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【白猫】カルマ(茶熊)・思い出

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最終更新者:にゃん
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2022年5月13日



飛行島の思い出 
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思い出1



よお。

カルマさん、こんにちは。

あらカルマ、楽しそうじゃない。そのスケボー、どうしたの?

スケボーは知ってんのか。

もちろん知っているわよ。マイスケボーだって持ってるもの。その名もカニカマ号。カルマは?

ボードはボードだ。名前は付けねえよ。

アタシが付けてあげるわ。ええと……

要らねえ。

聞く前からバッサリ?

それで、部活は決めたの?『秘密だ』とか言ってたけど、もしかして、それ?

ああ。スケボー部だ。金髪スケボー女からテクニックを、ロン毛ライダーから知識をもらう。

それ、誰よ!?なんとなくわかるけど!

ソアラちゃんと……ガレアさんですか?

ああ。無事に部活も決まって、スタートとしては、まずまずだな。

カルマさん、ちゃんと学園に馴染み姶めてますね。

意外そうに言うんじゃねえよ。俺は目的のためなら、大概のことは受け入れる。

そうかもしれないげと、想像以上だわ。

復興委員会にも入ったからな。ついでにスケボーの練習環境も整えてやった。

ちょっと、それは公私混同でしょーが。

俺が学校側の立場に回ったんだ。その行動は『公』だろうが。何の問題もねえ。

悪代官の発想よね、それ。



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思い出2



やっほー、カルマー♪

おわっ!?

おい、お喋り猫。スケボーの前にいきなり飛び出してくんな。危ねえだろうが。

ごめんごめん、気をつけるわ。

でもカルマ、アンタたしか茶熊学園に入ったのは体を鍛えるため、とか言ってなかった?

それだけじゃねえが、それも目約のひとつだ。

だったら、ずっとスケボーに乗ってちゃダメなんじゃないの?

あ?ちょっと待て。

もしかして、俺がスケボーに乗ってるのは、楽に移動するためだと思ってんのか?

違うの?アタシがスケボーに乗るのは楽だし、楽しいからよ。

アンタも、さっきから右に左にスイスイ動いて楽しそうじゃないの。

まあ、それもある。

あるんじゃない!?

それ『も』って言っただろうが。

てめえは全然わかってねえ。楽で楽しいのは、単なる入り口だ。

スケボーの、真の力を見せてやる。

<カルマは速度を上げて、ボードを軽やかに操る。>

よっ!はっ!

そら!

<最初は基本的なトリック、地味な技を安定してこなす。>

おらぁーー!!

<ふわりと浮かせたボードの上に、カルマは危なげなく着地を決めた。>

へえ、すごいじゃない。

最初から上手くいったわけじゃねえよ。

……はい、そうだと思いました。

アイリス、わかるの?

うん。左足を置いたとき、少し痛そうにしてるから。

ちょっと!アンタ、また怪我するほど頑張っちゃったの!?

問題ねえ。もう、ほとんど治ってんだよ。

前もそんなこと言って、ギクシャク動いてたじゃないの。

大丈夫だ。もう基礎は身に着けた。簡単にすっ転ぶ段階じゃねえ。

そう?ムチャしない?

いや。これからは、もっと高度な技に挑む。

だからー!そういうとこ!ぜんぜん大丈夫じゃないわよ!?



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思い出3



はっ!

いまのところ、危なっかしい感じはないわね。

技はよくわかんないけど、ぶつかったり転んだりしてないわ。

よっ!

たぁっ!

きっと、すごーくたくさん練習したんだよ。

そうね。カルマって、頭を使うことはビックリするくらいなんでもこなすのに……

体を動かすことに関してはビックリするくらい、ふつーだから。

だーから、ぜんぶ聞こえてんだよ!気が散るから監視すんのやめろ!

見守ってんのよ。

余計なお世話だ。どこに不安要素がある。

はっ!

おあらぁっ!

お、おお……!?

ッ……!

言ってるそばから、不安しかないわ。



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思い出4



おう、見つけたぞ金髪スケボー女。

……そのあだ名、ふつーに『ソアラ』と呼ぶより三倍くらい長くなっとりやしませんか?

そんなことはどうでもいい。技を教えろ。

ド派手で見栄えがする、てめえの一番すげえ技をな。

いきなりそんな無茶な。カルマさんスケボー始めたばかりでっせ。

こういうのは、少しずつ難易度を上げてくもんなのでは?

心配すんな。俺もいきなり最高難易度に挑むほど馬鹿じゃねえ。

だが最初に到達点を知っておけば、モチベーションが上がる。上達も早まる。

ホントっすかー?

そんなこと言って、無理してどっかに突っ込んだら、生徒会から怒嶋り込まれますぞ?

それも問題ない。責任取るのは責任者、顧問のロン毛ライダーだ。

えらいことサラッと言い切りましたね、このひと。

よし、そんじゃ……まずは、てめえの得意技からだ。

ふむふむ、では、あたしも……

カルマさんの気合いに、いっちょ全力でお応えしますットゥー!

さあ、いきますぜー!!


……………………

…………



……とまあ、あたしにできるのはこんなとこでしょうかね。

ったく、どうなってんだ、てめえの身体能力は。

わかっちゃいたが、ここまで理不尽な差だとはな。

いやいや、そりゃー得意分野が違うってだけでしょーや。

なんでまた、わざわざ苦手な方に挑もうってーのか、あたしには……

理解できないようでいて逆にー周半ほど回って理解できる気がするような気がするんですがね。

何を言ってんのかわからねえ、さては何も考えてねえな?

バレましたな。

挑むのに理由なんかあるか。やりたいからやるってだけだ。てめえにやりたいことはねえのか?

とんと思いつきませんな。むしろ、あたしか学校に来たのは……

そいつを見つけるため、なのかもしれませんな♪

……なるほど。

わかってくれましたか。

それは、いま思い付いた言い訳だろ。

わかってもらえ過ぎるのも考えもんですな!

クククク……いや、俺も案外、似たようなもんだ。

なんですとー!?あたしとカルマさんが似てるとおっしゃいます?

ああ。ー周半ほど回ったらな。

……はて。なんのことやら。



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思い出5



はっ!

いいぞ、今日は乗れてる!

……っと、危ねえ。

熱心ですな。もしかして、放課後ずっと練習されとります?

ああ。最初に見せてもらった技があとひと息で成功しそうだ。

無理は禁物ですぞ?カルマさん、上達は早いですが、怪我か多いですからな。

てめえは、怪我しねえのか。

あたしゃ、立派な勇者になるため、地獄のようなシゴキを受けてきましたからな!

それは怪我しねえ理由になんのか?

どうなんでしょう?少なくとも膝はカチカチっす!

とっ!

はぁっ!

やるじゃねえか。トリックのカギになってんのは、体幹と腰のキレだな。

その技を盗んで、すぐに追いついてやるぜ。

とりゃーっ!

おい。なんだ、いまのは。前に見せられた中にはなかった技だ。

カルマさんの熱意に影響されて、あたしも努力して編み出したっす!

ったく、やってくれるぜ。追いつく前から先に行きやがる。

でもまあ、さらなる高みがあるって実感できるのは悪くねえ。


……………………

…………


カルマ、大丈夫なの!?急に倒れたって聞いたけど!?

問題ねえ。ただの体力切れだ。

それは金髪スケボー女に、ちゃんと伝えただろうが。

ぶっ倒れたまま笑い出したんでさすがに心配になっちまいまして。

おい、ふざけんな。やっと大技を成功させたんだ。喜ぶくらいはするだろうが。

あ、あれ喜んでたんですな。

あたしゃ、謎の力にでも取り込まれたのかと……

あー、そんじゃ……主人公!

おい、それは要らねえ。ちょっと休んでりゃ回復すんだよ。

問答無用よ!



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思い出6



……だから、言ってんだろ。余計なことすんなって。

だったらアンタが心配させないようにしなさーい!

ああ、ああ、わかった。ありがとよ。おかげで体は楽になったぜ。

今回は前ほど危なっかしい感じはないんだけど。それでも、なんかほっとけないのよね~?

ほげーっ!?いつもは、もっとひどいんすか。

そうよ。

おい。

でも学園に入ったら、少しはなれてきたみたいね。いい経験になってるんじゃないの?

(キャトラが上から……!)

ここには、いろんな奴がいるからな。得るものもあるし、影響も受ける。考え方も変わる。

ほぇー……

てめえもだ、金髪スケボー女。

え?もしかして、あたしも『いろんなやつ』のひとりです?

ああ。てめえは『やりたいことがないから、見つけに来た』って、言ってただろうが。

そっすね。考えなしの口から出まかせですが。

いいや、ありゃ無意識の本音だろ。やればできる奴ってのは、意外と目的が見出せずにくすぶる。

ずボしッ!?

ですがカルマさん。『自分も似たようなもんだ』と、言っておられませんでしたかな?

ああ。だが、俺かここに来たのは、やりたいことを見つけるためじゃねえ。

自分に何かやれるのか。どこまでやれるのか。その限界を見極めるためだ。

その選択は間違いじゃなかったぜ。限界のひとつを、いま俺は越えたんだからな。

ふ~ん、アンタも成長したわね。

うるせーな、お喋り猫。いちいち上からくんじゃねーよ……




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