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【アナデン】アナベル Story

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アナザーエデン・サブストーリー 「アナベル編」
王国騎士団に所属する凄腕の女性騎士。優れた武勇と固い忠義をい併せ持ち『聖騎士』の称号を国から賜っている。産まれたときから胸に聖痕を宿しており初代聖騎士アンナの生まれ変わりとも幼い頃魔獣に故郷の村を滅ぼされた唯一の生き残りとして保護された彼女は魔獣という悪に今日も立ち向かう。

目次


Story1 聖騎士アナベル

自分がもっと強ければ城を守りきることができたかもしれない。悩むアナベルのもとに魔獣の残党たちによる奇襲の報が届く。

Story2 誰がための正義

リンデで宿を取った日の朝アナベルは魔獣が町にいることに気がつく。野放しにはできないと町中を探すが……。





story1聖騎士アナベル



「神聖なる城内が魔獣に蹟踊される日が来ようなどとは考えもしませんでした。

私にもっと力があればこの城も焼け落ちずに済んだのかしら……。

「一人にできることは限られてるよ。みんな自分にできることを精一杯やったはずだ。

アナベルが気に病むことじゃないさ。

「………………。

……この景色を見ていると思い出すの。魔獣に滅ぼされた故郷のことを。

私は村で唯一の生き残りよ。だから私には魔獣という悪を掃討する義務がある。

「アナベルの故郷はもう……

「ごめんなさい……感傷に付き合わせてしまったわね。

もう大丈夫よ。それじゃあ次の目的地に……


「アナベル様!アナベル様大変です!魔獣の残党が城下町を狙って攻めてきました!

「それは本当なの!?戦況は!敵勢力との戦力差は!

「も、申し訳ございません……わたしは一介の兵士ゆえ詳しいことは存じ上げないのです。

ただ主戦場とは反対のカレク湿原側で魔獣たちの別働隊が動いているとか……。

「別働隊か……手薄になった街を襲われるのはまずいよな。

「………………。

報告助かったわ。あなたはこのまま戦場へ?

「はい。アナベル様に伝達した足で戦線へ向かうようにと仰せつかっております。

「そう……では交戦中の兵にも念のため別働隊のことを伝えておいてください。

「はっ!

「私はひとまず王に謁見して全体の戦況を伺わなくては。

私も王命を授かり次第戦場へ急行いたします!

「心強きお言葉!ではわたしはこれにて!


「大変なことになってるみたいだな。オレでよければ手伝うよ。

「……本来なら王国の威信にかけて騎士団以外の者の手を借りるわけにはいかないのだけれど……

そうも言っていられないものね。貴方の申し出今回はありかたく受けることにするわ。

「よし決まりだな。まずはミグランス王のところに向かおうか。

「ええ。王はいま城下町の宿屋に臨時の拠点を置いているの。急ぎましょう!


 ***


「王国第―騎士団所属騎士アナベル遅ればせながら馳せ参じました。

魔獣の非道極まる奇襲を受けているとのこと。王命を授かりたく存じます。

「おおアナベルにアルド。来てくれたのだな。すまないが非常事態だ。手短に現状を伝えさせてほしい。

まず戦場はセレナ方面だ。魔獣たちの軍勢は規模こそ大きくないが練度の高い兵で構成されている。

「では私たちはこれの迎撃に?

「うむ。交戦中の騎士団に合流し彼らを援護してやってほしい。

「あの……ミグランス王。魔獣の残党軍はカレク側に別働隊の用意があると聞いています。

「別働隊……?

ふむそれは初耳だ。有力な情報提供助かるよ。

セレナ側に我らの主戦力を集中させカレク側から兵の出払った街を襲う算段だろうな。

ならば君たちには別働隊を先んじて叩くことで魔獣たちの目論見を阻止してもらいたい。

よいかなアナベル?

「仰せの通りに。これ以上我らが王国に仇なすことは許しません!

「聖騎士に魔獣王を討伐した英雄。きみらが出向いてくれるのであれば戦況は明るいな。

だが我が方にも戦力的な余裕があるわけではない。くれぐれも無理はせぬよう。

「はっ!必ずや魔獣の蛮行を止めてみせます!


 ***


「あなたたちが魔獣の別働隊ね。

ここは通さないわ。兵の出払った街を襲おうなどとそんな非道見過ごすわけにはいかない!

「なんだお前らは。おれたちの邪魔しようって腹ならただじゃおかねえ……

げっお前……。まさか聖騎士のアナベル!

「その称号私には過ぎたものだけれど……

魔獣の威勢をくじく一因となるならば敢えて名乗り上げることもやぶさかではありません。

我が名は聖騎士アナベル。初代聖騎士アンナ様の名を継ぐ者です。

さあかかってきなさい。我が剣は悪をくじくためにあり!

「だ、ダメだ……おれたちの手に負える相手じゃねえ!

撤退だ……っ逃げるぞおめえらぁ!

「………………っ!

逃がさないわ。すぐに追いかけます!

「深追いは危険じゃないか?王様も無理はするなって……

「目の前の悪をみすみす見逃すわけにはいかないわ。アンナ様の声もそう囁いている。

もしもアルドが戻るとしても私は魔獣たちを追撃します。

「……わかった。アナベルを放って帰るわけにはいかないな。

「ありがとうアルド。では追いかけましょう!


 ***


「逃がさないわ!

「ひぃいい……ひひ……ひひひ……

「な、なに笑ってるんだ……気でも触れたか?

「ひいーっひひひひっ!

おかしくて笑いが止まらねえぜ。まんまと願されたな聖騎士さんよお!

別働隊の情報を貴様らに流したのも!

ちんたら走って逃げたふりをしたのも!聖騎士アナベル!貴様をここで仕留めるためだ!

「アナベルを仕留める……?まさか!

「おっと逃げようったってそうは問屋が卸さねえよ。

さっきの目くらましは逃げるための時間稼ぎじゃねえ。

仲間に獲物が釣れたと報せるための合図だったんだからなあ!

「ヘヘヘ……そういうこった。

「援軍は期待するなよ。知っての通り人間どもの兵隊はみんな我らの本隊と交戦中だ。


「挟み撃ち……!しまった最初から本命はアナペルだったのか!

「そうみたいね……。

なんて卑劣で愚かしい。魔獣の考えそうなことだわ。

「アナペル……?

「王も知らない別働隊の情報をあの兵士は私に告げにきた……。

そのときから何かがおかしいと思っていたの。

おおかたあれもアナタたちの根回しだったのでしょう?

「へっ。今更気づいたところでどうなる。負け惜しみにしか聞こえねえな。

さあおめえら!ギルドナ様を失ったおれたちの気持ちを人間どもにも味わわせてやろうぜ!

「………………。

そちらがその気なら私は聖剣を振るうのみです。

「聖剣……?その剣は普通の剣なんじゃ……

「ええその通りです。でも聖剣はもともと物理的なものではないの。

「物理的……じゃない……?

「そう。聖剣は聖騎士の座に寄せられた人々の祈りの力……

「何をごちゃごちゃ言ってやがる!

おめえらやっちまうぞ!

「……さあ悔い改めなさい!


「すごいなアナベル……あれだけ大勢いた魔獣をー撃で……!

「いえ私がすごいわけでは……。これは聖騎士を襲名した者に与えられた力だもの。

全てはアンナ様の導きのままに。私はその代行者にすぎないわ。

さあ帰りましょうアルド。本隊も戦闘を終えている頃でしょう。


 ***


「聖騎士の名にふさわしい働きまことにご苦労だった。私からも礼を言わせてくれ。

本来であれば手厚いもてなしをもって労いたいところだが……

あいにくと国がこの状況ではそれもままならん。

「ミグランス王。我が忠義は見返りを求めるものではございません。

そのお言葉だけで十分にございます。

それに……

私が武勲を立てるのは私自身の我欲のためではないのです。

聖騎士の座に寄せられた人々の祈りに応えるため。そして……

いつかアンナ様の想い描いた世界……

争いのない世界を成就するためなのですから。


 ***


「聞きましたよアルドさん。あの聖剣を間近で見たそうですね!

「ああ……強いとは思ってたけどあんなことまでできるなんてな。

「ええ、ええ。なんたってアナベルさんは初代アンナ様以来の女性聖騎士ですから。

「そういえばアナベルも言ってたな。聖騎士って前にもいたのか?

「ええっご存知ないのですか!?

ミグランス王国の建国期……300年ほど前ですね。

魔獣討伐に大きな貢献をしたと言われているのが何を隠そう初代聖騎士アンナ様です。

彼女に聖騎士の称号が贈られたのは残念ながら戦没後と伝えられていますが……。

「なるほどな……初代の宿命ってやつか。

「それでですね!ここからが凄いことなのですがアナベル様はアンナ様と同郷で……!

「………………。

「あ……っ

こ、これは……とんでもないご無礼を……!

「……構わないわ。

貴方が口にしなかったとしても故郷が帰ってくるわけではないものね。

「アナベル……。

「あのとき……私の村が魔獣に襲われたあのとき。

私だけが生き残ったのはきっとアンナ様の加護。

そう思えばこそ……私は今日を強く生きていられるの。

「………………。

アナベルはアンナって人のことが大好きなんだな。

「ええ心の支えです。

迷える私をいつも導いてくださるの。



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story2誰がための正義



「ねえおじいちゃん!聖騎士アンナのお話してー!

「アナベルは本当にアンナ様が好きなんじゃな。

どれこの爺が聞かせてやろう。


むかしむかしあるところにアンナという娘がおったそうな。

アンナは心優しい娘で争いのない世の中を夢見ておった。

魔獣をやっつければ平和になる。そう考えたアンナは騎士団に入った。

清らかな心を持つアンナの剣はいつしか光り輝くようになった。

そのまばゆい光を魔獣たちは恐れ隣の大陸まで逃げていった。

魔獣たちを追い払ったアンナはいつしか聖騎士と呼ばれたそうな。


「すごいすごーい!やっぱりアンナ様は格好いいね!

アナベルねーおっきくなったらアンナ様みたいに立派な騎士になるー!

「うむうむ。それはこの村の皆が願っておることじゃよ。

なにせアナベルの名前は『アンナ様の後を継ぐ者』という意昧じゃからのう。

アナベルにはアンナ様と同じ聖痕があるじゃろ?

「せーこん?

「アナベルの胸にある綺麗な形の模様のことじゃ。

アナベルはアンナ様の生まれ変わりなのかもしれんぞ。

「ほんとー!?

えヘヘーじゃあアナベルいっぱいいっぱいわるーい魔獣やっつけるんだ!

「………………。


「昔話というやつはどうにも真実から離れゆくものよの。

子どもに聞かせるにはちょうどよい塩梅なのかもしれんが……

この村でももう本当のことを知っているのは儂だけかもしれんのう……。


 ***


「おはようアナベル。よく眠れたか?

「ええ素敵なお宿でした。度重なる魔獣の侵攻で寂れてしまったと聞いたときは心配したものだけれど……

ちょっと安心したわ。

「………………っ!

「アナタ……怪しいわね。私が魔獣と言ったとき大げさに反応したでしょう。

どうして目深にフードを被っているの?


「アルド彼は魔獣よ!追いかけましょう!

「ええっそうなのか!?

「……町に隠れられたら厄介ね。ひとまず聞き込みをしましょう!


 ***


「この辺りでフードを被った怪しいやつを見なかったか?

「あ、怪しいやつですか……。もしかして魔獣なんじゃ……

「え?どうしてそれが……

「……アルドっ。

「ん?

「この町の人々は魔獣に敏感なようです。いたずらに心配はさせたくありません。

「ああそうだな……ありがとうアナベル。

いやえーと……オレたちフードのやつと待ち合わせ中なんだ!

「ええ?さっき怪しいやつって……。

「あ、怪しいけど悪いやつじゃないんだよ……もし見かけたらすぐに教えてくれ!


 ***


「なあフードを被った怪しいやつを見なかったか?

「ふうど?あんた今ふうどと言ったんか……?

「ああ。お婆ちゃん何か知ってるのか?

「ふうどなら……ふうどなら……

「わたしゃあんころもちがええのう。

「いや食べ物じゃなくて……

「あんころもちは甘くてもちもちでほっぺが落ちるほど美味いんじゃ。あたしのそうるふうどじゃて。

「………………。

「他の人を当たろうかアナペ……

「あ、あんころもちとはどこで買えるのですカゝ……?

「アナベル!?


 ***


「なあフードを被った怪しいやつを見なかったか?

「ああ?フードを被ってるのは見てねえなあ。

だが怪しいやつなら見たぜ。

「本当か!?

「ああ。あんたら魔獣王を討ち取ったっていう男と王国騎士団の聖騎士様だろう?

俺は情報通でね。あんたらが二人―緒にいるなんてこいつは怪しい。

まさかあんたらお忍びで逢い引……

「いや違う違うっ!アナベル逃げるぞ!

「え、ええ!

「おいちょっと待ってくれよ!詳しい話をだな!


 ***


「目撃情報はなしか。

「これだけ聞いて回って誰も見てないということは町の外に出た可能性が高いわね。

「町の外か……ってことはセレナ海岸の方だな。


 ***


「なあフードを被った怪しいやつを見なかったか?

「怪しいフード?ああ確かにセレナ海岸へ走っていったねえ。

「やっぱりそうだったか。

「追いかけましょう。また王都に襲撃をかけるつもりかもしれません……!


 ***


「あっあれ……!


「いいかおめえら。今日という今日こそ魔獣王様の仇を取るぞ……!

「やはり王都を襲う算段だったのね……っ。このアナベルアナタたちの好きにはさせません!

「ああ!?なんだてめえらは……どうして俺たちの計画がわかった?

「リンデの宿屋でアナベルに見つかったのが運の尽きだったな。

「リンデ……?宿屋……?何のことだ知らねえな。

「しらばっくれるとは醜いわね。魔獣はついても仕方のない嘘までつくのかしら。

どの道王都に仇なす者を見過ごしはしません。覚悟なさい!

「ぐ……つ、つええ……

待てよさっきアナベルとか言ってたな……?

ちくしょう噂の聖騎士様じやねえか。どうりで歯が立たねえわけだ!

「な、なあアナベル。

こいつらフード被ってなかったよな。もしかしてさっきのとは別の魔獣なんじや……

「お前たち……!また性懲りもなく争いを……!

「ん……?まさかてめえ同胞か?

その格好で人間どもは騙せただろうが俺の鼻は誤魔化せねえ!援軍たぁこいつは助かるぜ!

「……その口を閉じろ。とにかく場所を変えるぞ!


「しまった目が……!

「やられた……っどこへ行った……!?

「やはり……魔獣は魔獣ね。目くらましなんて姑息な手ばかり……!

遠くへ行く時間はなかったはず。追いかけましょうアルド!


 ***


「てめえ腑抜けてんじゃねえぞ!それでも誇り高き魔獣の一族か!

「腑抜けてなどいない!

こんなことをしても悲しみが繰り返されるだけだと言っているんだ!

「それを腑抜けだと言ってんだよ!ギルドナ様の無念がてめえにやわからねえのか!


「様子がおかしいな……何か言い争ってるのか?

「仲間割れとは見苦しいわね。魔獣らしいといえばそれまでだけれど。

「ちっ!てめえが邪魔しやがったせいで奴らに追いつかれちまった!

け……っせめて時間くらい稼いでくれよ。俺たちはここで止まるわけにやいかねえんだからな!

「待て!まだ話は終わっていない!

………………。

あの分からず屋どもめ……。

「アナタは足止めかしら。それなら容赦は……

「すまない……見苦しいところを見せてしまったな。

信じてもらえないかもしれないが……

私はかつてとある人間の女性に命を救われた魔獣の末裔だ。

「何を言い出すかと思えば……そのような妄言を!

「……ああ。私も馬鹿げた話だと思っていたよ。

しかしある少女と出会ってからただのお伽噺と笑い飛ばすことはできなくなった。

今ではその話を信じている。いや信じたいと思っているんだ。

人と魔獣はいつか分かり合えると……!

「………………。

「同胞は私が何としても止める。憎しみの連鎖はここで断ち切らなければならない……!



「あんなことを考える魔獣が……?いえ……騙されてはダメ。きっと罠なんだわ……。

「……ともかく追いかけよう。見て見ぬふりはできないからな。


 ***


「てめえ……これ以上邪魔するようなら同族だからって容赦はしねえぞ。


“……是非に及びませんアナベル。聖剣の力を振るうのです。”


「こ、これは……アンナ様……っ!?

身体が勝手に……だめ……抗えない……っ!




「あ……あ……私なんてことを……!

う……っ!



「アナベル!?

『ようやくこの時がきたのですね。

「な、なんだ……アナベルが二人……?

「アナベルさん。貴女は本当に頑張ってくれました。

アルドさんも。貴方たちは最高の協力者です。

「オレたちを知っているのか……!?

「ええ……申し遅れましたね。

アナベルさん。私は貴女の中で囁き続けた声。訴え続けた想いの主。

名をアンナと申します。

「アンナ……?まさか初代聖騎士の……!

「ええまさしく。

貴方たちが思い描いた正義をもって悪をくじく聖なる騎士……その原型です。

「アンナ様……あの魔獣たちが言っていたことは本当なのですか……?

アンナ様がかつて魔獣たちの命を救ったと……

「ええ。あの者たちの言葉は真実です。

「ではなぜ聖剣の力を……!

あの者は魔獣ではあっても悪ではなかった!

一概に斬り捨てていい者たちではなかったはずです……!

「………………。

……いずれみな消え去る命。

全ての生命を無に還すという私の計画のほんの始まりの一端にすぎません。

「な……っ!全ての生命を無に還す……!?

ご冗談を……!アンナ様がそのようなことをなさるはずが……。

「………………。

貴女は本当の私を知りませんからね。そう考えるのは当然のことです。

順を追って説明しましょう。

かつて私は争いのない世界を求め騎士でありながら魔獣たちに手心を加えていました。

僅かばかりの理解者はおりました。しかし時の騎士団長に見咎められ私は魔獣の手先として処断されたのです。

「いや……それは変だ。あんたは初代の聖騎士なんだろ?だったら魔獣の手先なんて……

「言ったはずです。僅かばかりの理解者はいたと。

彼らによって祀られた私は国の目を盗む形で細々と信奉され続けました。

ですが歴史とは時代を経るごとに変遷するもの。

やがて事実を知るものがいなくなった頃魔獣討伐のシンボルとして私は利用されたのです。

「そんな……!

「いいのですよ。それを咎めるつもりはありません。いずれにせよ生前の私……

……真実の私は魔獣の手先と反められ砂漠へ流刑となりました。

照りつける太陽。燃えるような熱砂。何もない……不毛の世界。

全ての生命を尊ぶという私のやり方で行き着いたのは皮肉にも死の大地だったのです。

渇きに喘ぎ飢えに嘆き孤独に耐え……。

刻一刻と意識を失いゆく中でしかし私は救いを見出しました。

「救い……?

「ええ救いです。

何もない世界には……争いさえも存在しなかったのですから。

「………………。

「人間魔獣……いえあらゆる生命はそこにあるだけで争いを生みます。

私の理想は争いのない世界。ならば答えは一つしかないでしょう?

「まさか……それが理由であんたは……!?

「ええ。あまねく生命を消し去るべきだと思い立ちました。

……しかし当時の私にそんな力があるはずもなく。

無念のうちに肉体は朽ち果て私は想いだけの存在となりました。

その想いもまた時の河に流され気づけばこの時代……

私の故郷で一人の女の子が生を受けるその瞬間まで永劫とも思える時間を漂ったのです。

「………………。

「私の生まれ変わりと呼ばれたその少女は立派な聖騎士に成長します。

そしてついに私の声を……私の想いを聞いた。

争いのない世界を作りたいという私の想いを……。

「……まさかそのために私を生き永らえさせたのですか?

「……何のことです?

アナベルさん。貴女の協力なくして私の願いが成就することはなかったでしょう。

歴代の聖騎士の中でも貴女の功績は群を抜いて優れていますから。

貴女の重ねた武勲の数々が聖騎士の座に祈りの力を満たし……

その力をもって私はこの世に現界することができたのです。

アナベルさんという最高の協力者を得られて私は幸せ者です。

あとは聖騎士の座に寄せられた人々の祈りの力を私の聖剣に乗せ放つのみ。

膨大な年月膨大な数の人々から捧げられた祈りの力をエネルギーに変換すれば……

この星の生命体を消し尽くすには十分すぎるでしょう。

計画は万事十全です。私に任せてください。

必ずやこの私が……

世界から全ての争いを消し去ってみせましょう。


「私のせいだわ……

聖騎士になってからというもの私にはずっとアンナ様のお言葉が聞こえていた……

あの方の呼びかける正義が危うい色を帯びていることは私にもわかっていたはずなのに。

私はアンナ様のお導きに盲目的に従う人形でしかなかった……。聖騎士失格です……。

「……そんなことはないよ。

アナベルが心から平和を願っていたことはオレがちゃんと知ってる。

ただ故郷のこととか聖騎士の責任とか……

色んなことに追われてきちんと考える余裕がなくなってただけじゃないかな。

「アルド……

「ともかくあの人は人間も魔獣も……

全ての生き物を消し去るつもりなんだよな……?

「……アンナ様は本気だった。

聖剣の力で全ての生物を消し去れるとは思えないけれど……何か考えがあるに違いないわ。

「放っておけば世界は滅ぶってことだな……。

「……させないわ。私はアンナ様を止めます。

それが私にできるせめてもの罪滅ぼし。

アンナ様が争いのない世界を望むなら……

その手が生きとし生けるものの血で染まることなどさせてなるものですか……!


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