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ゼロ・クロニクル Story2

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開催日:2017/07/14





4-2 白の巫女の祈り



白の王宮、始祖のルーンの間――



――始祖のルーン――

それは、大いなる力を秘めし、白の王国の象徴――


この世界が天と地、

白と黒に分けられたときより存在し、

白の民に恩恵を与えてきたという――


――代々の<光の王>に、守護されながら――


「……始祖のルーンよ……

我らに、ご加護を……」



「……弱気になっちゃダメ……

……今は、私が王なんだから……私がなんとかしなくちゃ……


「そうしていると、<光の王>より<白の巫女>の名の方がしっくりきますね。

あまりご自分を責めませぬよう。無理なこととは存じていますが。」

「シーマさん……」

「さん、なんかよしてください。あなたが王ではないですか、アイリス様。」

「そうですけど……いいじゃないですか。

シーマさんは、私にとって、大切な姉のような方です。共に、修練に励んで……」

「そしてあなたが勝ったわ。」

「それは……」

「恨んでいるわけじゃないのよ。仕方のないことだもの。客観視すればあなたの方が通任だわ。」

「…………」

「ねえ、覚えてる?」

「え?」

「先代の<光の王>のこと。」

「……いいえ。」

「不思議よね……あなたが王位に就く前に、いらっしゃったことだけは覚えているのだけど……

はっきりとしたことは思い出せないの。姿は?声は?会っていたはずなのに。

「私、なんとなくわかるんです。」

「へえ?」

「蓄積は必要ないんです。<均衡>を保つためには。

常に同じ状態であればいいのですから。」

「始祖のルーンが教えてくれるの?」

「そう……ですね。」

「そ。なら、私には知りようもないけど、そう言うのならそうなのでしょうね。

ただ、少し哀れだわ。」

「哀れ?」

「ええ。<王>という存在が。役目を終えれば、後継者にすら忘れられるなんて。」

「私は平気です。とうに、覚悟しています。」

「でも、哀れよ。私のような一般市民の目からすればね。」

「……かもしれませんね。」

「あら、こんなことを言いに来たわけじゃないの。あなたを探して呼びに来たんだったわ。

アイリス様。黒の王国より、使者が。」

「わかりました。」

「宣戦布告をしておいて、どの面下げて、と思いますけどね。」

「いいえ、それは違います。黒の王国も、民は同じ……

ただ……<王>が暴走し、破滅へと連れ回しているだけ……」

「そうかしら。」

「<闇の王>が次の代となれば、再び<均衡>は守られるでしょう。」

「そのときあなたは忘れ去られているかもしれないわよ?

幾度も<闇の王>を退けた、その功績も、誰の記憶にも残っていないかも。」

「構いません。平和な未来が来るのならば。」

「そう……

いい子ね。」

「そんな……」

「じゃあ、そろそろ向かってくれるかしら?」

「あ、はい。」


 ――


「……?」

「どうしたの?ほら、早く。」

「あ、はい……」


(……何かしら……?)





4-3 黒の使い


「――黒の使いか。」

「入国の通達は届いているかと。王の書状もここに。」

「…………」

「敵意はない。剣を降ろされよ。」

「どの口がほざくか。」

「貴公の感情は理解出来る。しかし私も、ただ、使いの身。

また、ここで追い返す権限も、貴公にはないはずだ。」

「急に暴れた。だから斬った。それを疑う者はいない。」

「<光の王>もか。」

「王に危険が迫らぬよう、お守りするのが騎士の務め。」

「そんなに目を吊り上げないでくれ。……そうそう。俺は独り言が趣味でな。」

「家でやれ。土壁は音も吸うだろう。」

「戦争になんの意味がある。やめちまえばいいんだ。」

「貴様らから仕掛けたのだろうが。」

「ウチはトップが狂ってやがる。なのに、誰一人逆らえやしねぇ。それもそのはずだ。

<始祖のルーン>……地にはそれがない代わりに、王がソレソノモノなんだからな。」

「…………」

「大半の国民は、気にしちゃいねえかもしれねえ。

自分たちの未来が、トップの意思で勝手に決まる。それはそういうもんかもしれねぇ。」

「何が言いたい。」

「だが、俺たち軍属は違う。戦争なんざ、したくねぇ。」

「ここで愚痴るより、国に戻って進言したらどうだ。」

「そうすりゃ……コレよ。」


<>


「命惜しさに愚行に手を貸すか。これだから黒の民は……」

「まったくもって同感だぜ。早く代替わりしてもらいたいもんだ。」

「……ほう。」

「知っての通り、これまでの<闇の王>は違った。

内心どう思ってたか知らねえが……大人しく、地上だけに留まってたって話だろ?」

「俺もそう聞いてはいる。」

「俺もそうさ。なら、きっと事実だ。まあ、詳しいことは、なんでか覚えちゃいねえんだが……」

「…………」

「ともかく、辛抱してりゃあ、いずれ別人が王になる。

そのときのために……俺たちが仲良くすることは、無駄じゃないと思うがね?」

「知らん。俺はただの騎士だ。」

「えーっ。」

「なんだよ?」

「あんた、さっきの言葉、言葉!主を正しい方向に導くのも、臣下の務めだろ?」

「貴様は出来ないことを、俺にはやれというのか。」

「あんたにゃ出来そうだからさ。」

「……ふん。

お前、名は?」

「アデル。」

「アデル。斬り捨てるのは保留にしてやる。

黒の民には珍しく、お前は物がわかりそうだ。」

「珍しくはねぇんだけどな。」

「ここで待て。しかるべき手続きをしてやる。」

「へっ……」


思った通りだ。誰だっておんなじさ。

どこで生まれたかなんて……



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story5 珍しい者



「……言葉を返してやりたいね。

てめぇの方が、よっぽど珍しいじゃねえか。」


「あー、悪魔だー!」

「しっ、見ちゃいけません。」


「おやおや……偏見だねぇ。

国民の意識改革は、どちらにとっても重要課題…………ってトコだな。」


「何をぶつぶつ言っている。特使サマだろ、行儀良くしろ。」

「言ったろ、趣味なのさ、独り言がよ。」

「いまのもそうか?」

「はっ。騎士団長ファイオス殿、ご同行、感謝いたします。」

「……我らの先尋は王城の入り口まで。

そこで待て。迎えの者を寄越す。」

「それでよいのですか?」

「<光の王>が、騎士より弱いとでも?」

「愚問でした。」

「その言葉づかいも、正式ではないからな。

帰りはいつだ?」

「交渉に滞りなくば今日にでも。

と、言いたいところですが、いずれにしろ細部の折衝に、数日はかかるでしょう。

色よい返事がもらえぬのなら、説得させて頂きたく思いますし。」

「迷惑な話だ。」

「重々承知ではございますが。」

「騎士の宿舎も近い。様子を見に来るぞ。」

「騎士団長殿に、自由に特使サマと会う権限が?」

「許可を得ればいいのだろうが。いつまでしゃべっている。」

「ここで待て、と。」

「……着いていたか。いいか、妙な気を起こすなよ。生きて帰りたくばな。」

「はい。」

「ふん。」

「…………」




5-2 光の謁見


「こちらでお待ちください。」

「はっ。」

「…………」


(おうおう、目が物語ってやがる。

『汚らわしい黒の民は、さっさと地べたに帰れ』、か。

それが窓口の態度かよ)


「……特使など……わざわざ王が会うほどの……」

「…………」

「……ごほん。」


(おめぇらが無能だから、王が引っ張り出されてんだろうが)


「…………」


「……!」


「お待たせしました。」


「…………」

「特使殿?」

「!」


「……黒の王国より参りました、アデル・バダンデールと申します。

王に代わり参上した無礼、どうかご容赦ください。」

「書状、読みました。」

「はっ。」

「現在、白の王国と黒の王国は、決して良好な関係ではありません。

それどころか、いずれかを滅ぼすところまで、進んでしまいかねないでしょう。」

「おっしゃる通りです。」

「なのに……盟約を?」

「古来より、敵の敵は味方とは言わぬまでも、共闘は可能とされております。」

「……確かに、<あれ>は、きまぐれのようにこの国へ赴き、いたずらに害を為します。

ですが――破壊の化身、バールを討ち取ったのち――

<闇の王>の矛先が向くのは、ここを置いてありません。」

「当代のままであれば。」

「…………」

「黒の王国としては、白の王国との、末永くの<均衡>を望んでいます。」


「お言葉ですが。それは<闇の王>のご意向か?」

「はい。」

「矛盾しておられるように思うが?」

「私に計れるようなお方ではありませぬゆえ。ただ、そうと。」

「俄かには信じがたい話だ……」


「いかがでしょう?<光の王>アイリス様?」

「…………」

「また……私が把握している限り、王の在位は、相当の年数に達しております。

ですので……」


「…………

信用しましょう。」

「アイリス様!?」


「国の代表としての、その言葉を。」

「……はっ……」


「……ぬぅ……!」


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story6 <均衡>を破壊する者




「――我が剣よ――虚空よりいでよ!

くらぇえッ!!」


<――ほの暗く燃ゆるような

その刀身が伸びゆく先には――>


「――ハハハハハハハハ……!

どうした、小僧?儂と遊んで欲しいのか?」

「くっ……!?」


<在るだけで他の生命を否定するかのような、絶対的な、圧……!

暗黒騎士の剣が、中空にはりつけと――

いや……その肉体ごと完全に停止させられている!>


「なっ……!?」

「そう焦るなよ。すぐに小僧の番は来る」



くくくく……!お気遣い、ありがたく頂戴しよう……!

よくぞ儂のために、これだけの玩具をそろえてくれた……さて――


――撫でてやらんとなぁ!!











<よどんだ空を埋め尽くしていた幾万の魔物の軍勢が……

指の一振り、翼のはためき、吐息の一つで、霞のように消えていく――>


「ハハハハハ……!いい子いい子……!」


「馬鹿な……!あれだけの数を、易々と……!

そんな芸当、<光の王>にも……!

おのれぇええ……!」

「悪いが、次の玩具を頂けるかな?」

「ふざけるなっ!」

「なんなら、小僧――

――貴様でも構わんぞ!?」

「ぉぉぉぉおおおおお――!」


――


「……ん?」

部下を逃がすとは、随分お優しいことだな?

いっそ白に染まればどうだ?儂の暴れる手間も省ける。」

「…………

世界の<我儘>よ――」

「ああ?なんだそれは?」

「<均衡>を拒む貴様に、これ以上の名はなかろう。」

「ま、好きに呼べ。竜だ神だと言われるのも、気に入ってはおらん。

ただ、貴様に名づけてもらうというのも――

――気に入らんがなぁ!?」

「それは良かった。貴様の気分が良くなることなど――

一つとしてやるつもりはない!」


<<闇>が膨張する!

如何なる物をも通さぬ黒が、周囲の空間全てを埋め尽くす!>


「笑わせる!下等な本能めがっ!」







6-2 未来への捕縛



「大言吐いた割にはだなぁ!?」


「貴様ぁ……!」

「<均衡>の片割れ、<闇>よ――

消えてなくなれ――!?



なんだぁ!?これはぁ!?」



 ***


 <*×○■!&%$…………>

 この、一度きり……


 ***




「うぬぬぬぬぬ……!」

「惜しかったな、バールよ!」

「小瘤な、雑魚ども……!

うぉおおおおおおお――!



……くくくくくく……!嘆かわしい限りだなぁ……?

<闇>よ!下賤な本能よ!一握りの誇りすら捨てたか!

都合のいいときだけ、<光>と手を結び……

無意味な<均衡>に縋るか!」




「喚いていろ。貴様はこれで終わりだ。

我が焦熱の監獄……<タルタロス>の底で、永劫、苦しむがいい。」

「永劫、だと?なぜ消さぬ?」

「…………」

「……あぁ、いい、いい。答えなぞわかりきっている。

では――また、な。」


「惜しかったな……<我儘>よ……

この僅かな<傾き>こそ――

――我の道――」



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story7 感謝の意


「――この度は、盟約を果たしてくださり、感謝の言葉もありません。」


「私が貸したのは剣の一振り。

……黒の民には、多くの被害が……」

「黒の王国にいるのは、大きく分けて、二つの民。すなわち、人か、魔か。

魔の者はより渡く、<闇>に依存します。アイリス様が心を痛めることでは。」

「それでも、全ての者が<闇の王>に従っているわけではないと、あなたは言いました。

清きソウルと生まれ変わることを祈ります。」

 「何も、そこまで……」

「もったいなきお言葉……黒の民にありながら、これほどの誉れはありません。」

「あなたも言ったではありませんか。

同じ<<均衡>を願うのであれば……白も黒も同じ。」

 「……アイリス様……」


「お暇を告げなければなりません。」

「このような盟約であれば、以降も願います。」

「いいえ、これきりでございます。」

「……?」

「<均衡>は、この世の<理>……確かに、全ての生命が守るべきものでございます。

しかし余力で良い。余裕なき者からは、頭上を飛び交う関わりのないルールです。」

 「アデル殿?

「白の民は結構でしょう。潤沢なソウルに<始祖のルーン>の恩恵、豊かな暮らしが約束されています。

しかし地を這う我らは違う。頭上には天空大陸。なぜ永遠に影の中なのか。」

「――!」

「それが天と地、白と黒の<均衡>を保つ、世のはじめよりの<理>なのです。」

「ハハッ。」

「――!」

「ですから同じではないのですよ。<理>などというものは所詮―――

――強者に都合の良い呪縛!」


<瞬間!

魔性を発現させたアデルが、玉座のアイリスに迫る!>


「……くっ……!」


「同情ありがとう――

――だが、いらん!

地に堕ちてから物を言え!」


「――!!」




「……!?」


 …………


「……っ……」


「……?」


「…………

……黒はっ……」


「王を守れ!」


「!!」


「蛮族めっ……!

貴様らは人ではないっ!」


「待って――」

「ファイス!その者を捕えよ!」

「――!」


「黒のやり口はよくわかった……!わずかでも心を許した、……俺が馬鹿だった!!!

そっちがそのつもりならば!地上ごと消し去ってくれる!」


「……っ……!」



「……待って……!

……その人は……」






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