん♪じゃあ、ここまでたどり着いたお祝いだよ!
お祝いですか?ありがとうございますっ!
え、ツユハのお祝いって……
!!キュキュ!キュキュキュー!
あ、アンタたちだけ雲に乗って逃げるなんてずるい!待ってよー!
けろけろけろりん♪けろけろりん♪
恵みの雨よ、降り注げー!
<こうして、激しい雨が、山の頂上に降り注ぎ、湖となった……>
…………
……
あなたが落としたのは、金のキャトラですか?銀のキャトラですか?
それとも、金のアイリス?銀のアイリス?
それとも、それとも、金のサワワ?銀のサワワ?
それとも、それとも、それとも、金の主人公?銀の主人公?
けろ……。反省しています……