【黒ウィズ】新生ジェニファーの大冒険 Story
2014/09/29
story
「ヒマにゃ。
…………。
ヒマにゃ。ヒマにゃア!
何度言ったトコロで解決するわけじゃない、と君は言う。
そう、君はいまだかってないほどにヒマだった。理由は至極単純――
仕事が、無い!
「はぁ……。
疲れきった顔で奥の部屋から出てきたバロンは、分厚い書類の束を持っている。
見るに、それには「依頼好評受付中!」と書かれているようだった。
「くっ……!
ウィズは思わず目を逸らした。
想像してほしい。バロンが1枚1枚チラシを作っている姿を。
「少し外へ出てくる……留守を頼んだぞ……。
まさかこの私が……営業に出る羽目になろうとは……。
少し丸まったバロンの背中を見送ると、君は少しだけ目頭が熱くなった。
「――まあ、平和なのはいいことにゃ。たまには休みも必要にゃ。
ウィズはそう言うが、君はそうは思わない。
今まで君はずっと冒険を続けてきた。毎日が目新しいことの繰り返しだった。
「不満そうだにゃ。やっぱり平和は退屈にゃ?
したり顔のウィズに、君は苦笑いを返す。そう、平和は退屈だった。
ただ、今まで君は「誰かのために」冒険をしてきた。
たまには自分のために冒険をしたい。そう思いながら、君はひとつあくびをした。
「ふあぁ……。
君につられて、ウィズも体をのばしながら大きなあくびをする。
目に浮かんだ涙を拭いて、滲んだ視界を手の甲でこする。
「……ん?
……あれ?
ウィズは首をかしげながら、何度も顔を洗っている。君も同様の違和感を感じていた。
涙で滲んだ視界が、戻らないのだ。
「んん?なんにゃ、これ……。
ウィズと君はもう一度目を閉じ、開く。
その時だった。
「――!?
強烈な違和感が君を襲う!
一瞬、寄る辺を失った足元には、いつの間にか大きな穴が開いていた!
「なつっ――!?
まさか、これはー!
驚く君とウィズの抵抗むなしく、重力は非情にも君たちを穴へと叩き込んだ。
あとに残るのは、書類の山と、誰もいないギルドの執務室。
「……戻ったぞ!仕事だ、カンタンな倉庫の掃除だが――
なんだ、誰かに呼ばれでもしたのか?せっかく仕事を取ってきたというのに……。
そう、君たちは呼ばれたのだ。
探求と、冒険のある異界へ!
新生ジェニファーの大冒険 Story0
新生ジェニファーの大冒険 Story1
新生ジェニファーの大冒険 Story2