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【白猫】ゼロ・クロニクル Story4

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん

開催日:2017/07/14



登場人物


 





story11 世界の両端


――王宮へ!早く!じき、ここも戦場になります!

闇の軍勢め……!神聖なる白の大陸で、好き放題しおって……!

――!?

お……おぉぉォオオオオオッ!!

ガァアアアアアッ!!

!!

うぉおっ!!

大丈夫ですか!?

い、いまのは……?

<闇>め……!

白の騎士をも、染めるほどに……濃く……!




――魔道士隊!連鎖詠唱!

「「はっ!」」

顕現せよ……!七つの力がうちの一つ、<破壊>の鎌――

――刈り取れ!

<シーマの率いる魔道士隊が、輝きを束ねて放つ!>

続けて援護!騎士たちの周囲に結界を!

「「はっ!」」

<魔道士たちは詠唱の声を合わせルーンの恩恵を引き出す――>

七つの力がうちの一つ、<慈愛>の檻――!



――はぁああああっ!!

きりがないッ……!

……よし!皆!一歩も引くな!

俺たちが、アイリス様の最後の盾だっ!

……威勢のいい奴がいるな。

……貴様は?

暗黒騎士ヴァルアス。

相手にとって不足なしと見た。手合せ願えるかな?

ほう。俺のカオも知らず、よく言うものだ。

俺は、光の騎士団長ファイオス。王の盾であり、そして剣。

ここから先へは行かせんッ!

ふ――来いっ!

貴様の名を、武でもってこの私に焼きつかせてみせろっ!

――立ち昇れ!<ほの暗く燃ゆるもの>よっ!

<暗黒騎士の手にした刃が、生き物のようにうねりながらファイオスの喉を狙う――>


 ***


<――天を舞う、白の大陸――

――そのさらに上空で、二者は対峙する――>


眼下はずいぶん賑やかになってきたなぁ?

――よいのか?貴様一人、悠々と空を飛んでいて?

――<光の王>よ?

重要なのはあなたの位置する座標。それと、私がいるところ。

そこが――運命を決める場所……!

結構なこと。我ら以外の争いなど、所詮は真似事に過ぎぬ。

<均衡>の両端にいるのは、それぞれ一人きり――

――我と、貴様だ――!

ええ。決着をつけましょう。

何度目だったか忘れたが……我に勝てるつもりか?

いままであなたは勝っていた?いつも退いていたようだけど。

そう怯えるな。

伸びてゆくほど痩せ細り、やがては消える<光>とは違う。

我は、<闇>――意味するのは無限の膨張……

時と共に力を増すのはどちらか、自明の理……

そうかしら?

だからこそ、代替わりなどという制約があった。それを知らぬとは言わせぬ。

我は、<循環>を拒みし、<唯一無二の闇の王>――

――永遠に力を増し!全ての場所、全ての空間を!

<闇>より<黒く>!塗り墳してくれるわ!

永遠、だなんて……

私は認めない!

<理>に抗いし者よ!この世界から……消え去れ!



はるか天空

総力戦

全面戦争

11-2 七つの力


――うっ!?

あぁアアアア!?

<闇>の侵食、抑えきれませんっ!?

<慈愛>の檻がっ……!……それならっ……!

覆せ……!七つの力がうちの一つ……!

<流動>――!

<眩いルーンの光が、周囲を白く染める――>

やった!さすがシーマ様!

!?

そんなっ!?

なぜ……!どうして……!払えない……!

<始祖のルーン>よ!いま、この瞬間!

<ここ>に力を注がなくてどうするのよっ――!!!


 ***


うぉおおおおっ!!!

くっ……!

……貴様の太刀筋は、馬鹿正直だな。

そう思うのならいなせばよかろう?

何がそれを支える?

無論、王への忠義。

ならば同じで――

――貴様の負けだ。

なんだと……?

個人への心酔など、陽炎のようなもの。

揺れれば容易く掻き消える。

見解の相違だ。位への盲信は――

――主の破滅を招く!

一人の人間として信ずるからこそ!想いが力を引き出す!

……贅沢を抜かすな。

なんだと?

――光の民よ!だから貴様らは、惰弱だと言うのだっ!

肥沃な地、手を取り合う民、聡明なる王――

――恵まれた剣で!全てが都合よく守れるかっ!!

くっ……!?

騎士ファイオスよ。その名、いつまでも覚えておこう。

愚かな弱者としてな!

――不幸を誇るかッ!!!


 ***


……っ!

言の葉よ、白き力の鍵となり、ルーンの輝きを解き放て――

<*×○■!&%$…………>

<太陽を覆い隠していた<闇>の暗雲が、光に押されて収縮する――>

まだ耐えるかっ……!

強がりを……!あなたはここで、このまま消し去るっ!

……いいのか?<始祖のルーン>の力を、独占していて?

……っ……!

我の切れ端を侮るな。貴様の愛する民から先に、<闇>に染めてくれる……!

……その手には乗らない……!

<均衡>が乱れたままでは、いずれにせよ同じこと……!

全てを投げ打ってでも、あなただけは、ここから逃さない!

<太陽を覆い隠していた<闇>の暗雲が、光に押されて収縮する――>

我も同感だ。民も<全て>のうち。

……あなたとは違うっ!

同じだ。

違うっ!

恨まれる。

そうだとしても……構わない!

再び釣り合うこと……!それが、未来を残す、たった一つの方法!

甘いな……!

<中間>を狙う貴様と、<転覆>で勝利する我では――

――帰趨は見えている!

いいえ……!それでもっ……!



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story12 大いなる始祖のルーン



――ハハハハハ……!

ううっ……!

バールが言っていたな。『大言を』……と。

不可能を語る者が敗北する!

痛感しろ!これこそが<理>だっ!

――あぁっ!?

<極限まで密度を増した、黒く冷徹な真理の一撃――

<光の王>が堕ちる。>

……くくく……ついに……!

――などと、勝ち誇るかっ!

<光の王>め、小細工を弄すかっ!

<始祖のルーン>の元へは行かせん!

<凝結した巨大な闇の塊が、アイリスの後を追う――!>



七つの力がうちの一つ、<慈愛>の光よ――

――傷つき倒れし戦士を救えっ!

どうして……どうしてっ!?

あなたは無限だったんじゃなかったの!?

何が<始祖のルーン>よ!光り輝きなさいよぉっ!?

もはや……!

……!

いいえ!まだよ!弱音を吐くのは早いっ!

詠唱で動かないんなら、ぶっ叩いてやるっ!

!!シーマ様!あれを!

!!

<落下してきたアイリスが、ふらふらと揺れながらシーマの傍らに着地する。>

ふふ……シーマさん……

アイリス!?

聞こえました、あなたの啖呵……

さすがですね……

!あ、アイリス様!そんなことより!<始祖のルーン>は……!

……忘れましたか?まだ、手はあります。

……まだ……?

!!七つの力がうちの一つ、<運命>の歯車!

それに全てを注ぎ込めば……

魔道士隊!集まって!

はっ!

<シーマの声に応じて、魔道士たちがアイリスの元へと……

足をひきずり、肩を貸し合い、数人が集まった……>

これで、全員です。

……はい……

しっかりしなさい!まだ呆ける時じゃない!

ええ……!

<魔道士たちの輪の中心で、アイリスが詠唱を紡ぐ――>

――七つの力がうちの一つ、<運命>の歯車よ――

――七つの力がうちの一つ、<運命>の歯車よ――

我はその巡りに異を唱える……

――辿るべき真実の道を示せ――



……これはっ……!?

…………

何も……変わらないっ……!

滅びは、避けられないの!?

……<約束>……

ねえ、アイリス!?

う、うわあああああっ!?

<運命>か――無駄なことを――

その程度で変わるほど、浅い歴史で企んではおらぬ!

そ、そんな……!

……こうなったら……

……!

……すう……ふ~……!

まだ、あるのですね?<光の王>として、抗う手段が?

ですが……

行きなさい!

それには……

迷っている場合ですか!?<光の王>の使命は!?

私は全てを託す!この命も!あなたに!

!!

だから、早く!

シーマさん……ありがとう……!

醜いぞ……いつまで足掻く……!

滅びの定めを受け入れよ!

うるさい!

…………

……面白い……!

――え?

あぁぁあああああああっ!?

シーマ様っ!?


くくく……悪い癖が出てしまったではないか……

『戯れ』、だ……!






12-2 使命の懐擬



……はぁ……はぁ……!


<<始祖のルーン>は、多くの力を放出してなお、煌々と光を放っている――>

…………

<ひざまずき――祈る――>


<始祖のルーン>よ……

私には、守ることが出来ませんでした……

白の王国を――

――黒と白の<均衡>を――




………………嘘になっちゃったね……

あなたを――待って――平和な世界を、作って――

どんなだっただろうね………………


<頬を一滴、伝ったものを――――王は毅然と払う。>


私の全てが通じなかった今、<闇>を食い止めるには――

――もう、これしかないから――



 ***


――うぉおおおおっ!!!

そこをどけぇええええっ!


<一直線に貫き、到達するカ――

黒く尾を引き、天を翔ける。>


(速く……!もっと速く!)


 光に近づいていく中――

 脳裏に、微かに響く――


 …………ぅ……

 ……ち……がぅ……


(……そうだ……!)

間違っている!


 何がなのかは、わからない。

 ただ、激しく感じたのは、歪み。

 どこから間違っていたのか?それとも――


(最初から……正しいことなんて……)


 決まっていなかったとしたら……

 <理>とは……なんのため――?


いまは、まだ、わからない…………でも!

わからないから!問わなきゃいけないじゃないかっ!

邪魔をしないでくれっ!!!


……すまない……!


 悪しきは何なのか――?

 それがわからないのは――

 信じるべきものの中に、何かが混じっている……から……?



くそっ!もっと速くだっ!

いまここで!横にいなきゃ何のための約束なんだ!

アイリスを!守るんだっ!







12-3 ~序章~ 闇の猫と








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Story はじまりの罪



――それは<闇の王>の最後の慢心が生んだ、偶然の隙間――

<光の王>アイリスは、<始祖のル一ン>へ、最後の祈りを捧げる――



白の時代は、これで――おしまい――

それでも、世界は<均衡>を保ち――

存在しなくてはいけないから――


――私は、罪を冒します。

だから、お願い――

<始祖のルーン>よ――秘められし全てを解き放ち――


<闇>を――

……<黒>を……!


――封じて――!



――!!


 そんな――

 ごめん……なさい――





















おのれ……!

まさか、<始祖のルーン>ごと、天空大陸ごと……!

我に喰らわせるとは……!


――だが――

あとほんの少し――


――足りなかったなぁ!?

!!

な――!?

…………

き……貴様ぁあああああっ……!

共に滅ぼう。

それが――彼女の望み――!

消えろぉおおおおおお――!

う……おぉおおおおお――!

おのれぇえええええええ……




  さようなら――




――アイリス   






――闇の王とその後継者は、もつれ合うようにして、一つの島へと落ちる――


――だが――

――決して消えることなく――

――眠りにつき――

――歴史の周期点で――

――再び、運命は、動き出す――


…………

――なぜなら――

――止めなければならない!



悲劇の連鎖を――!







ゼロ・クロニクル ―END―








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